「持ち家率が高い県=お金持ち」って本当? トップは「富山・山形・秋田」だけど“平均年収”はどのくらいですか?持ち家率と年収の関係を解説
本記事では、総務省や厚生労働省の統計データを基に、持ち家率と年収の関係や、地域による住宅事情の違いを詳しく解説します。
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目次
全国の持ち家率は60.9%! 持ち家率トップ5の都道府県は?
総務省が実施した「令和5年住宅・土地統計調査」の結果によると、日本国内の持ち家住宅の割合は60.9%に上ります。これは、全世帯のうち半数以上が自分で所有する住宅に住んでいることを示している結果です。
持ち家率が高い上位5県は、図表1のような結果となりました。
図表1
| 順位 | 都道府県名 | 持ち家率(%) |
|---|---|---|
| 1位 | 秋田県 | 77.1 |
| 2位 | 山形県 | 75.0 |
| 3位 | 富山県 | 74.9 |
| 4位 | 新潟県 | 74.0 |
| 5位 | 和歌山県 | 73.8 |
総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果についてより筆者作成
地方が上位を占めている一方、東京都の持ち家率は44.7%と、沖縄県に次いで全国で2番目に低い水準です。都内では71.6%の世帯が共同住宅に住んでおり、この割合は全国で最も高くなっています。
持ち家率の高い地域の平均年収はいくら?
持ち家率の高さと平均年収の高さは、必ずしも比例するわけではありません。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に、持ち家率トップ3の平均賃金を比較すると、図表2のような結果となりました。
図表2
| 都道府県名 | 平均賃金 |
|---|---|
| 秋田県 | 26万5500円 |
| 山形県 | 27万2400円 |
| 富山県 | 29万5200円 |
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況より筆者作成
持ち家率が高い秋田県・山形県・富山県の平均賃金は、全国平均の約33万400円を下回っています。一方で、持ち家率の低い東京都の平均賃金は約40万3700円と、全国で最も高い水準です。持ち家率には、平均年収以外の要因も大きく関わっていることがうかがえます。
持ち家率は世帯年収の高さにも比例する
地域別のデータとは対照的に、個々の世帯に目を向けると年収が高いほど持ち家率も高くなる傾向があります。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」では、年収500~700万円未満の世帯が持ち家率の50%を超え、収入に比例して上昇していることが分かります。
また、一世帯あたりの住宅所有件数も、全体平均の1.6件に対し、年収2000万円以上の世帯では2.8件に増加しています。地域全体の平均年収とは別に、個々の世帯の経済力が家を持つための重要な要素となっているのです。
住宅購入費用は地域によって2000万円以上の差がある!?
都道府県別の持ち家率と平均年収の逆転現象の背景には、地域による住宅購入費用の差があります。住宅金融支援機構が行った「フラット35利用者調査」の建売住宅の購入費用をみると、東京都の5458万円と、秋田県の2873万円では、2585万円もの差があることが分かります。
この価格差が、年収の高い都市部での持ち家率を低くしている要因だといえるでしょう。一方、地方では親から子へ広い土地が引き継がれ、土地購入の負担なく家を建てるケースも少なくありません。
こうした「住宅の取得しやすさ」が、地方の持ち家率を押し上げていると考えられます。
地域の特性を理解して「持ち家=お金持ち」の固定観念を見直そう
「持ち家=お金持ち」というイメージは、地域の特性を考慮すると必ずしも正しくないことが分かります。平均年収が高い東京都で持ち家率が低いのは、住宅価格が極めて高額なためです。
逆に、地方では比較的低い年収でも、住宅価格が手頃なため持ち家を実現しやすくなっています。そのため、持ち家がある人を「お金持ち」と結びつけるのは、一面的な見方と言えるでしょう。
持ち家の有無だけで経済力を判断するのではなく、地域特性を踏まえた多角的な視点を持つことが重要です。
出典
総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
総務省 令和5年住宅・土地統計調査 土地集計(確報集計)結果
住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 2024年度集計表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
