パートで“月12万円”ほど働く予定ですが、夫から「扶養から外れるから調整して」と言われました。「年収の壁は178万円に引き上げられる」と聞いたのですが、年収140万円ほどでも影響はあるのでしょうか?
しかし、いわゆる「年収の壁」はひとつではなく、税制と社会保険で仕組みが異なります。
本記事では、年収140万円程度のケースを例に、それぞれの違いと影響を整理します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
「178万円の壁」は税金にかかわる壁
まず確認したいのは、「178万円の壁」は主に所得税に関する基準だという点です。
2026年以降は、給与所得控除と基礎控除の見直しにより、年収178万円までは所得税がかからない上限とされています。
したがって、給与収入のみで他に所得がなく、2026年以降の改正後の給与所得控除・基礎控除が適用される前提であれば、パート収入で年収140万円程度では、本人の所得税は原則として発生しないと考えられます。
このため、「年収178万円までは気にせず働ける」という理解は、あくまで所得税という税金の面に限った話であり、社会保険の加入基準とは別に考える必要があります。
「年収の壁」には社会保険にかかわる壁もある
これに対して、今回の相談者が夫から指摘された「扶養から外れる」という問題は、主に社会保険の扶養に関係すると考えられます。
健康保険や年金の被扶養者でいられるかどうかは、一般的に年収130万円未満かどうかで判断されます。この基準を超えると、配偶者の社会保険上の扶養から外れ、自分で健康保険や年金に加入して保険料を負担する必要が生じます。
したがって、給与収入のみで2026年以降の改正後の控除が適用される前提では、年収140万円という水準は、税制上は所得税がかからない可能性がある一方で、社会保険の面では扶養から外れる可能性があるという、税制と社会保険で取り扱いが分かれる点には注意が必要です。
2026年4月からは「130万円の壁」の判定方法が見直される
もっとも、この「130万円の壁」の扱いについては、2026年4月から見直しが行われます。
現行制度では、人手不足などによる残業で一時的に収入が増えた場合には、事業主がその旨を証明することで扶養にとどまることが認められています。ただし、130万円を継続的に超える見込みがある場合や、複数年にわたって超過している場合には、扶養から外れることになります。
これに対し、2026年4月以降は、被扶養者の判定を「実績」ではなく「労働契約上の見込み収入」を基準として判断する方向に見直されます。
具体的には、労働契約から算定した年間収入が130万円未満であれば、実際の収入が一時的に上振れしたとしても、原則として扶養から外れない扱いとなることが想定されています。このため、例えば残業によって一時的に収入が増えた場合でも、従来のように勤務時間を調整する必要性は相対的に低くなる可能性があります。
ただし、契約変更(昇給・勤務時間増など)があった場合や、継続的に130万円を上回ると見込まれる場合には、再判定により、扶養から外れる可能性があります。また、各種手当や交通費などが収入に含まれる点に変わりはありません。
なお、この見直しは2026年4月以降に被扶養者の認定を受ける人が主な対象とされています。給与以外の収入がない場合には、労働条件通知書などに基づき、契約上の収入見込みで判断されることになります。
まとめ
「178万円の壁」は所得税に関する基準であり、パート収入で、年収140万円程度であれば税負担は発生しない可能性があります。
しかし、配偶者の扶養に関係する社会保険の基準は引き続き130万円が目安とされており、この水準を超えると扶養から外れる可能性があります。
2026年4月からは「130万円の壁」の判定方法見直しも予定されていますが、制度の基本構造は維持されています。
税制と社会保険は別の仕組みであることを踏まえ、自身の収入水準と働き方に応じて、どの基準が影響するのかを整理することが重要といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
