パート勤務の妻が「扶養から外れそう」と言われています。家庭の手取りを考えると、年収はどの金額までに抑えるのがいちばん「税金的に得」なのでしょうか?
昨今、壁の引き上げなど政治の争点とされており、大きく見直しがされています。そこで本記事では、いくつもある年収の壁を正しく理解し、いちばん「税金的に得」になるのかを解説します。
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
まず、税制を理解しよう
パートやアルバイトで働く人が意識すべき4つの壁について解説します。
1. 106万円の壁
会社員の配偶者等で一定の収入以下の場合には、健康保険の被扶養者となり、あわせて国民年金の第3号被保険者に該当するため、健康保険料や国民年金保険料の自己負担は発生しません。しかし、一定の収入を超えると社会保険料の負担が発生し、その分手取り収入が減少します。その一定の収入が、106万円です。
なお、この壁の対象となるのは、従業員数50人を超える企業に週20時間以上勤務し、所定内賃金が月額8万8000円以上(年収換算で約106万円)に該当する方となります。
また、所定内賃金が月額8万8000円以上(年収約106万円)とする賃金要件については、法律の公布(令和7(2025)年6月)から3年以内に撤廃される予定です。さらに、従業員50人超の企業を対象とする企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃されますので、今後の法改正については注視する必要があります。
2. 110万円の壁
住民税がかかり始める目安は、給与収入110万円です。なお、所得税の課税最低限が160万円に引き上げられても(下記4項)、住民税の課税ラインは別建てで、自治体や条件により異なります。
ただし、パート収入が110万円以下の場合でも、お住まいの市区町村によっては、住民税の均等割がかかることがあります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせをする必要があります。
3. 130万円の壁
この壁を越えると企業規模に関わらず、配偶者の社会保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険・国民年金を払う(または社会保険に加入する)必要があり、一気に負担が増え、手取りが減少します。
4. 160万円の壁
給与収入が160万円を超えると、所得税が課税されます。2025年からの税制改正により、所得税が発生するボーダーラインが従来の103万円から160万円へと大幅に引き上げられました。合わせて、配偶者特別控除が満額受けられる配偶者の給与水準が160万円に引き上げられています。
いちばん「税金的に得」なのは?
年収別の社会保険および税金面でのメリットは、以下のようになります。
1. 106万円未満
奥さまの勤務先の企業規模要件など106万円の壁が発生する場合でも、この年収であれば、社会保険料や所得税、住民税がかかりません(※)。
2. 106万円超~110万円未満
奥さまの勤務先の企業規模要件などから106万円の壁が発生する場合は、新たに社会保険料が発生し、手取りが減少します。一方、106万円の壁が対象外の場合には、社会保険料や所得税、住民税がかかりません(※)。
(※)パート収入が110万円以下であっても、お住まいの市区町村によっては住民税(均等割)がかかる場合があります。
3. 110万円超~130万円未満
2項同様、社会保険料と住民税が新たに発生し、手取りが減少します。なお、106万円の壁が対象外の場合には、社会保険料や所得税はかかりませんが、住民税が新たに発生します。
4. 130万円超~160万円未満
奥さまの勤務先の企業規模にかかわらず、社会保険料が発生します。さらに住民税が課税されますが、2025年からの税制改正により所得税はかかりません。
5. 160万円超
社会保険料や所得税、住民税がかかります。また、配偶者特別控除は段階的に減額されていきます。
まとめ
パートやアルバイトで働く人が意識すべき4つの壁について、よく理解したうえで、働き方を検討しましょう。なお、国で決めている壁以外に、ご主人の勤務先の「家族手当(扶養手当)」にも注意が必要です。多くの企業が、「年収103万円以下」や「130万円未満」を支給条件にしています。
また、年収の壁については、政治の争点とされており、今後、さらに見直しが想定されますので、法改正には十分留意をしましょう。
出典
厚生労働省 年収の壁について知ろう
厚生労働省 「年収の壁」への対応
国税庁 家族と税
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
