住宅ローン控除の場合、(1)「居住要件」(2)「所得要件」(3)「住宅の面積要件」(4)「借入金要件」(5)「他の特例との適用不可要件」これら5つの要件をすべて満たした場合に、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
今回は、住宅ローン控除の金額について、具体的にみていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
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住宅ローン控除は、所得税から控除される
まずは、所得税の計算式を簡単に確認しておきましょう。
(1)収入-控除=課税所得金額
(2)課税所得金額×所得税率=所得税
所得税は、収入からさまざまな控除が差し引かれた所得に対し、一定の税率がかけられ算出されます。
そして、住宅ローン控除(税額控除)は所得税から差し引かれることになります。
(3)所得税-住宅ローン控除(税額控除)
ここがポイントですが、ご家庭によってはその年の所得税が還付されることがあるため、家計のメリットとしては大きいと言えます。
住宅ローン控除額の算出方法は?
それでは、住宅ローン控除の計算式をみていきましょう。
前回、住宅ローン控除は「国の住宅政策の一環」というお話をしました。
このようなことから一定の制限が設けられており、住宅ローン控除を受ける場合は「居住の用に供する年」に区切りがあります。居住の用に供するとは住むということですが、簡単に言うと「住み始めた年」によって少しだけ違いがあります。
最新の区切りでは、「平成26年1月1日から平成33年12月31日」に住み始めた場合、この期間で適用される控除期間は10年です。
そして、住宅ローン控除の金額ですが、次の計算式により算出されます。
〇住宅ローン控除額=住宅ローンの年末残高×1%
ここで、以下の条件のもとケーススタディをしてみましょう。
○居住の用に供した年:平成30年4月1日
○控除期間:10年
○住宅ローンの年末残高:3000万円
このようなご家庭の場合、平成30年の年末から数えて10年間、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
1年目の金額は、3000万円×1%=30万円です。
2年目以降は、住宅ローンの年末残高が減っていくため、住宅ローン控除の額も減っていきます。
ここで注意しておきたいことは、住宅ローン控除には限度額があることです。上記のケースでは、年間で40万円を限度額としています。
また、最近では、「認定住宅」と呼ばれる「長期優良住宅」や「低炭素住宅」が建てられるようになり、これらを新築または取得した場合に、少しだけ住宅ローン控除が優遇されるようになっています。
前述の住宅ローン控除との違いは限度額です。先ほどの住宅ローン控除の限度額は年間で40万円でしたが、「認定住宅」の場合、年間50万円と10万円引き上げられるようになっています。
所得税が0円になる場合も
話を所得税の計算式に戻しましょう。
(1)収入-控除=課税所得金額
(2)課税所得金額×所得税率=所得税
算出された所得税から税額控除として差し引かれるのが住宅ローン控除です。
(3)所得税-住宅ローン控除(税額控除)
仮に、その年の所得税が30万円で、住宅ローンの年末残高が3000万円・住宅ローン控除が30万円の場合。所得税30万円-住宅ローン控除30万円ということで、その年に納める所得税は0円ということになります。
このような場合、確定申告や年末調整で納めた所得税が戻されます(所得税の還付)。
このようにみていくと、住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを買ったご家庭にとって大変助かる税制と言えます。
ただ、マイホームを購入する際に国や自治体から補助金を受けていた場合や、住宅取得資金の贈与の特例を受けていた場合、相続時精算課税制度を選択し住宅取得資金の贈与を受けた場合は、それらの金額は差し引いて計算されるため注意してください。
次回は、住宅ローン控除について、ファイナンシャル・プラニングの実務的によくある話をお伝えします。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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