更新日: 2024.08.07 年収

高校生の息子が「卒業したら就職したい」と言いますが、大卒のほうが高収入なので“進学”して欲しいです。高卒と大卒ではどのくらい「生涯賃金」に差があるのでしょうか?

高校生の息子が「卒業したら就職したい」と言いますが、大卒のほうが高収入なので“進学”して欲しいです。高卒と大卒ではどのくらい「生涯賃金」に差があるのでしょうか?
一般的に、高校卒よりも大学卒の給料のほうが高いとされています。では、年収や生涯賃金に換算すると、どれくらいの差があるのでしょうか。
 
本記事では大学卒と高校卒の初任給・平均年収・生涯賃金の差と、大学卒でしか取得できない資格や働けない仕事を紹介します。高校卒でも大学卒より高い年収を得られる可能性のある職業の例もあわせて解説します。
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高校卒と大学卒の初任給の差は約5万円、平均年収の違いは約8万7500円

厚生労働省の「令和5年度賃金構造基本統計調査」によれば、高校卒と大学卒の初任給の違いは以下のとおりです。

●高校卒:18万6800円
●大学卒:23万7300円

学校を卒業して働き始めた時点の賃金の差は、平均で月約5万円です。では新卒以外も含む全世代の平均賃金になると、違いはいくらになるのでしょうか?
 
高校卒と大学卒の平均賃金の違いは以下のとおりです。

●高校卒:28万1900円(年収換算:338万2800円)
●大学卒:36万9400円(年収換算:443万2800円)

全ての年代の平均を見てみると、賃金格差は約8万7500円に広がります。つまり、長く働くほど、大学卒と高校卒では生涯賃金に差が開くことになります。
 

高校卒と大学卒の生涯賃金の差は約5000万円

初任給や平均年収に大きな違いがある高校卒と大学卒。高校卒は大学卒よりも4年早く働けるアドバンテージがありますが、生涯賃金で差が開くものでしょうか?
 
厚生労働省所管の独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」によれば、生涯賃金の違いは以下のとおりです(定年まで・退職金を含まない)。

●高校卒男性:2億300万円
●高校卒女性:1億4920万円
●大学卒男性:2億4740万円
●大学卒女性:1億9800万円

男性でも女性でも大学卒の生涯賃金のほうが約5000万円も高いことが分かります。
 

大学卒は高校卒では受験できない仕事や資格を保有できる魅力もある

大学卒は高校卒よりも生涯賃金が約5000万円も高いというメリットがあるのは紹介した通りですが、高校卒と大学卒では取得できる資格や働ける仕事も異なります。
 
例えば、医師を目指す場合、医科大学や大学医学部で6年間にわたり医学を学び、医師国家試験に合格することが必要です。薬剤師も同様で、大学の薬学部で6年間の履修を終え、薬剤師国家試験に合格しなければいけません。
 
ほかにも、応募資格に大学卒を挙げている企業があります。生涯年収の高さだけでなく、学歴によって資格取得や職業選択が制限されないのは、大学卒ならではのメリットでしょう。
 

学歴と同じくらい「仕事内容」でも生涯賃金は変わる

平均の話で言えば、大学卒のほうが高校卒よりも生涯賃金が高くなりやすいのは前述した通りです。しかし、どの仕事に就くかによっても、平均年収は大きく異なります。
 
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、例えばソフトウェア制作者の年収は557万6000円です。
 
一方、飲食物給仕従事者(飲食店従業員など)の平均年収は327万9000円、介護職員(医療・福祉施設など)の年収は371万4000円、営業用大型貨物自動車運転者(トラック運転手など)の平均年収は485万3000円です。
 
やりがいや魅力は仕事によってさまざまですが、業種や職種ごとに平均年収が大きく異なるのが現実です。選ぶ仕事の内容次第では4年早く働けることもあって、高校卒の生涯賃金のほうが高くなることはじゅうぶんに考えられます。
 

まとめ

一般的には大学卒のほうが高校卒よりも平均年収が高く、生涯賃金に換算すると約5000万円の差が生じるとするデータがあります。ただ、実際には業界や職種によっても平均年収は異なり、役職次第では大学卒を上回る年収を得ることはじゅうぶんに可能です。役職級まで加味すれば、4年早く実務経験を積める高校卒のほうが高年収になることもあります。
 
平均のデータはあくまでも参考程度にし、「どんな仕事に就きたいか」という子ども本人の希望から進路を選択することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 新規学卒者の学歴別にみた賃金
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別にみた賃金
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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