年収1000万円の銀行員が「ボーナス200万円」の手取り額に驚愕! 昔は“所得税のみ”引かれてたって本当?「現在のボーナス」から引かれるお金とは
本記事では、年収1000万円の銀行勤めの会社員が、200万円のボーナスを受け取った場合の天引き額を計算してみたいと思います。
2級FP技能士
ボーナス200万円の天引き額は約51万円
それでは、200万円のボーナスにかかる天引き額を計算してみましょう。計算条件は、月収50万円、ボーナス400万円(夏200万円、冬200万円)、扶養家族はいないものとします。
健康保険料(介護保険料含む):200万円×11.5%÷2=11万5000円
厚生年金保険料:150万円(※)×18.3%÷2=13万7250円
雇用保険料:200万円×0.55%=1万1000円
合計:26万3250円
※厚生年金保険料については1ヶ月あたり150万円が上限となるため、200万円ではなく150万円に対して保険料率を乗じています。
(200万円-26万3250円)×14.294%=24万8251円
200万円のボーナスからは約51万円(26万3250円+24万8251円)の天引きがあることが分かりました。つまり、手取り額は約149万円ということになり、約4分の1は社会保険料と税金に消えてしまうようです。
なお、ボーナスからは住民税の天引きはありません。住民税は年税額を12ヶ月で除した金額を給与から天引きする仕組みになっているからです。
昔は社会保険料の天引きがなかった!?
改めてボーナスの天引き額を計算してみると、社会保険料の負担の大きさが分かりますね。しかし、以前はボーナスで社会保険料を負担しなくてよかったことを知っていますか? なんと所得税のみの天引きで済んでいたのです。
ただ、この制度の下では、会社が従業員への報酬の支給をボーナスに集中させることで、社会保険料逃れができてしまいます。従業員と会社側双方にメリットがあることなので、積極的に行われていたのかもしれません。このような背景から、2003年度からボーナスにも本格的に社会保険料がかかるようになったのです。
ボーナスが高い業界はどこ?
役職についているといっても、1回のボーナスが200万円というのはかなり高額に感じる人もいるのではないでしょうか。ボーナスの金額は業界によっても差があり、銀行が属する金融業自体はボーナスが高い傾向にあります。図表1は、厚生労働省が調査した2024年の冬季ボーナスの業界別平均支給額です。
図表1
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等
電気・ガス業のライフライン系が約94万円で突出しており、次に情報通信業、そして3番目に金融業・保険業となっています。一方、飲食サービス業や生活関連サービス業は、ボーナスが低い傾向にあるようです。
まとめ
年収1000万円の人が200万円のボーナスを受け取った場合の天引き額は約51万円で、手取りは約149万円ということになります。額面が大きい分天引き額も大きくなりやすいので、賞与明細を見て気落ちする人もいるかもしれません。
さらに、昔はボーナスから社会保険料が天引きされていなかったと聞くと、なんとなく不公平感を持ってしまうのではないでしょうか。「頑張った分だけ自分に返ってくる」そんな世の中を望みたいものですね。
出典
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
厚生労働省 令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等
執筆者 : 佐々木咲
2級FP技能士

