「年収の壁対策」で勤務時間を減らしていた同僚。今年から”働き方”を見直す人が増えているのはなぜでしょうか?
この背景には、最低賃金の上昇、人手不足、制度見直しの動き、そして将来の年金への考え方の変化があります。単に「みんなが気にしなくなった」というより、壁の前で止める働き方が以前ほど合理的ではなくなってきた面があるのです。
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目次
最低賃金が上がり、少ない時間でも壁に近づきやすくなった
まず大きいのは、時給が上がっていることです。時給が上がると、これまでと同じ日数や時間でも年収が増えやすくなります。その結果、「そんなにたくさん働いたつもりはないのに、106万円や130万円に近づいてしまう」という人が増えます。
こうなると、少しずつ勤務時間を削って調整するやり方が難しくなります。以前は週に数時間減らせば対応できた人でも、今は壁の手前で止めるためにかなり働き方を制限しなければならないことがあります。そのため、「それならいっそ壁を超えて働いたほうがいいのでは」と考える人が増えやすくなっています。
企業側も「壁を気にせず働いてほしい」と動き始めている
厚生労働省は、人手不足への対応として「年収の壁・支援強化パッケージ」を進めています。106万円の壁に対応する助成策や、130万円の壁について一時的な収入増なら扶養を外れにくくする特例などが設けられています。企業側も、人手不足の中で働き控えが広がると困るため、以前より壁対策に関心を持つようになっています。
そのため、職場によっては「勤務時間を少し増やしても不利が出にくい形」を整えようとする動きがあります。働く側から見ても、「壁を超えたら終わり」ではなく、「超えた後の負担をどう和らげるか」が意識されるようになってきました。
制度そのものも変わりつつあり、「106万円」を強く意識しすぎない流れになっている
厚生労働省は、2025年の年金制度改正法で、いわゆる106万円の壁に関わる賃金要件の撤廃や、企業規模要件の段階的な縮小・撤廃を進めるとしています。つまり、今後は「106万円だからここで止める」という考え方が、以前ほど意味を持たなくなる可能性があります。
制度が変わりつつある以上、昔の感覚のまま「とにかく壁の手前で止める」と決めてしまうのは、やや時代に合わなくなってきています。働く人が見直しを始めているのは、こうした流れを感じているからとも言えます。
「壁を避ける」より、自分に合う働き方
勤務時間を減らして壁を避ける働き方は、これまで一定の合理性がありました。ですが、時給の上昇、人手不足、支援策の拡充、制度改正の流れによって、その考え方は少しずつ変わってきています。今は、「壁の手前で止めること」が必ずしも最善ではない時代になりつつあります。
大切なのは、自分の時給、勤務先の制度、扶養の状況をもとに考え直すことです。働き方を見直すことは、損を避けるためだけでなく、将来の安心を増やすきっかけにもなるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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