1週間の夏休みを取ったら、“翌月の給料”がいつもより少なめに……。長期休暇のとき、給料が変わるケースってあるの?
休暇を取得したからといって給与が減るわけではないものの、勤務先の制度や雇用形態によっては受け取る給与が変動する場合があります。
本記事では、長期休暇によって給与が変わるケースと、少しでも給与を減らさないための対策について詳しく解説します。
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長期休暇で給与が減ることはある?
長期休暇の取得期間中に給与が生じるかどうかは、勤務先の制度や休暇の種類によって異なります。
例えば、夏季休暇や年末年始休暇などが「会社が独自に設けた有給の特別休暇」として扱われている場合は、休暇中であっても給与は発生します。一方、勤務先によっては長期休暇を「無給の休暇」や「欠勤」として扱うことがあり、休暇期間中は出勤日数が減るため、給与もその分減額されます。
なお、夏季休暇や冬季休暇は法律で義務付けられているものではありません。休日に対する法律上のルールはなく、労働基準法で定められた「週1回以上の休日」を満たす範囲で、会社が自由に設定可能です。
勤務先の企業が休日とする日や、休日が有給か無給になるかは、就業規則や給与規程で確認できます。
また、企業によっては夏季や年末年始の一斉休業期間を「会社指定の休日」とし、この日を出勤義務のない日として設定しているケースがあります。会社が休日として指定し出勤義務がない場合は、原則として賃金が支払われないケースが多いです。そのため、この期間が長くなるほど翌月の給与が減少する恐れがあります。
給与が変動する主なケース
長期休暇以外にも、給与額が毎月変動する原因はいくつかあります。特に次のようなケースでは、思わぬタイミングで手取り額が減ることがあります。
昇給による税負担の増加
昇給すると社会保険料や所得税の計算基準も上がるため、結果的に手取り額が思ったより増えないことがあります。給与額の増加によって、社会保険料や所得税、住民税の負担が増えることが理由です。社会保険料は給与の標準報酬月額に基づいて計算されるため、昇給後に保険料等級が上がると翌月以降の天引き額が増えるのが一般的です。
また、所得税は累進課税のため、課税所得が増加すれば税率も段階的に上がるため、昇給額すべてが手取りに反映されるわけではありません。昇給時は、総支給額だけでなく、社会保険料や税額の変化もあわせて確認するようにしましょう。
残業代の増減
残業時間が多い月は残業代が加算されて手取りも増えますが、反対に長期休暇や閑散期で残業が減ると、手取りも減少します。
また、残業代が増えると社会保険料の計算基準となる総支給額が上がるため、翌月以降の保険料が高くなるケースも考えられます。さらに、残業代の支給割合や計算方法が改定されれば、同じ時間分残業したとしても支給額が変わることもあります。
扶養人数の変化による所得税額の変動
所得税や住民税は、扶養家族の人数によって控除額が変わります。扶養家族が増えれば課税対象額が減り税負担は軽くなりますが、扶養から外れる家族が出ると控除額が減り税負担が増えるため手取り額が減少します。
例えば、子どもが就職して扶養から外れた場合や、配偶者の収入が増えて扶養条件を超えた場合などが該当します。扶養控除は1人あたり数万円以上の税額差になるケースもあるため、家族構成変わったときはなるべく早めに会社へ申告し、給与明細で控除内容を確認してください。
長期休暇によって給与を減らさないためにできること
長期休暇を取っても給与が減らないようにするためには、計画的な有給休暇の取得が欠かせません。特に年次有給休暇は、労働基準法により年5日の取得が義務付けられています。有給の残日数を定期的に確認し、長期休暇と組み合わせて取得することで、欠勤扱いによる減額を防いでいきましょう。
休暇前に「給与への影響」を確認しておこう
長期休暇は、心身をリフレッシュし、仕事のパフォーマンスを高めるためにも大切な時間です。しかし、給与の支給条件や会社の休暇制度によっては、長期休暇の取得により翌月の給与額が変動する可能性があります。
休暇取得による収入減を防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。
●就業規則や給与規程で、休暇中の給与の扱いを事前に確認する
●無給となる日がないよう、有給休暇の残日数を計画的に管理・取得する
●昇給や残業の有無、扶養人数の変化など、給与明細の変動要因もチェックしておく
以上のポイントを理解しておけば、安心して休暇を満喫できるはずです。給与への影響を最小限にとどめながら、心身をしっかりリフレッシュしましょう。
出典
厚生労働省東京労働局 年5日の年次有給休暇の確実な取得
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
