新卒ですが、2年目の先輩に「1年目のほうが2年目より手取りが多い」と言われました。住民税が理由らしいですが、新卒のほうが先輩より“給料が高い”ことはあり得るのでしょうか?

配信日: 2025.05.20

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新卒ですが、2年目の先輩に「1年目のほうが2年目より手取りが多い」と言われました。住民税が理由らしいですが、新卒のほうが先輩より“給料が高い”ことはあり得るのでしょうか?
会社に入社して間もない新入社員が、2年目の先輩から「お前のほうが手取りは多い」と言われたら驚くのではないでしょうか。しかし、実際に新入社員が手取り額で先輩を上回るケースはあり得ます。その理由の1つが「住民税」の違いです。
 
また、最近では企業の「初任給引き上げ」の流れが強まっています。本記事では、新入社員が2年目の先輩よりも手取りが多くなる可能性について、「住民税」「初任給引き上げ」の2つの観点から解説します。
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住民税の仕組みと2年目以降の負担

住民税は、「前年の所得に応じて計算される」ため、新卒の1年目は基本的には住民税が課税されません(大学時代にアルバイトでかなり稼いでいた場合などを除く)。
 
しかし、2年目からは前年の給与所得に基づき、住民税が発生します。例えば、1年目の年収が300万円だった場合、その年収に応じた住民税が2年目の6月から天引きされることになります。
 
住民税の税率は自治体によって多少異なりますが、一般的に「所得割」と「均等割」の2種類があり、合計で所得の約10%が引かれます。
 
例えば、年収300万円の場合、住民税は年間約15万円~20万円になるため、毎月1万~1万5000円程度が給与から差し引かれます。これは手取り額に直結するため、2年目の社員は「住民税が引かれて1年目より手取りが減った」と実感することも多いでしょう。
 

初任給引き上げの影響で逆転現象が起こる?

昨今、物価上昇や労働力不足の影響もあり、多くの企業が新卒採用の競争力を高めようと初任給を引き上げています。
 
帝国データバンクの「初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)」によると、2025年度入社の新卒採用において、前年度から初任給を引き上げる企業の割合は71.0%となっています。平均引き上げ額は9114円です。
 
これにより、1年目と2年目の給与額に大きな差が生まれにくくなるばかりか、場合によっては新卒のほうがむしろ有利になるケースも考えられます。
 

新入社員が2年目社員よりも手取りが多いことはあり得る

ここまでの話を整理すると、2年目になると年収300万円の場合には毎月1万円を超えるくらいの住民税が引かれます。加えて、昨今の新卒の多くは1万円程度の初任給の引き上げがあります。
 
そのため、2年目となった際に月収の上昇幅があまりない場合、新入社員のほうが2年目社員よりも手取りが多いケースは十分考えられるでしょう。
 

2年目以降は昇給のチャンスも

新入社員のほうが一時的に手取りは多くなる可能性はありますが、2年目以降は通常、昇給の機会があります。多くの企業では年に1回の昇給制度を設けており、評価によっては基本給がアップするため、住民税の負担が増えても手取り額は回復することが期待できます。
 
また、初任給を上げた企業においては、不公平感をなくすために2年目以降の社員の給料を上げることもあるでしょう。
 
住民税の関係で一時的に新入社員のほうが手取りは多い場合もあるかもしれませんが、2年目社員としてはある程度長い目で給料の推移を見るのが良いかもしれません。
 

まとめ

新卒社員のほうが、2年目の先輩より手取りが多くなるケースは珍しくありません。その主な理由は、「新卒1年目は住民税の支払いがない」こと、そして「企業の初任給引き上げによって、新卒の基本給が2年目の先輩を上回ることがある」といった2点です。
 
確かに、2年目以降は住民税の支払いが始まるため、手取り額は減少します。ただし、昇給のチャンスもあるため、長期的に見れば給与は上がっていくでしょう。
 
新入社員で「先輩より手取りが多いのでは?」と感じたら、その背景にある住民税や初任給の変化を理解し、自分の給与明細と照らし合わせてみるとよいでしょう。
 

出典

総務省 個人住民税
株式会社帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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