子ども2人、奨学金を借りずに大学を出ましたが貯金がゼロに! 50代後半、退職金1500万円の予定なので貯金しなくていいですか?

配信日: 2026.04.01
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子ども2人、奨学金を借りずに大学を出ましたが貯金がゼロに! 50代後半、退職金1500万円の予定なので貯金しなくていいですか?
子ども2人を奨学金なしで大学まで進学させた結果、貯金がほとんど残っていない…… そのような家庭は少なくありません。50代後半で「退職金が1500万円くらい入る予定だから、今から無理に貯金しなくても大丈夫では?」と考える人もいるでしょう。
 
しかし、退職金だけに頼った老後資金計画は思わぬリスクを伴います。本記事で、50代後半からの現実的な資金づくりについて考えてみましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

教育費を優先した結果、貯蓄が減るのは自然の流れ

まず前提として、子どもの教育費を優先したために貯蓄が減る家庭は珍しくありません。日本政策金融公庫によると、大学4年間の教育費は、国立大学の場合は248万1000円、私立大学の場合は469万円となっています。
 
これに下宿用や生活費が加われば、1人あたり数百万円単位の負担になることもあります。つまり、子ども2人を奨学金なしで大学まで出したということは、家計としてはかなり大きな教育投資をしてきたといえます。
 
その結果として貯蓄が減るのは自然なことであり、「自分だけが失敗した」と考える必要はありません。ただし、教育費が終わった後の50代後半は、老後資金づくりの最後の準備期間になります。
 

退職金1500万円だけでは老後資金は不足しやすい

問題は、「退職金1500万円があるから大丈夫」と考えてしまうことです。総務省「家計調査年報 (家計収支編)2024年」によると、65歳以上で夫婦2人のみの高齢無職世帯の平均支出は月25万6521円となっています。
 
一方、社会保障給付 は22万5182円です。また、公的年金の平均受給額は、厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金(基礎年金月額を含む平均)は15万1142円となります。
 
これを見ると、毎月数万円程度の不足が生じるケースが多いことが分かります。仮に月5万円不足する場合、「5万円×12ヶ月×20年=約1200万円」です。
 
また、ここに住宅修繕や医療費、介護費などの支出が加わる可能性があります。このため、退職金1500万円は「老後の安心資金」ではなく、不足を補うための原資と考えるべきでしょう。
 

50代後半は「貯められる最後のチャンス」

50代後半は、家計にとって貯蓄のラストスパートの時期です。その理由は、教育費の出費が終わり、収入はまだ現役水準で、かつ年金開始まで時間があるという条件がそろうためです。
 
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、金融資産中央値は720万円です。つまり、実際には多くの家庭が老後資金を十分に準備できているわけではありません。
 
だからこそ「退職金があるから大丈夫」ではなく、「退職金を使わなくても生活できる準備を整える」ことが重要です。例えば、月3万円、5 万の貯蓄でも10年続ければ、360~600万円です。このような積み重ねによって、老後の安心感は大きくなるでしょう。
 

今からやるべき老後資金の3つの対策

本章では、50代後半からできる対策をまとめてみました。
 

(1)支出の固定費を見直す

老後の収入は、年金が中心です。老後の生活費を抑えやすくするために、住宅ローン・保険・通信費などの固定費を整理しておきましょう。
 

(2)退職金を生活費に使いすぎない

退職金は、老後資金、医療・介護の備えとして考え、生活費の穴埋めに使いすぎないことが重要です。
 

(3)働ける期間を延ばす

現在は、高年齢雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務化されています。さらに、70歳までの就業機会確保も努力義務となっています。少しでも働く期間を延ばせば、生活費をまかなうことができる、年金繰下げも検討できるなど、老後資金の状況は大きく改善します。
 

まとめ:退職金は「安心材料」ではなく「重要な資金」

子ども2人を奨学金なしで大学まで進学させたことは、家計として非常に大きな成果です。ただし、退職金1500万円だけに頼る老後設計はリスクがあります。
 
50代後半は、教育費の出費が終わる、収入がまだある、という意味で、老後資金づくりの最後のチャンスです。「退職金があるから貯金しなくていい」と考えるのではなく、退職金をできるだけ使わなくてすむ家計をつくるという発想に切り替えることが、安心した老後への近道といえるでしょう。
 

出典

日本政策金融公庫 ホームページ
総務省 家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)
厚生労働省 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)
厚生労働省 高年齢者の雇用
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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