年収1000万円の生活ってどんな感じ? 「ぜいたくできる」って本当ですか?
この記事では、年収1000万円の実際の生活レベルについて、手取り収入や世帯構成による生活レベルの違い、日本国内における位置付けまで解説します。
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年収1000万円以上の割合
年収が1000万円以上の人は、日本国内にどれくらいいるのでしょうか。また、年収1000万円以上稼ぐ可能性の高い職業とは、どのようなものがあるのかを紹介します。
日本の中で何%いる?
国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円以上の給与所得者は全体の5.5%です。また、全体の平均給与額は460万円のため、年収1000万円は平均給与額の倍以上です。このことから、年収1000万円は実際に高収入であると考えられます。
業種別・地域別の分布傾向
年収1000万円以上の収入を得やすいと考えられる業種、また得ている人が多いと考えられる地域は以下のとおりです。
まず業種別の傾向は、既出の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、トップ3は以下の業種で、年収が1000万円以上の人の割合も高くなると考えられます。
・電気・ガス・熱供給・水道業(平均年収:775万円)
・金融業・保険業(平均年収:652万円)
・情報通信業(平均年収:649万円)
一方、地域別の傾向は、総務省統計局の「2019年全国家計構造調査」によると、トップ3は以下の地域で、年収が1000万円以上の人の割合も高くなると考えられます。
・東京都(年間収入:629万7000円)
・神奈川県(年間収入:615万4000円)
・愛知県(年間収入:613万4000円)
年収1000万円の手取り額はどれくらい?
一般的に手取り額は、額面の75%~85%程度といわれます。これは、収入から「所得税」や「住民税」、健康保険料や厚生年金保険料を含む「社会保険料」などが引かれるためです。
家族構成や控除などによって異なりますが、年収1000万円の手取り額は、700万円~780万円程度といわれています。月額にすると58万円~65万円ほどとなる計算です。
年収1000万円の生活レベルは高いのか
年収1000万円の生活レベルは、家族構成やライフスタイルなどによって異なります。今回は「1人(独身)暮らし」の場合と「家族持ち(3人家族)」の場合で生活状況を見てみましょう。
1人暮らしの場合
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、単身世帯の生活費平均は月16万9547円です。手取りが60万円と仮定すると、約43万円の余裕があります。
このことから独身で年収1000万円であれば、外食やレジャーにも十分な予算を割け、いわゆる「ぜいたくな生活」が可能と考えられます。また、余った資金をすべて貯蓄しておけば、約4年で2000万円貯まる計算のため、老後資金も安心でしょう。
家族持ち(3人家族)の場合
家族がいる家庭では状況が一変します。同じく総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年」によると、勤労者世帯における3人世帯の1ヶ月の生活費平均は31万8904円です。同様に手取りが60万円と仮定すると、約28万円の余裕があります。
一見余裕のある生活が送れそうですが、子どもにかかる教育費や、住宅購入を検討している場合などは、それらが大きな負担となり、思ったほど自由に使えるお金は残らない可能性もあります。住宅購入費用と、子ども1人にかかる教育費の目安は以下のとおりです。
なお、住宅購入費用の平均額は独立行政法人住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」のデータ、子ども1人にかかる幼稚園~高校までの教育費は文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査の結果」、大学の教育費も同じく文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」のデータを使用します。
・住宅購入費用の平均額
新築マンション:5245万円
新築建売住宅:3603万円
中古マンション:3037万円
中古戸建て住宅:2536万円
・幼稚園~高校までの教育費(すべて公立に通った場合とすべて私立に通った場合)
すべて公立:596万3096円
すべて私立:1976万1305円
・大学4年間の教育費(令和3年度)
国立:242万5200円
公立:253万6757円
私立:396万9723円
住宅購入費用や教育費は、選択する内容によって金額が大きく異なります。
例えば、新築マンションを購入し、子どもが幼稚園から大学まですべて私立に通うと仮定した場合、上記から、合計で7600万円以上必要となる可能性があります。それらの費用を用意するには、手取りが月60万円の場合の余裕資金をすべて貯蓄したとしても、20年以上かかる計算です。
住宅購入や子どもの教育費も考慮し、毎月の余裕資金は旅行や趣味などに使い過ぎないよう注意が必要です。
年収1000万円の生活レベルは世帯構成などによってギャップがある
年収1000万円を得ている人は、それ以上を稼いでいる人を含めても、日本全体の5.5%とかなり少なく、その額も給与所得者の平均値からすると高収入といえるレベルです。
この年収は、独身世帯で平均的な支出額であれば、ぜいたくな生活を送れると考えられますが、子どものいる家族などにとっては、住宅購入や教育費との兼ね合いで余裕のある生活を送るのはなかなか難しいケースがあることも分かりました。
年収1000万円でも、家族構成などによって生活レベルは大きく変わるといえるでしょう。
出典
国税庁長官官房企画課 令和5年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)、3 給与階級別分布(23ページ)
総務省統計局 2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果 結果の概要 III 都道府県別にみた所得,金融資産・負債(25ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 表II-1-1 消費支出の対前年増減率の推移(15ページ)
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 表番号 3-1 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 世帯人員別 2024年
独立行政法人住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調査 I 調査結果の概要 5 所要資金(融資区分別)の推移(2013~2023年度)(10ページ)
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 2 調査結果の概要 4 幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(18ページ)
文部科学省 令和5年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について (参考2)国公私立大学の授業料等の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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