社会人の初ボーナスは「25万円」なのに、手取り“20万円”ほどでショック…! 約5万円も何を引かれたの?「差し引かれる内訳」を確認
「5万円も引かれるなんて!」「8割しか残らないの?」と驚いた人もいるかもしれません。ボーナスは臨時収入のように見えますが、毎月の給料と同じように社会保険料や所得税の計算対象となっており、実際は支給額より手取り額が減ってしまうのです。
本記事では、ボーナスの手取り額が額面よりも減ってしまう仕組みを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
ボーナスから引かれるのは社会保険料と所得税
ボーナスから引かれるのは健康保険料(40歳以上は介護保険料も)、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料と所得税です。実際にどれくらい引かれるのか見ていきましょう。
負担が大きいのは社会保険料! 約15%近くにもなる
ボーナスから引かれるものとして金額が大きいのは社会保険料です。例えば23歳、東京都協会けんぽに加入する会社員は、ボーナス25万円から次のような社会保険料の負担が発生します。
・健康保険料(9.91%を労使折半):25万円×9.91%÷2=1万2387円
・厚生年金保険料(18.3%を労使折半):25万円×18.3%÷2=2万2875円
・雇用保険料(労働者負担率0.55%):1375円
これらの合計で3万6637円が引かれることになります。社会保険料の控除率は25万円に対して約14.7%と大きな割合を占めています。
所得税の源泉徴収も小さくない
ボーナスに対しては、社会保険料だけでなく、所得税の源泉徴収も行われます。所得税は1年間の報酬によって決まるのでいったん仮払いをするイメージで、正確な所得税が決まり次第、年末に精算が行われます(年末調整)。
この仮払いの計算の流れを確認します。まずは前月の社会保険料控除後給与と扶養親族人数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて、賞与に対する源泉徴収税率を求めます。
例えば、「前月の社会保険料控除後の給与が21万円」、「扶養親族が0人」という条件を同表に当てはめると、源泉徴収税率は4.084%となります。
社会保険料には所得税がかかりません。したがって、賞与(25万円)から、前述した社会保険料(3万6637円)を引いた21万3363円の4.084%、つまり8713円が源泉徴収されるのです。
社会保険料(3万6637円)と源泉徴収所得税(8713円)を引いた20万4650円が最終的な手取り額です。5万円近くが控除され、手取り率は25万円に対して約81.9%となります。
会社によっては持株会掛け金や組合費が引かれる場合も
ここまで紹介した健康保険料や所得税などは全て法律で決まった「法定控除」ですが、会社によってはこれに加えて独自の控除が行われることがあります。
例えば、持株会の掛け金や労働組合費などです。これらは会社の制度に加入している場合に限りますが、ボーナス支給時にも引かれることがあります。
筆者の勤務先では、持株会の掛け金がボーナス月だけ通常月の3倍に設定されており、組合費もいつもより多く引かれていました。
このような会社に勤めている場合は、ボーナスの手取り額が支給額の8割を下回ることもあるのです。自分が加入している制度や控除内容について、事前に給与明細や社内制度を確認しておきましょう。
ボーナスからも各種控除が行われることを知っておこう
ボーナスも毎月の給与と同様に、社会保険料や所得税が差し引かれるため、手取り額は額面の8割程度になるのが一般的です。したがって、初めてのボーナスでは、額面と手取り額の差に驚くかもしれません。
手取り額を知らずに支給額だけで使い道を決めてしまうと、思ったより少なく感じてしまう、足りなくなるといったこともあるでしょう。手取り額ベースで考えることが大切です。
出典
全国健康保険協会 令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)(東京支部)
厚生労働省 令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
