正社員を辞めて扶養内パートで働こうと思います。年収いくらまでなら扶養内ですか?

配信日: 2026.05.08
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正社員を辞めて扶養内パートで働こうと思います。年収いくらまでなら扶養内ですか?
正社員の仕事を辞めて、これからは扶養内パートで働きたいとおっしゃる方から相談を受けました。
 
気にしていらっしゃったのは「年収いくらまでなら扶養内か?」という「年収の壁」です。ただ扶養とひと言でいっても、実は「税金の扶養」と「社会保険の扶養」があり、それぞれで基準の年収もメリットも異なります。
 
そこで本記事では、それぞれの扶養に入るメリットと年収の壁を整理し、さらに正社員を退職して扶養に入るときの注意点を解説します。
蟹山淳子

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

税金の扶養

これまで「103万円の壁」が、扶養内で働く年収の基準として多く取り上げられてきました。所得税を計算する際、年収から基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を差し引くので、年収103万円以内なら所得はゼロです。
 
すると、所得税の課税はされず、さらに配偶者の所得税の計算で配偶者控除が適用されるので、所得税の額が減ります。パートの方の多くは、この壁を超えないように働いてきたのではないでしょうか。
 
ところが令和7年度税制改正で、基礎控除額が95万円(年収約200万円以下)、給与所得控除は65万円(年収190万円以下)に引き上げられたため、年収160万円以下であれば所得税は非課税です。
 
配偶者控除の適用基準は年収123万円以下となりましたが、配偶者の所得が900万円以下であれば、年収160万円まで配偶者特別控除の額は配偶者控除と同じ38万円となります。
 
つまり、103万円の壁は「160万円の壁」となり、所得税に関しては年収160万円以内が扶養内といえます。なお、税金の扶養は、暦年(1月1日~12月31日)の収入で考えるので、1年の途中で退職してすでに160万円超の収入がある場合は、その年はもう税金の面で扶養に入ることはできません。
 
今後、基礎控除がさらに引き上げられ、「160万円の壁」は「178万円の壁」になるという話も聞かれますので、早めに情報をキャッチできるよう注意しておきましょう。
 
なお、住民税の扶養の基準はこれまで「100万円の壁」といわれてきましたが、こちらも給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられたことから、「110万円の壁」となっています。ただし、自治体によって住民税の計算方法が多少違うことがあるので、お住まいの自治体での確認が必要です。
 

社会保険の扶養

社会保険の扶養に入っていると、配偶者が勤務先で厚生年金と健康保険に加入している場合、扶養内であれば自分で社会保険料を納めなくても、国民年金に加入(第3号被保険者)でき、扶養家族として健康保険のサービスを受けられるというメリットがあります。そのため、実は扶養から外れた場合の影響は、税金より社会保険のほうが大きいのです。
 
社会保険の扶養内で働くときの収入の基準は2つあり、1つ目が「106万円の壁」です。年収106万円を超えて働き、以下の5つの要件をすべて満たす場合は、自分で社会保険に加入しなければなりません。
 

・従業員数51人以上の企業等
・週の勤務が20時間以上
・給与が月額8万8000円以上(残業代、賞与、通勤手当、臨時の手当は含まない)
・2ヶ月を超えて働く予定
・学生ではない

 
この壁を超えると、給与から社会保険(厚生年金・健康保険)の保険料が引かれるので手取りは減りますが、老後に受け取る年金額が増える、万一病気やけがで働けないときは、傷病手当金を受け取れるなどのメリットもあります。
 
なお、5つの要件のうち、「給与が月額8万8000円以上」の基準はなくなることが決まっています。そのため、今後は年収「106万円の壁」ではなく、勤務時間「週20時間の壁」になるでしょう。また、企業の従業員数の基準も段階的に下げられて、対象が広がる見込みです。
 
2つ目は、「130万円の壁」です。「106万円の壁」の対象とならない人も、年収が130万円を超える場合は扶養から外れて、自分で厚生年金+健康保険、または国民年金+国民健康保険に加入しなければなりません。どちらに加入するかは、勤務先や働き方によって決まります。
 

正社員を辞めて扶養に入るときの注意点

社会保険の扶養に入れるかどうかは暦年(1月~12月)ではなく、これから1年に130万円を超える収入の見込みがあるかで判断されます。そのため、すでに暦年で130万円以上の収入があっても、退職した時点で次の仕事の予定がなければ、次の日から扶養に入ることができます。
 
ただし、失業保険を受け取る予定がある場合は気をつけなければなりません。失業保険の基本日額が3612円以上だと、扶養から外れてしまいます。
 
3612円 ×30日 ×12月 >130万円
 
扶養に入ったものの失業保険を受け取ることで外れた場合は、国民健康保険に加入しなければなりません。この場合の保険料は前年の所得で計算されるため、高額になることが多いのです。
 
したがって、失業保険の額によっては元の勤務先の健康保険に任意加入しておき、失業保険を受け取る期間が終了した時点で扶養に入ることを検討してみましょう。
 

まとめ

扶養内で働きたいのであれば、現状では年収106万円または130万円以内に抑えましょう。ただし、これから税金に関しては非課税の範囲が広がる見込みであるのに対し、社会保険では扶養を外れて自分で加入する人の範囲が広がる傾向にあります。
 
差し当たって、「106万円の壁」は2026年10月に撤廃され、週20時間という労働時間の壁に代わる予定です。
 
社会保険料の負担は大きく感じられるでしょうが、夫婦仲よく長生きするなら、受け取れる年金は少しでも多くしたいものです。手取りが減らされない範囲にこだわりすぎず、ワークライフバランスやこれからのライフプランを考えながら、無理のない働き方を選択しましょう。
 

出典

厚生労働省 「年収の壁」への対応
 
執筆者 : 蟹山淳子
CFP(R)認定者

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