年収700万円で「アルファード」が欲しい! 購入費「500万円以上」、維持費「年50~60万円」かかるらしいけど、この年収で持つのは“ぜいたく”でしょうか? 家計への影響を確認
配信日: 2025.05.19

一般的に、車の購入金額は年収の半分までに収めたほうがよいとされています。単純に考えると、新車価格で500万円以上するアルファードは、年収1000万円以上の人向けということになりますね。また、車の購入後には維持費がかかり、これが家計に影響してきます。
本記事では、年収700万円の世帯を例にして、アルファードの維持費が家計にどれほど影響するのかを数字から読み解きます。

2級ファイナンシャル・プランニング技能士
アルファードの年間維持費はいくら?
実際にアルファードZ(ガソリン車)を例に考えてみましょう。なお、この車種の新車本体価格は555万円です。
まずはガソリン代を考えます。アルファードZ(ガソリン車)の燃費は1リットルあたり10.6キロメートルです。年間1万キロメートルを走るとして、ガソリン価格を1リットルあたり185円で計算すると、年間のガソリン代は約17万4500円になります。
次に車検と点検費用です。例えばトヨタモビリティ東京の場合、アルファードが該当するLクラスだと、12ヶ月点検が2万900円、車検費用が法定手数料込みで12万2650円となっています。どちらも2年に1度なので、2年で14万3550円、1年あたり7万1775円の費用が必要です。
また、毎年5月に支払う自動車税は、アルファードは総排気量2.5リットルのため4万3500円です。これらに加えて、メンテナンス費用として年間5万円、任意保険費用を10万円、駐車場代を12万円(月1万円)とそれぞれ見積もると、年間維持費はおよそ56万円となります。
ただし、これはあくまで一例です。都市部では駐車場代が月2万円、つまり年24万円かかることもありますし、任意保険の内容やメンテナンスへのこだわりで年間数万円の差が出てきます。人によっては10万円以上安く抑えられることも、高くなってしまうこともあるでしょう。
いずれにせよ、一定の維持費がかかることは理解しておく必要があります。
アルファードの維持費が家計に占める割合は?
年収700万円で手取り率を80%程度とすると、手取り額は年560万円、月あたり約46万6000円となります。ここから一般的な支出の目安を使って、住居費(約30%)を約14万円、食費(約15%)を約7万円、光熱費(約5%)を約2万3000円、教育費(約10%)を約4万6000円と見積もると、これらだけで月に約28万円が必要です。
これにアルファードの年間維持費56万円、つまり月換算で約4万7000円を加えると、合計は月32万7000円となります。手取りから差し引くと、自由に使える金額は約14万円となります。まだある程度の余裕は感じられる水準です。
ところが、ここにローン返済が加わると状況は一変します。仮に500万円を10年・年利2.05%で借りた場合、月々の返済額は約4万6000円です。維持費と合わせて、車にかかる支出は月9万2000円となり、手取りの約20%に達します。固定費と合わせた総支出は月37万円を超え、残るお金は月10万円を切ってしまうのです。
車体価格のうち200万円ほどはまとめて支払い、ローンを年収の半分にあたる350万円に抑えた場合も考えてみましょう。月々の返済額は約3万2300円となります。車関連の支出は月7万8000円となり、圧迫度は多少和らぐものの、自由に使えるお金は月11万円程度にまで減少します。
つまり、年収700万円の人にとって、ローンを組まず一括購入できるのであればアルファードの維持費は何とかやりくりできる範囲内、しかし車両価格の大部分をローンに頼るとなれば生活にしわ寄せが出る恐れがあると言えます。アルファードを無理なく持てるかどうかは、ローンの有無と家計全体のバランスにかかっています。
年収700万円でも持てる条件は?
こうした状況でも、アルファードを無理なく持てる世帯はあります。例えば、住宅ローンなしの持ち家である場合や、社宅などに住んでいる場合など住居費がほとんどかからない人であれば、年収700万円世帯でも十分に余裕をもってアルファードを所有できるでしょう。
また、子どもがいない、あるいはすでに独立しており教育費がかからない家庭であれば、その分だけ家計にゆとりが生まれ、購入・維持のハードルは下がります。
さらに、維持費を抑える工夫をすることで負担を軽減することも可能です。例えば、自動車保険をダイレクト型に切り替える、補償内容を見直す、車検をディーラーではなくカーショップなどの割安な場所で受けるといった方法があります。
また、ローンの有無が家計に与える影響は大きいため、そもそもの車両価格を抑える工夫も有効です。中古車を選ぶ、グレードを落とす、頭金を多めに入れてローン額を抑えるといった対策によって、負担を小さくできます。
年収700万円でアルファードに乗りたいという明確な希望があるのであれば、家計全体を見直すことで現実的に所有できる可能性も決して低くありません。
アルファードを持てるかどうかは年収だけでは決まらない
アルファードは、年収700万円の世帯でも決して手が届かない車ではありません。ただし、維持費に加えて購入費のローンの負担が大きくなると、家計に影響が出てくる可能性は十分あります。
家計を切り詰めてでもアルファードに乗りたいのか、それとも車以外にお金を使いたいのかといった自身の価値観や家計状況を考えながら、購入の判断をしましょう。
出典
トヨタモビリティ東京 法定点検
トヨタモビリティ東京 車検
大阪府 令和7年度自動車税(種別割)税額表 乗用車
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士