子どもが大きくなったので、パートの時間を増やそうと思っています。しかし夫には「扶養内が一番得だ」と言われました。扶養内が本当に一番得なのでしょうか?
扶養という言葉はよく使われますが、実際には税金と社会保険で考え方が異なり、どこを基準に判断すればよいのか迷いやすい部分があります。そこで本記事では、扶養内で働く場合と扶養を外れて働く場合の違いや、判断する際のポイントについて解説します。
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扶養内が一番得とはかぎらない理由
扶養内で働くことが、常に一番得とはかぎりません。なぜなら、扶養にはいくつかの考え方があり、見るべき基準が一つではないからです。
夫の税金に関係する「税制上の扶養」と、自分が保険料を負担するかどうかに関係する「社会保険上の扶養」は別々に考える必要があります。税制では、2025年分から配偶者控除の基準となる、配偶者の給与収入の目安が123万円以下に見直されています。
これに対し、社会保険では、一定の条件を満たすと年収約106万円で勤務先の社会保険に加入し、原則として年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れます。つまり、「少し超えたら必ず大損」という単純な話ではなく、123万円・106万円・130万円のどの基準に関わるかによって影響は異なります。
まず確認したい「123万円・106万円・130万円」の違い
まず123万円は、税金を考えるうえで目安になりやすい金額です。配偶者の給与収入が123万円以下の場合は、夫は配偶者控除を受けられる可能性があります。
ただし、123万円を少し超えたとしても、すぐに控除がなくなるわけではありません。収入に応じては、配偶者特別控除の対象になるためです。そのため、123万円を超えた途端に手取りが大きく減るとはかぎりません。
一方で、106万円と130万円は社会保険の影響が大きい基準です。現在は、従業員50人超の企業などで週20時間以上働き、月額賃金8万8000円以上などの条件を満たすと、厚生年金と健康保険の加入対象になります。
さらに厚生労働省は、いわゆる106万円の壁につながる月額賃金8万8000円以上の要件を2026年10月に撤廃する予定です。あわせて、企業規模要件も段階的に縮小し、最終的には撤廃する方針を示しています。そのため今後は、年収額そのものより「週20時間以上働くか」がより重要になります。
また130万円は、配偶者の社会保険の扶養に入れるかどうかの大きな目安です。
厚生労働省と日本年金機構は、2026年4月1日以降、被扶養者認定では、労働契約の内容をもとに見込まれる年間収入が130万円未満かどうかを原則として判断すると案内しています。収入が一時的に増えたときの特例もありますが、働く時間を恒常的に増やすなら、130万円を超える可能性は早めに確認したほうが安心です。
パートの時間を増やす前に見るべき判断ポイント
時間を増やす前に大切なのは、自分の年収だけではなく、世帯全体の手取りで考えることです。例えば、年収が少し増えても社会保険料の負担が始まると、手取りの伸びが小さく感じる時期があります。
ただし、社会保険に入ると、将来の老齢厚生年金が上乗せされるほか、健康保険の傷病手当金や出産手当金などの保障も受けやすくなります。目先の手取りだけでなく、保障と将来の年金まで含めて考えることが重要です。
そのため、判断の順番としては、まず勤務先で週何時間働く予定かを確認し、次に年収が税金の目安となる123万円や150万円、社会保険の目安となる130万円を超える見込みがあるかを整理すると、判断しやすくなります。
中途半端に基準の近くで調整を続けるより、扶養内に収めるか、扶養外で収入をしっかり伸ばすかを決めたほうが、結果として家計管理はしやすくなります。
扶養内か扶養外かは世帯全体で考えよう
扶養内で働くことが、一番得とは一概にいえません。税金だけを見ると影響が小さい場合でも、社会保険では手取りや保障に大きく関わるからです。
子どもが大きくなり、今後も継続して働く時間を増やせるなら、扶養を意識しすぎるより、どこまで働けるかを先に考えたほうが合うケースもあります。一方、家庭との両立を優先したい時期は、扶養内を目安にする考え方にも意味があります。
このように、扶養内で働くか、扶養を外れて働くかは、一つの基準だけで決められるものではありません。
働き方を決めるうえで大切なのは、目先の損得だけで働き方を決めるのではなく、家計や働きやすさ、将来の安心を含めて、自分の家庭に合った働き方を選ぶことです。目先の金額だけにとらわれず、家計と将来の安心の両方をふまえて働き方を選びましょう。
出典
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
厚生労働省 「年収の壁」への対応
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
