カフェでバイト中、海外のお客さんに「10円のチップ」を渡された! 売ったのは「300円のコーヒー」だけど、相場としては高い? 低い?“チップにかかる税金”についても解説

配信日: 2025.07.06 更新日: 2025.10.21
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カフェでバイト中、海外のお客さんに「10円のチップ」を渡された! 売ったのは「300円のコーヒー」だけど、相場としては高い? 低い?“チップにかかる税金”についても解説
外国人観光客が増加し続ける中、飲食店などで店員が観光客にお釣りを渡そうとした際に「Please keep the change.」(おつりはとっておいて)などの言葉とともに、店員に「チップ」を渡そうとするのを目撃したことがある人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、アメリカなどの海外におけるチップの相場と、チップに関する税金の取り扱いについて解説していきます。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

海外における「チップの相場」とは

アメリカなど「チップ文化」が定着している国では、それぞれ「チップの相場」も定められています。ただ、これはある種の「空気」のようなもので、明確に法律などで決まっているわけではありません。例えば、「地球の歩き方 海外でのチップについて ハワイ」ではハワイにおけるチップの目安として、以下の通り紹介されています。
 

●タクシー

メーターの15%前後。少額のときも、最低$1を。
 

●レストラン

勘定書の約15%。すでにサービス料が加算してあれば、チップを払う必要なし。小銭がないときは、支払いを済ませてからチップを払ってもよい。ホテルのレストランなら勘定書に金額を書いてサインすれば、チェックアウト時に精算できる。
 

●バー

キャッシュ・オン・デリバリー(飲み物が運ばれるたびに支払う方式)でカウンターに座って飲むなら、基本的にチップは不要。テーブルに座ったときは、スタッフにそのつど渡す。ビールやウイスキー、カクテル類はいずれも$1ぐらい。最後にまとめて払う場合は、合計金額の15%程度を。
 

●その他

ルームキーパーやボーイに何かを頼んだとき、1回につき最低$1ぐらいは。またルームサービスの場合も料金の15%を。
 
上記を参考にすると「300円のコーヒーを購入時に、10円のチップ」という支払い方は、チップとしてはかなり少額の部類に入るでしょう。仮にこれがハワイであれば、300円×15%=45円、実際は50円玉1枚をチップとして渡すのが「お作法」であると言えそうです。
 
もしかすると今回の場合は、観光客が事前に「日本ではチップは不要である(そのため支払う際は少額でも構わない)」という知識を得ていたという背景があるのかも知れません。
 

「チップ」に税金はかかるのか?

チップの支払いが一般的でない日本でも、チップに関する税金について定めはあります。個人向けのチップは「雑所得」として扱われ、チップと他の雑所得も合わせて年間20万円以上の収入がある場合は課税対象となり、確定申告が必要になります。
 
一方、チップの支払いについて、国税庁から「(チップは)役務の提供の対価の支払とは別に支出するものであり、提供を受ける役務との間に明白な対価関係は認められませんから、課税仕入れに該当しません」という指摘があり、チップを支払っても「経費」として節税はできないことがわかります。
 
日本においてはチップを受け取ることも支払うことも、税制としては全く優遇されていないと言えるでしょう。
 
ただ、これらの状況は日本政府が「チップ」について厳しい目線をもって徴税をしようとしているわけではなく、日本国内にチップ文化が全くないがゆえ、国民が「チップ」を受け取ったり支払ったりすることにほとんど関心を寄せていなかった結果であるように、筆者には思えます。
 
チップ文化が深く根付いたアメリカでは、飲食店などで働く従業員がもらう「チップ」に税金がかかるかについて、政治的な議論の対象になっています。
 
例えば前回の大統領選挙の中でも、現大統領のトランプ氏は「チップへの課税撤廃」を公約に掲げました。報道によると、つい最近になって、米議会上院はレストラン従業員などのチップ収入を非課税にする「チップ課税撤廃法(No Tax on Tips Act)」の法案を全会一致で可決したそうです。
 
この法律の中では最大2万5000ドル(1ドル=145円換算で約362万円)まで、現金によるチップ収入への課税を免除すると定められており、これは日本における雑所得の非課税枠(年間20万円まで)と比べると、実に18倍以上の免税枠です。
 
アメリカにおける「チップ経済」の大きさや、チップに課税されるかどうかに国民が強く注目している様子が見て取れるニュースだと言えるでしょう。
 
今後、インバウンドの影響で日本にもチップ文化が根づいていくとすれば、チップにまつわる税金の取り扱いなどについて議論がされていくかもしれませんね。
 

まとめ

チップ文化のある海外においては、飲食店では頼んだ品物の「15%程度」のチップをウェイターなどに渡すことが一般的で、「300円のコーヒーを購入時に、10円のチップ」という支払い方はかなり少額な部類に入ると言えます。
 
チップの受け渡しが一般的でないわが国においては、チップに関する税金関連の整備も全くといっていいほどされていません。今後、インバウンドの影響などで日本にチップ文化が根づいていけば、チップにまつわる税法などについても徐々に議論が進むかもしれません。
 

出典

地球の歩き方 海外でのチップについて ハワイ
国税庁 チップの支払
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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