2030年代半ばまでに最低賃金は「1500円」に!? 日本の賃金の現状と今後の展望

配信日: 2025.05.15 更新日: 2025.10.21
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2030年代半ばまでに最低賃金は「1500円」に!? 日本の賃金の現状と今後の展望
「物価は上がるのに、給料はなかなか増えない……」日本で働く多くの人が抱えるこの悩みの背景には、30年近く続く賃金停滞があります。
 
G7各国が右肩上がりの賃上げを実現している中で、日本はなぜ取り残されているのでしょうか?本記事では、政府が打ち出す「最低賃金1500円」について解説します。
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日本の賃金停滞:G7諸国との比較で明らかになる格差

日本の賃金水準は長年にわたり停滞しています。内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局が2025年4月に発表した資料によれば、1991年から2023年にかけて、日本の1人当たりの賃金推移は1.02倍にとどまり、米国の2.88倍、英国の2.87倍と比べて大きく後れを取っている状況です。
 
このような状況は、労働者の購買力低下や生活の質の停滞を招いており、経済成長の足かせとなっていると考えられます。特に、若年層や非正規雇用者にとっては、将来への不安が増大しています。
 

2030年代半ばまでに最低賃金1500円へ

政府は、最低賃金の全国加重平均を2030年代半ばまでに1500円に引き上げる目標を掲げています。この目標は、「第21回新しい資本主義実現会議」で示されました。最低賃金の引き上げは、労働者の生活安定だけでなく、消費の拡大や経済の活性化にもつながると期待されています。
 
一方で、こうした引き上げにはリスクも伴います。人件費負担が増加する中小企業では、経営が圧迫される懸念があり、政府は価格転嫁や生産性向上のための支援策を並行して実施することが重要です。
 

賃金を上げるには何が必要? 三位一体の労働市場改革

政府は、賃金引き上げの実現に向けて、「三位一体の労働市場改革」を推進しています。内閣官房によれば、これは、リ・スキリング(再教育)による能力向上支援、それぞれの企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化の3つを柱とする労働市場改革です。
 
リ・スキリングでは、労働者が新たなスキルを習得することで、より高い賃金の職種への転職を可能にします。実際、前述の内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局の資料によれば、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を通じて転職した労働者のうち、63.1%が転職後に賃金が上昇しました。
 
それぞれの企業の実態に応じた職務給の導入により、職務に応じた賃金体系が整備され、労働者のスキルや成果が正当に評価されるようになります。また、労働移動の円滑化により、労働者が自らの意思で働き方を選択しやすくなり、キャリアアップの機会が広がります。
 

まとめ

日本の賃金水準は、長年にわたり停滞してきましたが、政府の政策により、最低賃金の引き上げや労働市場改革が進められています。
 
特に、リ・スキリングや個々の企業の実態に応じた職務給の導入、労働移動の円滑化といった取り組みは、労働者のスキル向上やキャリアアップを促進し、賃金の底上げにつながると期待されています。
 
今後、最低賃金1500円を実現するには、政府、企業、労働者が一体となって取り組み、持続可能な経済成長と豊かな社会の実現を目指すことが重要です。
 

出典

内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局 基礎資料(1ページ、6ページ)
内閣官房 第21回新しい資本主義実現会議議事要旨(17ページ)
内閣官房 新しい資本主義実現会議 三位一体の労働市場改革の指針(1~2ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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