冬のボーナスを「70万円」もらったという国家公務員の姉。会社員の自分は「40万円」だったけど、高年収で安定性もあるなら公務員のほうが“メリット”は多いの?
配信日: 2024.12.26 更新日: 2024.12.27
特にきょうだい間であれば、お互いのボーナス額について話題にすることもあるのではないでしょうか? その際に、もし国家公務員の姉が会社員の自分よりもボーナス額が多かった場合、「国家公務員の収入はどのくらいなのだろう」と気になるかもしれません。
実際、2024年冬のボーナスでは、国家公務員と会社員では30万円以上の差があるようです。そこでこの記事では、国家公務員と会社員のボーナスの仕組みや支給額の違いに注目し、どちらが「高収入」と言えるのかを考察していきます。
執筆者:西村りえ(にしむら りえ)
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
国家公務員のボーナスと会社員のボーナスの差は?
冬のボーナスが話題になると、国家公務員と会社員の支給額の差が注目されることがあります。では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社によると、国家公務員の2024年冬のボーナスは70万8200円、会社員は40万5573円と予想されています。その差30万2627円にもなる支給額の計算方法や決定の経緯について見ていきましょう。
まず、公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」として支給されます。国家公務員の場合、「一般職の職員の給与に関する法律」(給与法)に基づき、支給額は「基本給×支給月数」で算出されます。
また、支給月数は人事院勧告により決定されます。なお、地方公務員のボーナスは各自治体の条例によりますが、一般的に国家公務員に準じます。
民間企業のボーナスは法的な支給義務がなく、各企業の業績や個人の評価によって支給額が変動します。経団連の調査によれば、2023年の大手企業の冬のボーナス平均妥結額は約90万6413円で、2022年から1.37%増加しています。
しかし、業種や企業規模によって支給額には大きな差があり、中小企業や業績不振の企業では支給額が少ない、または支給されない場合もあります。
このように、公務員のボーナスは法律に基づき安定して支給されるのに対し、会社員のボーナスは企業の業績や個人の評価に左右されるため、支給額や安定性に大きな違いがあります。
2024年の公務員のボーナス支給額
2024年の公務員のボーナスは、例年どおり「期末手当」と「勤勉手当」として支給されます。
支給額は、国会の承認を経た人事院勧告に基づいて決定されるため、比較的安定しています。2024年度は民間の支給状況に見合うよう支給月数が4.5ヶ月分に引き上げられ、国家公務員の冬のボーナスは70万8,200円の予想です。
そもそも公務員のボーナスは、民間企業の賃金動向を基準に人事院が支給月数を勧告し、それを国会が承認する仕組みです。これにより、支給額は民間の平均ボーナス額と概ね一致するよう調整されています。
現在、日本経済はインフレ傾向が続いています。今後も物価上昇が家計に影響を与えると予測される中、支給額の引き上げを求める声があるのは事実です。一方で、財政状況の制約も無視できません。これらの要因が公務員へのボーナスの支給額にどのように反映されるかが注目されます。
公務員と会社員、どちらが高収入なのか?
公務員と会社員、どちらが高収入かは一概に言えません。公務員は安定性が魅力で、一定水準の年収と福利厚生が保証されています。会社員は業績に左右されるリスクはあるものの、成果次第で収入が大幅に増える可能性もあります。
隣の芝生は青く見えるもので、公務員の姉をうらやましく思うこともあるかもしれませんが、民間企業の従業員にも公務員にはないメリットがあります。収入だけでなく、自身の価値観やライフプラン、仕事へのやりがいなどにも目を向けてみましょう。
出典
人事院 国家公務員の給与制度の概要
人事院 令和5年 給与勧告の骨子
国家公務員の給与 内閣官房内閣人事局
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP