住宅ローンの借り換えができない場合とは?対策もご紹介 | ファイナンシャルフィールド

更新日: 2022.03.07 借り換え

住宅ローンの借り換えができない場合とは?対策もご紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

住宅ローンの借り換えができない場合とは?対策もご紹介
住宅ローンを借りた当時と比べ金利が下がっている、住宅ローンの月々の返済額を減らしたい、住宅のリフォームを考えているなど、さまざまな理由で住宅ローンの借り換えを検討する場面があると思います。
 
しかし、住宅ローンの借り換えには再度審査があり、審査の結果次第では住宅ローンの借り換えができないことがあります。
 
本記事では、住宅ローンの借り換えが行えない場合について解説します。また、住宅ローンの借り換えができないときはどうすればいいのかといった対処法についても記載しています。住宅ローンの借り換えを検討する場合は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジュを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンの借り換えができない8つのケース

住宅ローンの金利を見直したい場合、住宅ローンの借り換えを検討する方が多いと思います。その場合、住宅ローンの借り換えができない可能性があることはご存じでしょうか? 以下に一つずつ解説していきます。

1.同一金融機関内での借り換え

まずは、同一金融機関内での借り換えについてです。

基本的に、同一金融機関内で、住宅ローンの借り換えを行うことはできません。住宅ローンを最初に組んだときと比べて、金利が下がっている場合などは、同一銀行内での借り換えを希望すると思いますが、銀行にはメリットがないため、借り換えを行うことはできないのです。

例外的に、金融機関によっては、違う住宅ローン商品に切り替えることで借り換えを行うことが可能ですが、その場合でも借り換えに必要な書類集めや審査、費用からは逃れることができません。

住宅ローンの借り換えには、書類集めや審査、必要資金の準備などが必要になることを覚えておきましょう。

しかし、金利が下がっている場合、できれば同一金融機関内で借り換えを行いたいですよね。そんな場合は、金融機関との金利交渉にのぞむことで、金利を下げることができる可能性があります。

ほかにも、金融機関に優遇金利を適用してもらうことで、金利を下げることも可能です。住宅ローンの金利を下げたい場合には、まず現在借りている金融機関との交渉にのぞむのがよいでしょう。

2.公的融資を使用する場合

次に、公的融資を使用する場合についてです。原則として、財形住宅融資、公庫、自治体などの住宅ローンを利用している人は、民間金融機関の住宅ローンへの借り換えはできません。また、民間金融機関の住宅ローンから、財形住宅融資、公庫や自治体の住宅ローンに借り換えることもできません。

したがって、民間金融機関で住宅ローンを組んでいる人は、借換先を公的融資ではなく民間金融機関で探すようにしましょう。

3.住居を賃貸に出した場合

次に、住居を賃貸に出した場合について解説します。住居を賃貸に出している場合は、収益物件としてみなされ、住宅ローンとしての借り換えができなくなります。

その場合、事業用ローン(アパートローン)としての借り換えとなります。この事業用ローンは住宅ローンと比べ、金利が高くなる傾向があります。また、住宅を賃貸に出す場合は、住宅ローンの契約書に記載した内容に変更が生じることから、その段階で速やかに金融機関に申告する必要があります。

4.転職・独立した場合

次に、返済期間中に転職・独立した場合です。多くの金融機関では、住宅ローンの審査基準に、年収や最低勤続年数を定めていることが多いです。そのため、借り換えをする直前に転職などをして、最低勤続年数が減っている場合は、審査に通らないことがあります。

多くの金融機関では、住宅ローンの審査を通過する条件として、勤続年数を2~3年以上に設定しています。

対処法としては、金融機関によっては勤続6ヶ月以上で申請可能な場合もあるので、自身の状況にあった金融機関を探して住宅ローンの借り換えを申し込んでみてください。中には、転職後の場合は勤続年数を問わない、もしくは転職前の勤続年数と合算するとする金融機関もありますので、諦めずに探すことが大切です。

5.収入減の場合

次に、収入が減っている場合についてです。各金融機関は返済負担率(年収に対する住宅ローンを含むローン全体の年間返済額の割合)の基準を設けているため、収入が減っている場合はこの返済負担率の基準を満たせず審査に通らないことがあります。

しかし、収入が減った場合に向けた住宅ローンの借り換えプランなども存在しています。そのような場合は、借り換えの諸費用などを含めて借り換えができるプランを使って住宅ローンを借り換えてみてください。

このようなプランでは、住宅ローンの月々の返済額を抑えることもできるので、検討してみるとよいでしょう。

6.健康状態が悪化した場合

次に、健康状態が悪化した場合です。住宅ローンを最初に借りた時より、健康状態が悪化している場合は住宅ローンの借り換えができない場合があります。

なぜなら、金融機関の多くは、住宅ローン申込時に団体信用生命保険(団信)への加入を義務付けています。この団体信用生命保険への加入は、借換時にも義務付けられていることが多く、そのときの健康状態によっては団信に加入することができません。

中には、団信への加入が任意の住宅ローンもあるため、団信への加入が難しい場合は、加入が義務付けられていない住宅ローンを探すのがよいでしょう。

7.物件価値が著しく落ちている場合

次に、物件の価値が著しく落ちている場合です。物件の評価額が低く、担保の基準に満たない状態だと借り換えが難しくなる場合があります。

しかし、金融機関によっては住宅ローンの借り換えに限って、担保価値の200%まで融資可能な金融機関もあります。そのような金融機関では、住宅ローンを借り換える際に必要な諸費用を融資額に含めて申し込むことが可能です。

8.ローン支払いなどで、延滞した場合

最後に、ローンの支払いなどを延滞してしまった場合です。過去5年間以内に、返済中の住宅ローン、カードローン、自動車ローン、公共料金などで延滞があると、借り換えが難しくなります。

延滞などで、自身の信用情報に傷がついていないか知りたい人は、信用情報機関へ自分の信用情報開示を求める手続きをしましょう。

信用情報に傷がある場合は、ノンバンクでの借り換えも検討してみましょう。ノンバンクの場合は、審査基準が一般の金融機関とは異なりますので、住宅ローンの審査通過に不安がある場合は、検討する金融機関の幅を広げることをおすすめします。

住宅ローン借り換え審査は新規より厳しい?

住宅ローンの借換時の審査は、新規で住宅ローンの申し込みをした際よりも厳しいといえるでしょう。

これは金融機関が借り換え審査へのハードルを上げているからではなく、申込者の病気リスクが上がる一方で住宅の担保価値が下がっているからです。

借換時には、申込者の年齢は上がっています。つまり病気リスクが上がっている状態です。令和2年度の民間住宅ローンの実態に関する調査では、健康状態を審査項目として回答した金融機関は98.2%でした。このことからも健康状態は、住宅ローン審査で重視されていることがわかります。

さらに住宅の建物価値は築年数で決まります。たとえリフォームされていても、金融機関が重視する担保価値に適正に反映されません。築後20年から25年で建物価値がゼロになる現状を考えると、担保価値の下落が借り換え審査に大きく影響することがわかります。

ただし土地は経年劣化しません。土地も担保評価の対象なので、一定の価値は保たれますが建物と合わせた融資額はどうしても低くなってしまいます。

住宅ローン借り換え審査に通るためのチェックポイント5つ

ここでは住宅ローンの借り換えを成功させるためのチェックポイントを5つご紹介します。どのようなケースの場合に借り換えできないのかなど、借り換え審査に通過するポイントを解説しますので、住宅ローンの借り換えを検討している方は参考にしてください。

1.借り換え審査を申し込む前に信用情報を確認しよう

過去にローンを延滞した履歴があれば、借り換えできない可能性が高くなります。カードローンやクレジットカードなどの過去の取引に不安がある方は、信用情報を取り寄せてみましょう。

個人の信用情報は、CIC、KSC、JICCという3つの信用情報機関に登録されています。信用情報の開示は、公式サイトからも請求可能です。

延滞記録の保有期間は5年とされているので、借り換えの申し込みをためらうより実際の信用情報をまず確認することをおすすめします。

2.余裕資金で既存ローンを減らして返済負担率を下げよう

借り換えの際にチェックしておきたいのが、住宅ローン以外のローンが増えていないかどうかです。令和2年度の民間住宅ローンの実態に関する調査によると、返済負担率を考慮していると答えた金融機関は92.1%にのぼりました。つまり返済負担率が高いと、借り換えできない可能性が高まります。

住宅ローンの返済負担率(返済比率)とは、住宅ローンを含むローン全体の年間返済額が年収に占める割合のことです。金融機関によって目安となる返済負担率の考え方は異なります。45%以内と回答した金融機関は1051 機関中41、40%以内と回答した金融機関は33、35%以内と回答した金融機関は33でした。

そこで借り換えを検討している方は、まずマイカーローンやクレジットカードのリボ払いなどの現状を把握するようにしましょう。できるだけ返済負担率を下げるために、既存のローンを減らす努力も大切です。

日頃から借り換えのチャンスをうかがっている方は、住宅ローン以外のローンをできるだけ増やさないようにしておくとよいでしょう。

すでにローンを増やしてしまっている方は、余裕資金があれば既存ローンを減らして返済負担率を下げることも検討してみてください。また、ローンが増えていなくても、年収が下がれば返済負担率は上がるため注意が必要です。

3.借り換え審査に通りやすい時期を見極める

現在借り入れしている住宅ローンの契約後に転職をした場合、勤続年数が少ないとみなされ借り換えができないかもしれません。転職後すぐに借り換えをするよりも、しばらく勤続年数を増やすことを検討した方がいい場合もあります。

令和2年度の民間住宅ローンの実態に関する調査によると、勤続年数も審査項目として重視されていることがわかるからです。勤続年数を3年以上としている金融機関は1087機関中195、2年以上としている金融機関は57、1年以上としている金融機関は654という回答結果でした。

この回答結果から、審査項目に勤続年数を加えている金融機関によっては、条件とする年数が異なることがわかります。そこで借り換えを申し込む金融機関が取り扱う、住宅ローンの申し込み条件をぜひチェックしてみてください。勤続年数2年あるいは3年以上としている金融機関を利用して、転職後すぐに借り換えを検討しているなら注意が必要です。

なお健康に不安があるときも団信に加入できない可能性があり、審査に通りにくくなります。健康状態が良好で勤続年数も十分あるタイミングで、借り換え審査にのぞむとよいでしょう。

4.完済時の年齢が高くならないよう自己資金を投入する

令和2年度の民間住宅ローンの実態に関する調査によると、完済時年齢はもっとも重視されている審査項目です。99.1%の金融機関が、完済時年齢を審査項目として考慮していると回答しているからです。

80歳未満と答えた金融機関と答えた金融機関がもっとも多く、その数は1131機関中913でした。とはいえ80歳未満まで住宅ローンの支払いを続けるのは簡単なことではありません。借り換え後に、完済時の年齢が高すぎるとみなされると借り換えできない可能性があります。

自己資金の中から無理のない返済金額で繰り上げ返済するなどして、完済時の年齢が高齢にならないように注意してください。

5.複数の金融機関を比較検討しよう

金融機関によって、住宅ローンの審査において重視しているポイントは異なります。例えば勤続年数の評価が代表的な例です。多くのネット銀行では勤続年数を重視せず、前年度の年収を重視する傾向にあります。

つまりある金融機関で借り換えできない場合でも、別の金融機関なら審査に通ることもありえるのです。したがって複数の金融機関を候補に入れておきましょう。

住宅ローンを借りたときと状況が変わると借り換えられないことがある

住宅ローンの借り換えをするときに、借り換えができないパターンがあることについて解説してきました。住宅ローンを借りた当時と比べ、状況が変化していると借り換えが難しくなることがわかっていただけたと思います。また、同一金融機関内での借り換えや、公的融資への借り換え、公的融資を利用している場合の借り換えはできません。

住宅ローンを借りた当時と比べ状況が変化している場合は、金融機関によっては借り換えを行うことが可能です。銀行だけではなく、ノンバンクの住宅ローンも検討するなどして、自身の状況にあった住宅ローンを探すことをおすすめします。

出典
※国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
※国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針のポイント」

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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