「小学校教員」の給料を時給に換算するといくら?新任の先生と校長先生の時給はどれぐらい違う?
この記事では、教員の労働対価は適正なのかどうか、新任教諭から校長まで小学校教員の給与を時給に換算し、キャリアによる収入の違い、労働時間の課題についてまとめました。
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小学校教員の給与体系
小学校教員(公立)の給与は、各自治体や学歴などによって異なりますが、総務省の「地方公務員給与実態調査」(令和5年)によると、目安となる金額は以下の通りです。
●平均給与:38万184円(都道府県計)
●初任給(都道府県計)
大卒:21万3221円
短大卒:19万1199円
給与には、基本給に加え教職調整額(時間外手当に相当、原則月額の4%)や地域手当、扶養手当などさまざまな手当が含まれます。
地域手当は、物価が高い地域に勤務する職員に対して支給される手当の一種です。物価や民間賃金の水準に応じて、複数の段階(一般に1級地から7級地)に分けられており、給料の一部を補完する形で支給されます。
東京23区や大阪市などの大都市圏では地域手当が多く支給される傾向にあり、自治体間で給与に差が生じる要因になります。
時給に換算するといくらになる?
教員の給与を時給に換算するには、労働時間が必要です。文部科学省のデータによると、小学校教諭の1日あたりの平均在校時間(平日)は10時間45分となっています。
これを1ヶ月(20日)で考えると、月の労働時間は約220時間となります。今回は東京都を例に取り、大卒の新任教諭と校長先生の時給を比較しました。
・新任教諭(大学卒業)の時給
東京都教育委員会によると、東京都の新任教諭の初任給は大卒で約30万4100円とのことです。220時間で割ると、時給は約1382円です。
・校長の時給
東京都教育委員会が公開しているモデル年収を参考にすると、東京都の校長の平均年収はおよそ1200万円が目安のようです。仮にボーナスを4.5ヶ月分とすると月収は約72万5000円となります。
校長の在校時間(平日)は1日あたり10時間23分でした。1ヶ月では約214時間となり、時給は約3388円となりました。
新任教諭の時給が約1382円である一方、校長先生の時給は約3388円で、この差はおよそ2.45倍となり、役職による給与格差が明確に表れたといえるでしょう。
教員の労働環境の課題
教員の長時間労働は教育現場での重要な課題の1つです。教員は授業以外の業務や活動に多くの時間を費やすことが多く、過労やストレスによる休職や退職の増加が問題となっており、改善が求められています。
長時間労働の要因は、おおむね以下の通りです。
●授業準備と採点業務
●課外活動への参加
●管理業務や会議
●保護者の対応、地域活動への参加
●教員の不足による1人あたりの業務量増加
授業後や週末に行われる部活動の指導も教員の役割とされているため、労働時間をさらに増加させています。会議や保護者との面談、地域行事への参加も大きな負担となっているでしょう。
長時間労働により教員が疲弊していると、授業の質や生徒への対応が不十分になる可能性もあります。
時給換算すると、校長先生は新任の先生の約2.45倍
東京都の場合、新任の教諭と校長では、時給にするとおよそ2.45倍の差になることが分かりました。公務員の場合、級や号、役職手当などにより給与が決定するため、昇給を望むのであれば、昇格していく必要があります。
一方で、近年は教員の長時間労働をはじめとするさまざまな課題に対して、国や自治体による改善の取り組みも進められています。教員が無理なく、より前向きに働ける環境を整えることは、子どもたちにとってもプラスとなるでしょう。
出典
総務省 令和5年 地方公務員給与の実態 令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第2統計表〔基幹統計調査関係〕I 一般職関係 第1表の1 団体区分別,男女別,会計別,職種別職員数及び平均基本給月額(2)都道府県 (男女計)(54ページ)
総務省 令和5年 地方公務員給与の実態 令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果 〔附帯調査関係〕1 初任給基準関係 第12表 初任給(351ページ)
文部科学省 教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】(1ページ)
東京都公立学校教員採用ポータルサイト 徹底解析!~働く環境~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
