年収を聞かれたとき、答えるべきは「手取り」?それとも「額面」?

配信日: 2024.05.30

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年収を聞かれたとき、答えるべきは「手取り」?それとも「額面」?
年収を聞かれたシーンによって、額面と手取りのどちらを答えるべきか悩むこともあります。そこで手取りと額面の違い、どちらを答えるべきか状況別に説明します。また平均年収なども解説しますので、ぜひご覧ください。
FINANCIAL FIELD編集部

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額面・手取りの意味と違い

まず給与の「額面」とは「総支給金額」であり、基本給だけでなく通勤手当や残業代など手当を含めた合計金額です。そのため、求人などに記載されている給与は「額面」となります。
 
源泉徴収票で「支給額」欄に記載された金額が、その年度の給与や賞与、各種手当などを含めた総支給額となり、一般的に「年収」または「額面収入」と呼ばれます。一方、給与の「手取り」とは、実際に雇用主から従業員の手元へ渡る金額です。
 
会社員の場合、社会保険料や住民税などの税金を天引き(源泉徴収)されます。「額面(総支給金額)」から「源泉徴収」された後の金額が「手取り」となるのです。手取りは、一般的に額面の75〜85%といわれています。
 
月収の額面が30万円の場合は手取り月収は22~25万円、年収の額面が500万円の場合、手取り年収は375万~425万円が目安です。源泉徴収される金額は税率や扶養家族の有無で差があるため、正確な金額は状況ごとに計算する必要があります。
 

日本の平均年収

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、平均年収(給与)は458万円でした。男性は563万円、女性は314万円となります。男性で最も多い年間給与額は400万円超から500万円以下で518万人(構成比17.7%)、女性は100万円超200万円以下が461万人(構成比21.5%)という結果でした。
 
平均年収は、住宅ローンの基準でも活用されています。例えば住宅金融支援機構による「フラット35」では、年収による住宅ローンの借り入れ基準が設定されています。そのため、年収に占める年間合計返済額の合計が満たさないと借り入れできません。
 
年収400万円未満の基準は30%以下であり、年収400万円以上の場合は35%です。このように年収を基準にするシーンは、金融取引では多く見られます。
 

金融取引で使われるのは「額面」

金融取引で年収を聞かれた場合には、一般的には「額面」の年収が収入の基準として使用されます。額面年収が個人収入レベルや信用度を判断する際の基準となるため、手取り年収を聞かれることはほとんどありません。
 
住宅ローンなどを申し込みのシーンで聞かれる「年収」は、源泉徴収票で税引き前の年収額である「支払額」を答えます。
 
もし源泉徴収票が手元にない場合や勤続年数が1年以内の場合には、「直近3ヶ月の平均給与×12ヶ月+直近2回の賞与額(または見込み額)」で計算しましょう。この場合の給与や賞与も、「総支給額」で計算します。
 
また源泉徴収票以外でも、年収を確認する方法があります。勤務先より5月中旬以降(普通徴収や年金徴収の方は6月中旬以降)に配布される「住宅税決定通知書」では、所得の「給与収入」の欄にある金額が年収に相当します。
 
また地区町村役場で6月上旬から発行できる「課税証明書」の「給与収入金額」の欄にある金額が年収になります。さらに個人事業主などで確定申告している場合、「確定申告書」の所得金額欄にある「合計」に記載の金額が年収となります。
 

生活費の計算は手取り年収

また、自分自身が生活するうえで自由に使える金額についても、額面ではなく手取りで計算します。繰り返しになりますが、社会保険料や住民税が給与から引かれるため、額面だけで生活費の計算をすると大きな乖離が生まれるリスクがあります。
 
「1年間に貯蓄や投資に回せる金額」を算出する場合には、手取り年収から支出を引いた金額を目安に決めましょう。
 
このように、額面と手取りの年収はシーンごとに使い分けるとよいでしょう。
 

基本的に年収を聞かれたら「額面」を答える

年収を聞かれたときは「額面」の年収を答えましょう。一方生活費や投資など自分の生活に直結する内容の場合は、「手取り」の年収で計算するのが適切です。
 
「手取り」は記憶に残りやすいですが、残業代や手当、賞与も含めた年収の正しい金額をすぐに答えるのは難しいため、源泉徴収票などでの確認がおすすめです。またローンの審査で源泉徴収票は収入を証明できる書類としても使えるため、1~2年分は保管しておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引 p3
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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