「世帯年収700万円」で、子どもの“大学費用300万円”貯めたのに…ある日「夫の借金100万円」が発覚!「課長なのに小遣い3万円じゃ苦しい…」夫婦の温度差が招く“家計崩壊リスク”とは
世帯年収700万円で、住宅ローンの返済をしながらコツコツと教育費のための貯蓄を増やしていたOさん夫婦は、目標達成まであと100万円というところで、夫の「借金100万円」が発覚しました。
本記事では、同じ目標に向かって進んでいた夫婦がなぜ借金を抱えてしまうようになったのか、夫婦間の節約意識の温度差、妻に言えなかった夫の本音、家計が黒字であっても安心できない理由についてFPの実体験に基づき分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
教育資金300万円達成、しかし夫の借金が発覚
相談者のOさん夫婦(40代)は、高校1年生の子どもの教育費として400万円を目標に貯蓄に励んでいました。すでに300万円を達成しており、住宅ローンの返済と並行しながらも、夫婦の節約や努力で家計を黒字で維持し続けている、相談を担当している筆者から見ても、健全な家計で仲のよい家族という印象でした。
しかし、教育費が目標まであと100万円というところで、夫に100万円の借金があることが発覚しました。借金の理由は浪費ではなく、数年にわたり続いていた「お小遣い3万円」の不足分を埋める目的でした。
月3万円のお小遣いでのやりくり、夫の立場と背景
夫のお小遣いは、月額3万円の固定制でした。勤務先では課長職にあり、部下とのコミュニケーションや職場の人間関係を築くための支出が必要な立場にありました。
夫は、部下や同僚から飲み会に誘われることがよくあり、自分からも仕事で失敗し落ち込んでいる部下を飲みに誘っているという状況でした。
課長職である夫は、お小遣いのやりくりが難しくとも、部下に「今日は割り勘で」とは、なかなか言えなかったとのこと。自分も若い頃は、上司におごってもらい、少ない給与だった当時は、上司の心遣いに感謝していたという背景がありました。
自分を支えてくれた上司の思いやりをありがたく思っていたため、自分も部下に同じようにしてやりたいと、自然と思うようになったそうです。
そんな課長職としての立場から必要な飲み会費用をやりくりし、妻が弁当を作れない日はお小遣いでコンビニの弁当などを購入していました。
飲み会の費用はもちろんのこと、コンビニで購入する昼食代やガソリン代、日用品の価格も上昇が続いています。1度の出費はそう多くはなくとも、小さな支出が重なり徐々にお小遣いの3万円では足りなくなったと話していました。
「がんばる妻」には言えない夫
なぜ、お小遣いのやりくりが難しく、借金を考えるようになっても、仲の良い妻に言えなかったのでしょうか?
夫が借金をしてまでお小遣いの不足をかくし続けてしまった背景には、がんばる妻への「申し訳なさ」がありました。妻は娘の教育費のために、毎日早朝から弁当を手作りし、地方ではどうしても必要になる車は中古車を購入、ファッションにも関心があるにもかかわらず衣服の購入は避けるなど、子どものために徹底した節約を実践していました。
妻の懸命な姿を毎日見ているからこそ、夫は「自分だけが飲み会代が足りないとは言えない」「がまんできない自分は情けない」という心理に陥ったと言います。
このように、妻が努力しているからこそ、夫は足りない現状を伝えることができなかったのかもしれませんが、それを聞いた妻は「言ってくれれば良かったのに」と悔やんでいました。
100万円の借金を防ぐための「言える関係性」の構築
教育費300万円が貯まっていても、それを守るために家族や夫婦の関係がこわれてしまっては本末転倒です。借金を防ぐためには、家計管理においても、臨時の出費を受け入れるといった柔軟な対応が重要になるかもしれません。
例えば、基本は固定制お小遣いでも、必要に応じて相談できる「臨時費」の枠を設ける、仕事をがんばることで評価され支給された賞与を受け取った月のお小遣いは増額、など対策が考えられます。月に数万円の臨時支出を家計から補てんすることで、利息のつく100万円の借金を防ぐことができたかもしれません。
まとめ
家計崩壊は、数字上の赤字ではなく、家族の間で「困った」が言えなくなることから始まるのではないでしょうか。教育費400万円は目標として大切ではありますが、困ったときに何でも相談できる関係性をつくることも、長期的な家計の安定には不可欠なことでしょう。
教育資金の準備は長期に亘ります。どちらか一方が犠牲になることは避け、現在の生活の満足度と将来の備えのバランスを夫婦で定期的に話し合うことが、結果的に家計を守ることにつながります。
物価上昇が続く現在、これまでできた「あたり前」が困難になっています。お互いの状況を把握し合い、使える制度を知り、家計を守って行く長期視点が重要になることでしょう。
出典
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)12月分(2026年1月23日公表)
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
