月収35万円で「5000円昇給した」と喜ぶ夫。でも昇給率1.4%では、生活が楽にならないって本当?「物価上昇率」とあわせて比較

配信日: 2025.05.31 更新日: 2025.10.21
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月収35万円で「5000円昇給した」と喜ぶ夫。でも昇給率1.4%では、生活が楽にならないって本当?「物価上昇率」とあわせて比較
「4月から月収が5000円アップしたんだ」という夫の知らせは、うれしいものでしょう。物価上昇が続く昨今において、収入アップは喜ばしいものです。
 
しかし、昇給したからといって家計のひもを緩めるのは時期尚早かもしれません。なぜなら、この金額では、家計は楽にならない可能性が高いからです。さらに、人によっては6月と10月に手取りが減ってしまうので、その備えも必要です。
 
本記事では、5000円の昇給では生活が楽にならない理由を、数字を使って解説します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

昇給率はわずか1.4%、物価上昇にはまったく追いついていない

月収35万円の人が5000円昇給した場合、昇給率は約1.43%となります。給与が上がったこと自体は喜ばしいことですが、実はこの水準は世間の平均昇給率にすら届いていません。
 
厚生労働省の「毎月勤労統計調査(令和7年3月分速報)」によれば、2025年3月時点での名目賃金の上昇率(速報値)は+2.1%となっています。月収35万円の場合、約7350円の昇給となる計算です。
 
では、もし平均並みに昇給していたら生活は楽になるのでしょうか。残念ながら、そう簡単ではありません。総務省の調査によると、2025年3月の消費者物価指数は前年同月比+3.6%と大幅に上昇しています。
 
物価上昇と同じ3.6%分を反映するならば、月収35万円の人は約1万2600円の増額が必要となる計算で、5000円の昇給ではもちろん、2.1%増の7350円でも足りません。
 
昇給があっても物価の伸びに追いつけない現実があるのです。
 

6月、10月に手取りが減る可能性にも注意

前記の通り、5000円の昇給では物価上昇に追いつけません。加えて、6月には住民税の金額が、10月には社会保険料の金額が変わるため、このタイミングで手取りが下がってしまう可能性にも注意が必要です。
 
まずは、6月に行われる住民税の改定です。住民税は、毎年6月に金額の改定が行われるため、人によっては6月以降の手取り金額が4月や5月と比べて減ってしまうことがあります。5月までは2023年の所得、6月以降は2024年の所得をもとに住民税が計算されるため、2024年に昇給があった人は住民税が上がり、手取りが減るかもしれないのです。
 
社会保険料は、毎年4月~6月の給与平均をもとに9月に定時決定が行われ、10月支給分から新しい保険料が適用されます。したがって、今回の昇給が社会保険料に反映されるのは10月からとなり、さらに手取りが減ることがあります。
 
ただし、社会保険料は1万円から数万円単位の幅がある「等級」によって決まるので、昇給しても以前と同じ等級の範囲内ならば、社会保険料負担が変わることはありません。
 

6月からはお菓子やヨーグルト飲料、ベビー用品が値上げ予定

生活を取り巻く環境は今後も厳しさを増しそうです。2025年6月には複数企業が値上げを発表しています。
 
例えば、明治はチョコレート31品とプロテインバー3品を10~36%値上げ、日清ヨークは乳酸菌飲料やドリンクヨーグルト(一部商品を除く)の価格を4~25%引き上げるとしています。また、ピジョンはベビースキンケア用品や哺乳器関連商品などを2~35%値上げ予定です。
 
これらの値上げが与える家計への影響も無視できません。
 

昇給しても家計のひもは緩めないことが大切

5000円の昇給は喜ばしいものですが、世間の平均よりも低く、物価上昇にもまったく追いついていないのが実態です。加えて、6月には住民税の改定、10月には社会保険料の改定と、手取りがさらに減る可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
 
さらに、6月には食品や生活用品の値上げも控えており、家計にとっては厳しい局面が続きそうです。こうした状況を踏まえると、昇給したことで楽観せず、引き続き支出を見直しながら家計を守る心構えが重要です。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査(令和年7年3月分速報)
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)3月分
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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