更新日: 2024.10.28 年収
10月から最低賃金「1000円超」になる都道府県は? 正社員への影響や「最低賃金額の確認方法」も解説!
本記事では各都道府県における最低賃金の現状を確認するとともに、「月給制」の賃金を支払われる正社員などにも「最低賃金上昇」は影響するのかを調べていきましょう。
執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
2024年10月現在、各都道府県の最低賃金は?
厚生労働省の発表によれば2024年10月の最低賃金(時給)は全国加重平均で1055円となり、昨年度の1004円から5.1%上昇しました。インフレの影響もあって近年は最低賃金の上昇が加速しており、「最低賃金1000円以上」を達成した都道府県の数は、前年度の8都府県から16都道府県へと倍増しています。
2024年度における各都道府県の最低賃金を高い順に並び替え、「最低賃金1000円超」を達成した都道府県に色付けをしたものが図表1です。昨年度と比較すると全国的に時給で50円以上の上昇となり、「引き上げ率」は最低賃金が比較的低い県において6%台と高い数値になっていることがわかります。
2024年度の地域別最低賃金が最も低い県は秋田県(時給951円)ですが、秋田県の最低賃金は昨年度から54円の上昇となっているため、来年度も同額の最低賃金引き上げが行われることがあれば「最低賃金1000円超」を全都道府県が達成することになります。
長く続いたデフレの影響は、賃金の面でもかなり払拭されてきたと言えるでしょう。
図表1
厚生労働省の発表資料より筆者作成
・2023年度時点で「最低賃金1000円超」を達成している地域
東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県、千葉県、京都府、兵庫県
・2024年度、新たに「最低賃金1000円超」を達成した地域
静岡県、三重県、広島県、滋賀県、北海道、茨城県、栃木県、岐阜県
「月給制」の正社員にとって、最低賃金はどのような影響がある?
時給制で働くパート・アルバイトの場合は、自分が現在の最低賃金以上を支払われているかを確認することは容易ですが、「月給制」で働いている正社員などの場合は、最低賃金以上が支払われているかを確認するためには以下の計算が必要になります。
月給÷1ヵ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
以下のような月給を支払われているAさんの場合を例に考えてみましょう。
基本給:15万円
職務手当:3万円
通勤手当:1万円
家族手当:2万円
時間外手当:4万円
合計支給額:25万円/月
※通常の1日あたり労働時間は8時間
※年間労働日数は250日間
※最低賃金が1100円/時間の県で働いているとする。
Aさんの賃金が、最低賃金を上回っているかを調べるには、以下のように計算します。
(1)支給された賃金から、最低賃金の対象とならない金額を除く。
この場合、通勤手当の1万円、家族手当の2万円、時間外手当の3万円を除いた金額が最低賃金の対象となります。
25万円-1万円-2万円-4万円=18万円
(2) (1)で計算した金額を時間額に換算し、最低賃金と比較する。
この場合、最低賃金として計算すべき18万円の月給で1年間(=12ヵ月)、1日8時間、1年間に250日働いたと考えて、賃金を時給に割り戻します。
(18万円✕12ヵ月)÷(8時間✕250日)=1080円
よって、Aさんの実質的な時給は「1080円」と計算されますので、最低賃金が時給1100円の場所でAさんが働いている場合、「最低賃金が支払われていない状況である」と判断されます。
基本給は「時給・日給」で支払われているが、職務手当などは「月給」で支払われているなどの場合は、計算を組み合わせることが必要ですので、やや複雑になります。確実に計算をするためには、第三者の社会保険労務士やファイナンシャル・プランナーなど専門家に相談してみましょう。
まとめ
2024年10月における最低賃金(時給)は全国加重平均で1055円となり、最低時給額1000円超となる都道府県は前年度の8都府県から16都道府県に増加しました。
最低賃金の設定金額は「月給制」で働いている労働者にも影響しますので、自分の現在の賃金が改定後の最低賃金以上であるか微妙だと思われる方は、一度確認をしてみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和6年度地域別最低賃金改定状況
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント