【50代必見】シニア世代でも就職できる業界3選と平均月収をFPが解説
配信日: 2022.05.25
本記事では、50代でも比較的キャリアチェンジしやすい3つの業界と、それぞれの平均月収をお伝えします。50代からキャリアチェンジする場合の参考にしてみてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
50代でも就職しやすい業界3選とは?
50代でも就職がしやすいとされているのは、下記にある3つの業界です。
●タクシー業界
●介護業界
●清掃業界
それぞれの業界で就業者の割合を確認していきましょう。
タクシー業界
タクシー業界で働く就労者は、2019年で約26万1671人です。就労者の平均年齢と勤続年数は、図表1にある通り60.7歳となっています。勤続平均年数は10.5年です。
図表1
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
平均年齢 | 60.7歳 | 60.9歳 | 55.0歳 |
平均勤続年数 | 10.5年 | 10.5年 | 9.9年 |
出典:厚生労働省 「令和3年賃金基本構造基本統計調査」より筆者作成
平均年齢と勤続年数から、50代から定年までタクシー業界で働こうとする人が多いことが分かります。実際に2001年の平均年齢が52.9歳なので、徐々に伸びていることが分かります。
以上より、タクシー業界は50代の就業者数が多いので、転職しやすい業界といえるでしょう。
介護業界
介護業界も転職しやすい業界といえます。2019年度の介護職員としての就業者数は約210万6000人です。しかし、2040年には約280万人の介護職員が必要と推測されています。つまり、介護業界は人手不足が深刻化しています。
図表2
出典:厚生労働省 「介護人材確保に向けた取り組み」
高齢化社会に向かうため、介護職員の需要も今後さらに高まります。そのため、介護職員としての採用も積極的に行われているのが現状です。
より多くの人材を求めている介護業界は、今後も転職しやすい業界といえるでしょう。
清掃業界
清掃業界も50代からの転職先として就職しやすいです。総務省は清掃業として働いている人が、全国で約375万7200人いると調査で発表しています。
しかし、清掃業界も全体的に人手が足りていない業界です。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会によれば、事業者の6割以上が人材不足を懸念しています。
図表3
過不足 | 不足 | やや不足 | 適正 | やや過剰 | 過剰 | 不明 |
---|---|---|---|---|---|---|
割合 | 15.4% | 48.0% | 32.8% | 2.6% | 1.1% | 0.1% |
出典:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会 「地区本部別 常勤従業員の過不足」より筆者作成
介護業界と同じく人材が不足しているので、50代からでも就職しやすい環境であるといえます。
転職しやすい業界の平均月収は?
50代から就職しやすい業界の平均年収をそれぞれ解説します。図表4にあるように、3つの業種の中では介護業界が最も高いです。次にタクシー業、清掃業と続きます。
図表4
業界 | タクシー業界 | 介護業界 | 清掃業界 |
---|---|---|---|
平均月収 | 22万5300円 | 31万5410円 | 19万2000円 |
出典:一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会 「令和4年4月タクシー運転者賃金・労働時間の現況」/ 厚生労働省 「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/ 公益社団法人 「全国ビルメンテナンス協会 第 51 回実態調査結果について」より筆者作成
介護業界は資格が必要な場合もあるので、3つの業種で月収が最も高いことが分かりました。厚生労働省が賃金水準を引き上げる政策を行っていることも月収が高い要因です。清掃業は比較的特殊なスキルが必要ない傾向にあるため、月収は最も低い結果となりました。
50代の平均月収との差額はいくらになる?
もし転職した場合、50代の平均月収とどれくらい差があるか確認しておきましょう。50代の平均年収は、金融庁の調査で約514万円~518万円であることが分かっています。そのためタクシー業界や介護業界、清掃業界では50代の平均年収に到達しない可能性があります。
転職がしやすい反面、毎月の収入は下がることをしっかり踏まえておきましょう。
50代から転職できても収入が落ち込むケースは考慮しましょう
50代でも転職しやすい3つの業界と月収を紹介しました。基本的にどの業界でも収入が下がる可能性は高いです。そのため、セカンドライフに必要な資金をプランニングして準備しておきましょう。
出典
自交総連 タクシー輸送実績(法人のみ、都道府県別) (2019年度)
厚生労働省 賃金基本構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
国土交通省 タクシー事業の現状について
厚生労働省 介護職員数の推移
厚生労働省 介護人材確保に向けた取り組み
総務省統計局 サービス産業動向調査年報 2020年 結果の概要
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 ビルメンテナンス情報年鑑2021
一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会 令和4年4月タクシー運転者賃金・労働時間の現況
厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
国税庁長官官房企画課 令和2年分民間給与実態統計調査
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー