ドラッグストアで「薬剤師」「登録販売者」の求人を発見! どちらも“医薬品の販売”ができるけど、仕事内容はどう違う? 収入もあわせて比較
本記事では、薬剤師と登録販売者の業務の違いや資格取得の方法、またそれぞれの収入について解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
資格の取得方法の違い
薬剤師も登録販売者も、その仕事をするためには資格が必要です。まず薬剤師の場合は、高校を卒業後、薬学部のある大学に進学します。薬学部で6年間学んだ後、薬剤師の国家試験に合格しなければなりません。資格試験に合格すると、厚生労働省が定める薬剤師名簿へ登録されるという流れになっています。
一方、登録販売者は都道府県ごとに行われる試験を受験します。現在では受験資格は必要なく、学歴や経歴にかかわらず誰でも受験することができます。
試験に合格した後は都道府県に販売従事登録を申請することになりますが、この申請先は就職先の都道府県であり、就職先が決まっていない場合は申請することができません。また、登録販売者として従事できるようになるには、過去5年以内に2年以上の実務経験が必要となります。
それぞれどのような仕事をするの?
薬剤師の主な仕事は「調剤業務」「服薬指導」「医薬品の販売」です。調剤業務とは、医師が処方した薬の指定に沿って薬品を調合したり、その処方された薬が患者にとって医学的に問題ないものであるかの判断を行ったりすることです。
「服薬指導」とは、薬を安全に服薬できるように薬の効果や副作用について説明する業務です。
調剤薬局に行ったとき、この説明が長いと感じている人もいるかもしれませんが、実はこの服薬指導は薬剤師法で必ず行わなければならない業務として定められていて省略することはできません。なお薬剤師は、薬局やドラッグストアに販売されているすべての薬を販売することができます。
一方、登録販売者の仕事は「医薬品の販売」です。ただし、薬剤師とは取り扱える薬の範囲が異なります。「薬」と一言で言っても、登録販売者が扱えるのは、医者の処方箋が不要の「一般用医薬品」のみです。
またこの中で販売できるのは「第二類医薬品」「第三類医薬品」となっており、登録販売者は「第一類医薬品」は販売できません。「第二類医薬品」や「第三類医薬品」の薬の販売をしたり、販売時に適切な使用方法や注意事項の説明を行ったりするのが、登録販売者の業務です。
収入はどのくらい違う?
厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の年収は約578万円、登録販売者の年収は約361万円となっています。資格の違いや業務量によって収入面で差がありますが、登録販売者であっても、ドラッグストアの店長等として採用されれば、高収入が期待できる可能性もあります。
同じ薬の専門家でも資格によって異なる
薬剤師と登録販売者は、どちらも薬を取り扱う「薬の専門家」ですが、資格の取得方法から、扱える薬の種類、業務の内容、収入にいたるまで、大きな違いがあります。薬剤師は国家資格であり、処方薬の調剤や服薬指導など高度な専門性が求められる一方、登録販売者は一般用医薬品の販売に特化し、地域の健康を支える身近な存在です。
両者の違いを知っておくことで、薬を選ぶ際や相談する場面で、より的確な判断ができるようになるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
e-Gov法令検索 薬剤師法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
