40歳・月1万円・20~25年積み立てという条件で、iDeCoをやる意味がありますか? それとも貯蓄を優先すべきでしょうか?
そこで本記事では、「毎月1万円ずつ、20~25年間、積立投資をしたらどうなるのか?」「積立投資より貯蓄を優先すべきか?」について解説します。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
毎月1万円ずつ、20~25年間、積立投資をしたらどうなるのか?
例えば40歳の会社員が、iDeCoを利用して毎月1万円(年12万円)を複利運用しながら積み立てていったとき、将来いくらになるのかを試算してみます。このような試算は、「年金終価係数」という係数を用いて行います。
試算するにあたって、運用期間を40歳から20~25年間と仮定します。iDeCoは60歳になるまで引き出すことができないため、40歳から運用を始めた場合、運用期間は最低20年です。公的年金は原則として65歳で受け取ることから、それまで運用した場合、運用期間は25年になります。
また、運用利率(年率)を1~3%と仮定します。ただし、運用成績を予測したりコントロールしたりすることはできず、運用成績がプラスになるかマイナスになるかも分からないため、この利率についてはあくまで仮定であり、運用結果を予想するものではない点にご留意ください。
以上の仮定のもとで試算した結果は、図表1のとおりです。なお、貯蓄で積み立てた場合を利率0%として掲載します。
図表1
| 利率\期間 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0% | 240万円 | 252万円 | 264万円 | 276万円 | 288万円 | 300万円 |
| 1% | 264万2280円 | 278万8703円 | 293万6590円 | 308万5956円 | 323万6816円 | 338万9184円 |
| 2% | 291万5684円 | 309万3998円 | 327万5878円 | 346万1396円 | 365万623円 | 384万3636円 |
| 3% | 322万4445円 | 344万1178円 | 366万4414円 | 389万4346円 | 413万1176円 | 437万5112円 |
※筆者作成
ここから、月1万円を20~25年間、積立投資をした場合、貯蓄と比べ10%以上の差が生じることが分かります。したがって、この積立投資には「意味がある」といえます。なお、資産運用における「複利運用」とは、「再投資」をすることをいいます。
積立投資より貯蓄を優先すべきか?
一般に、貯蓄は投資より優先します。貯蓄のうち、当面使う予定のない資金を投資に回すと考えるためです。この「当面使う予定のない資金」のことを、余裕資金といいます。
余裕資金のほか、手持ちのお金は、以下のように分類できます。
・生活資金:日常の生活費などに使うためのお金
・使用予定資金:今後10年以内に使う予定のあるお金
・緊急資金:急な出費に備えるためのお金(生活費の3ヶ月~1年分程度)
このうち、使用予定資金・緊急資金・余裕資金は貯蓄に相当します。投資にはリスクが伴うことを考慮すると、使用予定資金や緊急資金は投資資金として適していません。しかし、余裕資金は長期運用することで、他の資金に比べリスクの影響が少ないと考えられます。
この資金に優先順位を付けるとしたら、(1)生活資金、(2)使用予定資金・緊急資金、(3)余裕資金となりますが、使用予定資金・緊急資金が貯まるまで投資をしてはいけないというわけではありません。大切なのは、バランスです。
必要な金額を積み立てで準備する場合、以下の計算式が成り立ちます。
必要な金額=毎月の積立額×積立期間
必要な金額が同じであっても、積立期間の長短によって毎月の積立額は変わります。この考え方を使用予定資金・緊急資金・余裕資金に当てはめると、手持ちのお金の振り分け方が決まります。
余裕資金にお金が回せそうであれば積立投資を始めてみるのもいいでしょうが、使用予定資金・緊急資金の準備が心もとないようであれば貯蓄を優先すべきでしょう。
まとめ
本記事では、「毎月1万円ずつ、20~25年間、積立投資をしたらどうなるのか?」「積立投資より貯蓄を優先すべきか?」について解説しました。まとめると、以下のとおりです。
・毎月1万円ずつ、利率(年率)1~3%で複利運用しながら20~25年間、積立投資をした場合、単純に積み立てた場合と比べ10%以上の差が生じる
・貯蓄を使用予定資金・緊急資金・余裕資金に分類し、使用予定資金・緊急資金に不安があるなら貯蓄を優先し、余裕資金に回せるようなら積立投資を始めてもいい
iDeCoは投資に伴うリスクを抑えた少額・積立(長期)・分散投資を行うことができ、老後資金を準備するのに適した制度といえます。毎月の積立額が少額であっても長期で複利運用するのであれば、将来的に大きな差が生まれる可能性があります(増える可能性もあれば減る可能性もある点には注意が必要です)。
貯蓄と投資のどちらを優先すべきかについては、人それぞれ考え方があるため一概にはいえませんが、使用予定資金や緊急資金とのバランスによって判断するのがいいでしょう。判断基準については本記事を参考にしてください。
出典
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
