総合職で「世帯年収1800万円」の夫婦。子どもが生まれ“マイホーム”を購入したいけど、「転勤リスク」があるなら賃貸にすべき? それぞれのメリット・デメリットを解説
例えば、世帯年収1800万円という高収入の夫婦であっても、マイホーム購入時に悩みがないわけではないようです。総合職夫婦の場合、転勤の可能性や子育て環境など、住むところを決めるにあたって考慮すべきことは多いです。
本記事では、マイホーム購入か賃貸にすべきかを整理してお伝えします。
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
総合職の働き方
総合職とは、企業内で幹部候補としてさまざまな部署や地域を経験し、キャリアアップを前提に働く職種です。昇進や昇給のチャンスが多く、一般職に比べて年収も高くなる傾向があります。例えば大学卒の総合職であれば55歳で平均年収は617万円で、高校卒の一般職は483.9万円です。
そのため、総合職同士で結婚した場合、世帯年収は1000万円台後半~2000万円超となるケースもあり、住宅や教育にかけられるお金の選択肢は増えます。経済的には余裕があるように見えますが、その一方で、ライフスタイルの自由度や、家庭と仕事の両立に課題を感じることもあるのが実情のようです。
家や子育てにも影響する総合職の悩み
収入面では魅力のある総合職ですが、その分仕事中心の生活になりやすく、家庭への影響も無視できません。とくに大きいのが転勤のリスクです。異動のある企業では、3年~5年ごとに転勤があることが多いようです。マイホームを建てたばかりであっても、突然の辞令で転居を迫られる場合もあります。
総合職夫婦で子どもが生まれた場合、どちらかが時短勤務を選んだり、育児との両立に悩んだりすることもあります。収入が高いからといって生活にすべての選択肢が広がるとは限らないのです。
マイホームを建てるべきか迷ったときに考えたいこと
「そろそろ家を買いたい」と考えるタイミングは、子どもの誕生や入園・入学といったライフイベントと重なりがちです。子育てに適した住環境や、間取りの自由さ、将来の資産形成を考えると、マイホーム購入には多くのメリットがあります。
一方で、総合職ならではの転勤リスクを考えると、購入のタイミングや場所を慎重に選ばなければ、せっかく購入した家に長く住めないという事態にもなりかねません。また、夫婦どちらかが単身赴任になると、家族との時間が減るだけでなく、生活費も二重にかかる可能性があります。
重要なのは「数年以内に転勤があるかどうか」「勤務地を限定できる制度があるか」という懸念点を事前に確認し、将来の変化に柔軟に対応できる選択肢を持っておくことです。売却や賃貸に出しやすい立地の物件を選ぶ、子どもが小さいうちは賃貸にして様子を見る、など段階的に考えることも選択肢のひとつです。
まとめ
マイホームを持つか、賃貸を続けるか、総合職夫婦にとっては、転勤や子育ても絡み、簡単に決められる話ではありません。大切なのは、今の状況だけで判断せず、数年先の働き方や暮らしの変化まで見据えて考えることです。家族に合った選択を見極めましょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金事情等総合調査
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「企業における転勤の実態に関する調査」調査結果の概要
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
