【鬼滅の刃】鬼殺隊は新人でも「20万円」の給与! 柱になるとどのくらい? 収入は「給与所得」で大丈夫?
配信日: 2023.03.31
2023年4月から始まるテレビアニメの新シリーズ「刀鍛冶の里編」をより深く味わうためにも、頭の体操のように楽しみながら、所得の仕組みについて学ぶ機会にしましょう。
執筆者:二角貴博(ふたかど たかひろ)
2級ファイナンシャルプランナー
鬼殺隊の収入は?
鬼滅の刃公式ファンブック『鬼殺隊見聞録』によると、鬼殺隊の初任給は20万円、柱の給料は無限にほしいだけ受け取ることができるという設定になっています。産屋敷家当主の命を受けて、鬼を討伐する鬼殺隊員の階級は11種類あり、低い方から並べると次のとおりです。
(1)癸(みずのと)←入隊当初の階級で、初任給は20万円。
(2)壬(みずのえ)
(3)辛(かのと)
(4)庚(かのえ)
(5)己(つちのと)
(6)戊(つちのえ)
(7)丁(ひのと)
(8)丙(ひのえ)
(9)乙(きのと)
(10)甲(きのえ)←柱になるための階級で、給料は無限にほしいだけ受け取ることができる
鬼殺隊は給与のほかに、制服である隊服や武器の日輪刀(にちりんとう)、連絡手段として鎹鴉(かすがいからす)も支給されます。
産屋敷家の支払い処理
当主である産屋敷家を法人と仮定すると、鬼殺隊員への支払い処理は、現代の制度にあてはめると、柱合会議で経営に参画する柱は役員報酬、そのほかの隊員に対しては従業員給与と考えられるかもしれません。
役員報酬と従業員給与のちがいは次のとおりです。
●職務執行の対価
●ルールに基づいた額を損金算入できる
●労働の対価で、勤務実績等により支給される
●原則として全額損金算入
また、役員報酬の支払いに必要なルールは以下のように定められています。
(1)定期同額給与(毎月同額を受け取ること)
(2)事前確定届出給与(事前に金額を届け出ていること)
(3)業績連動給与(客観的に業績を測れること)
オーナー兼社長である当主を入れて、経営会議に参加する柱が受け取るのは役員報酬、当主や柱の命令を受けて業務に従事する一般の隊員が受け取るのは従業員給与といえます。
鬼殺隊員の所得は給与所得?
もし鬼殺隊員が申告する場合には、所得の種類は事業所得か給与所得になる可能性があります。柱とそれ以外の隊員の所得は、給与所得と考えるのが適当でしょう。その理由を考えていく上で、両方のちがいと特徴を整理します。
●営利を目的に反復継続した行動によって得る収入
●確定申告で経費を計上できる
●労働契約で事業主から得る収入
●原則として、給与所得控除のみで経費は計上できない
事業所得を給与所得から区別するには次の3要素が参考になります。
(1)自分でリスクを受けつつ、経済的活動をしているか
売上や経費が変動するリスクを負っているかどうかがポイントです。鬼殺隊の収入は当主から支給されているので、収入が激減するなどのリスクを負っているとはいえません。
(2)他者の指揮命令をうけて、経済的活動をしていないか
雇用主からの指揮命令を受けて行動しているか、独立して意思決定しているかも重要です。鬼殺隊は当主からの指揮命令を受けて出陣しているので、他者の指揮命令を受けているといえます。
(3)空間的、時間的拘束を受けて、経済的活動をしていないか
勤務場所や時間の制約があるかどうかという視点です。鬼殺隊は当主からの指示を受けて鬼の征伐に向かうので、場所や時間の制約があります。
以上の3点から、鬼殺隊員は個人事業主ではなく、給与所得者といえるでしょう。
金額には表すことができない仕事
鬼殺隊の仕事は、いつも危険と隣り合わせであり、いつ命を落とすか分かりません。無限列車編で煉獄さんが言っていたように、柱ともなれば後輩を育成する責任ある立場であるだけではなく、上弦の鬼と遭遇して命を落とす可能性もあります。
上弦の鬼は柱3人分の強さであり、「柱は給料を無限にほしいだけ受け取ることができる」といっても、その立場は不安定といわざるをえません。お金には変えられない仕事かもしれませんが、鬼殺隊員の生活状況を想像してみると、鬼滅の刃の楽しみ方もよりいっそう深まるのではないしょうか。
出典
吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable 「鬼滅の刃」公式ポータルサイト
国税庁 No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー