内閣総理大臣は「年収4060万円」に、公邸の維持費「1億6000万円」…高待遇なポジションに“求められる資質”とは? 給与額・福利厚生を確認

配信日: 2025.09.24 更新日: 2025.10.21
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内閣総理大臣は「年収4060万円」に、公邸の維持費「1億6000万円」…高待遇なポジションに“求められる資質”とは? 給与額・福利厚生を確認
石破首相が事実上の退陣に追い込まれ、次の日本のリーダーは誰になるのか、永田町がにわかに騒がしくなっています。テレビやネットではさまざまな候補者の名前が飛び交っていますが、その様子を見て「そもそも総理大臣って、どういう仕事で、収入はいくらなのだろう?」と素朴な疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
 
内閣総理大臣の受ける報酬や待遇は、当然ながら税金から支払われています。本稿では、意外と知られていない総理大臣の「なり方」から、気になる年収、そして手厚い福利厚生まで、具体的な金額やデータを交えながら解説していきます。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

意外と知らない? 総理大臣の「なり方」と求められる資質

日本においては、国民が選挙で直接総理大臣を選ぶ「直接民主制」は採用されていません。総理大臣は、国会議員の中から、国会の議決(指名選挙)によって指名されます(間接民主制)。その指名に基づいて天皇が任命することで、正式に内閣総理大臣となります。
 
通常は、衆議院と参議院の両方で指名選挙が行われ、衆議院で最も多くの票を得た人物が指名されることがほとんどです。そのため、選挙で勝利し、国会で最も多くの議席を持つ政党(与党)のトップが、そのまま総理大臣になるのが通例です。
 
ただ、現時点では与党の自民党・公明党はいわゆる「少数与党」で、衆議院・参議院とも過半数の議席を持っていませんので、指名選挙で別の政党のトップが総理大臣として選ばれることも十分にありえる状況です。
 
内閣総理大臣に必要な資質は多くありますが、主なものとして以下のようなポイントがあげられるでしょう。

強力なリーダーシップ: 内閣をまとめ、国を導く力。
 
プレッシャー耐性:国の内外から受ける、極めて強いプレッシャーに耐えうる力。
 
的確な決断力: 国内外の複雑な問題に対し、すばやく最善の判断を下す能力。
 
危機管理能力: 災害や国際紛争など、不測の事態に冷静に対応する力。
 
交渉・調整能力: 各国首脳や国会との対話を通じ、国益を守り政策を実現する力。
 
国民への説明責任: 政策の意図や現状を、誠実に分かりやすく国民に伝える姿勢。

これらの資質を全て兼ね備えることは容易ではありませんが、一国のリーダーには不可欠な要素と言えます。このような人物に対し、国が支払う給与額は釣り合っているのでしょうか。
 

総理大臣の給与額と、福利厚生とは

総理大臣の報酬と待遇について、具体的な数字を見ていきましょう。内閣総理大臣の給与は、「特別職の職員の給与に関する法律」で、以下の通り定められています。
 
俸給(月給): 201万6000円
これに地域手当(東京都、20%)が加算され、合計で241万9200円となります。
 
期末手当(ボーナス): 年間で約1100万~1200万円 年に2回(6月と12月)支給されます。
 
これらを合計し、内閣総理大臣の年収は概算で約4060万円とされています。
 
また、総理大臣には国のトップとして職務に専念ができるよう、以下のような待遇(福利厚生)が用意されています。
 
住まい:総理大臣公邸
執務を行う「官邸」の隣に、住居である「公邸」が用意されており、家賃や光熱費は無料です。ちなみに、公邸の維持費だけでも年間1億6000万円かかるとされています。
 
交通手段:専用車
移動には運転手付きの専用車が使用されます。
 
警備:SPによる24時間警護
警視庁の警備部に所属するSP(セキュリティポリス)が、24時間体制で身辺を警護します。
 
その他
在職期間に応じた退職金や、議員年金などの制度もあります。
 
年収約4000万円、家賃無料の公邸に専用車……という待遇を「高すぎる」と感じるか、「国のトップなのだから当然」と感じるかは、人それぞれでしょう。
 
民間企業のトップ経営者であれば「年収数億円」という人もいるため、それと比較すれば決して破格の金額ではないかもしれません。しかし、その原資はすべて国民の税金であるという事実は重いと言えます。
 
国民にとって重要なのは、総理大臣の仕事ぶりと待遇には釣り合いが取れているか、という視点ではないでしょうか。総理大臣は、日本の行政の最高責任者として、国民の生命と財産を守るという極めて重い責任を負っています。いつ災害などの国家的危機が発生するか分からない緊張感の中で、判断を誤れば国全体を危うくする可能性もあります。
 
新しい総理大臣は、上記のような待遇に見合うだけの働きを国民に対しできるのか、国民側はきちんと見ていく必要があるでしょう。
 

まとめ

日本国総理大臣の年収は概算で約4000万円程度であり、加えて住まいとして公邸への居住が無料で提供されるほか、移動のための専用車と身辺警護のための警備員が配置されるなどの待遇が用意されています。
 
これらの報酬・待遇を得ているリーダーが、本当に国民のために働き、課せられた重責を果たしているのかを、国民は日々の報道や選挙を通じて厳しくチェックしていく責任があります。今回の総裁選を機に、次のリーダーには何を期待するのか、そしてその対価として支払われる報酬は妥当なのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

内閣官房 主な特別職の職員の給与
e-Gov法令検索 特別職の職員の給与に関する法律
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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