住宅金融支援機構で住宅ローンを組んでいる方が被災した場合の「災害特例」って?

配信日: 2019.12.27 更新日: 2024.10.10

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住宅金融支援機構で住宅ローンを組んでいる方が被災した場合の「災害特例」って?
ここ近年、多発する自然災害ですが、住宅金融支援機構では、住宅ローンを借りている方で、地震や津波、噴火、暴風雨、洪水で被災され方に対し返済方法を変更する「災害特例」という制度を設けています。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

災害特例の適用対象者

次のアからウまでのいずれかに該当し、かつ、被災後の収入月額が「変更前の毎月の返済金の4倍」以下、または「世帯人員×6万4000円」以下となる見込みの方
 
 ア 融資住宅等が損害を受け、その復旧に相当の費用が必要な方
 イ 債務者ご本人またはご家族が死亡・負傷したため、著しく収入が減少した方
 ウ 事業財産等または勤務先が損害を受けたため著しく収入が減少した方
 
被災後の収入月額は、次の計算式が目安となっています。
「被災後1年間の収入額-(融資住宅等の復旧に要する自己資金+災害による負傷または疾病の治療費)×1/12
 
対象者の要件に当てはまった場合、「災害特例」として返済方法を変更することができます。
変更内容は、次のようになっています。

災害特例における住宅ローンの返済方法の変更内容

 ア 返済金の払込みの据置(1年~3年)
  ・据置期間中は、元金・利息の返済は必要ありません。
  ※ただし、据置期間終了後、据置期間中の利息を通常の元金・利息に加えて返済する必要があります。
 
 イ 据置期間中の利率の引下げ
  ・据置期間中は、現在適用されている金利を一定に引き下げた金利となります。
  
 ウ 返済期間の延長(1年~3年)
  ・据置期間分だけ返済期間を延長します。
  ※据置期間を設けず返済期間だけを延長することもできます。
 
このように、返済方法の変更内容は、「据置期間中は、返済不要」、もしくは、「据置期間中の金利引下げ」、また「返済期間の延長」の3つになりますが、り災による家計収支の悪化の程度(り災割合)に応じて、返済方法の変更が実施されるようになっています。
 
○り災割合に応じた返済方法の変更

※住宅金融支援機構「住宅金融支援機構の住宅ローンをご返済中の皆様へ」
 
例えば、り災割合が60%以上の場合、「返済金の払込みの据置」と「返済期間の延長」については、それぞれ最長で3年、また、「据置期間中の利率の引下げ」については、1.5%を引き下げた金利が適用されるようになっています(金利が0%を下回る場合、下限は0.01%)。
 
ただし、フラット35で住宅ローンを借りている方の場合、「据置期間中の利率の引下げ」については、り災割合に関係なく、0.5%を引き下げた金利が適用されるため注意が必要です。

まとめ

何らかの災害に遭遇した場合に備えて、家計面でリスクマネジメントを施しておくことはとても重要です。中でも、住宅ローンを組む場合、被災後、借入金の返済についてどのような支援措置があるかを事前に知っておくことはより重要といえるでしょう。
 
住宅ローンを組む際は、住宅の購入金額や自己資金、住宅ローンの金利、返済方法、団体信用生命保険や火災保険など、基本的に検討すべき経済的な項目は多くありますが、同時に、リスクマネジメントとして、もし、返済が難しくなった場合についても、事前に確かめたうえで契約するようにしましょう。
 
【出典】
※住宅金融支援機構「住宅金融支援機構の住宅ローンをご返済中の皆様へ」
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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