残業で「月給30万→36万円」へ増加! でも経理の同僚に「9月の手取りが月1万2000円下がるよ」と言われショック!“一時的な残業代”なのにナゼ?「4・5・6月の呪い」の正体とは
この特定の期間に支払われた給与額が、その年の9月以降に天引きされる社会保険料を決定づけてしまいます。本記事では、残業によって一時的に月給が30万円から36万円に増えたケースを基に、手取りが減る仕組みと注意点を解説します。
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4月から6月の給与が向こう1年間の手取りを決める仕組み
毎月の給与から天引きされる社会保険料は、その都度計算されているわけではありません。事務手続きを簡略化するため、「標準報酬月額」という基準が用いられています。
この基準額が更新されるタイミングは原則として毎年4月から6月であり、この3ヶ月に支払われた給与の平均額を基に、新しい標準報酬月額が決定されます。これを「定時決定」と呼び、決まった保険料は9月から翌年8月まで適用され続けるのです。
つまり、この3ヶ月に残業が集中し給与が一時的に増えると、その後に残業が減っても、高い保険料が引かれ続ける状態になります。
月給30万円が36万円への等級アップで手取り減
では、月給30万円が36万円に増えた場合、どの程度の差が生じるのかを確認してみましょう。社会保険料の算出基礎となる標準報酬月額は、4月から6月の平均給与で決まり、その等級に応じて保険料が固定されます。
東京都の事業所に勤務する40歳以上65歳未満(協会けんぽ加入)を前提に試算します。
全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表している「令和8年度都道府県単位保険料率」によれば、東京都の健康保険料率は9.85%、介護保険料率は1.62%(全国一律)で、合計11.47%です。さらに、令和8年4月分(5月納付分)から子ども・子育て支援金が加わります。これに厚生年金保険料率18.3%を加え、労使折半した個人負担分を算出します。
月給30万円の場合、標準報酬月額は「30万円(22等級)」となり、社会保険料の個人負担は月額4万5000円です。一方、月給36万円になると「36万円(25等級)」へ上昇し、社会保険料が月額5万4000円となるため、毎月9000円の負担増となります。
さらに、雇用保険料や所得税も連動して増減します。これらを含めると、手取りは月額で約1万2000円前後減少する計算です。
注意すべきは、給与が再び30万円に戻っても、保険料は36万円の等級で据え置かれる点です。結果として、約1年間にわたり手取りが減少した状態が続きます。年間では可処分所得が14万円以上減少する可能性もあり、短期的な増収以上の負担となるケースも考えられるでしょう。
損をしないための働き方とは?
手取りを守るためには、4月から6月に「支払われる」給与に反映される残業時間のコントロールが重要です。多くの企業では、前月の残業代が翌月に支払われるため、実質的には「3月・4月・5月」の残業を抑えることが、秋以降の社会保険料の節約に直結します。
調整できそうな業務は7月以降へ先送りするなど、この時期の稼働を平準化する工夫が求められます。特に等級の境界線(例えば35万円と37万円の境目など)の直上にいる場合は、数時間の残業を減らすだけで年間数万円単位の支出を抑えられるかもしれません。
また、残業だけでなく、この期間に支給される「通勤手当(定期代)」の一括支給分なども、算定基礎に含まれる点に注意が必要です。引っ越しや通勤ルートの変更を検討している場合は、タイミングをずらすといった調整を、手取り減少を防ぐためにも考えてみましょう。
春先の残業コントロールが年間を通した手取りを守る
4月から6月の給与が、その後1年間の社会保険料を決定する仕組みを理解しておくことが重要です。一時的に収入が増えても、等級上昇により手取りが減る可能性があります。通勤手当や各種手当も含めて計算される点にも注意してください。
春先は意識的に残業を調整し、効率的に働くことが結果的に手取りの最大化につながります。制度を理解し、無駄な負担を避けるためにも、現在の状況を確認しておきましょう。
出典
全国健康保険協会 令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
