新卒の息子の初任給が「月28万円」!45歳の私の給与とあまり変わらないけど、最近はこれが“当たり前”なの?
本記事では、初任給の平均や、初任給と45歳の平均給与との違いを比較するとともに、中堅社員の賃金が減少傾向にある現状についてもまとめています。
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初任給の平均はどのくらい?
一般財団法人労務行政研究所が発表した「2023年新入社員の初任給調査」によると、全産業における学歴別初任給の水準と前年度からの上昇率は表1の通りです。
表1
| 2023年度初任給 | 前年度からの上昇率 | |
|---|---|---|
| 高校卒(事務・技術) | 18万3388円 | 3.7% |
| 短大卒(事務) | 19万5227円 | 3.5% |
| 大学卒(事務・技術) | 22万5686円 | 3.1% |
| 大学院卒修士 | 24万3953円 | 3.2% |
出典:一般財団法人労務行政研究所「2023年新入社員の初任給調査」を基に筆者作成
今回は「新卒の息子の初任給が月28万円」ということなので、平均より高い水準にあるといえるでしょう。
また、初任給の引き上げを実施した企業は、「高校卒(事務・技術)」採用で84.5%と最も多く、「短大卒(事務)」「大学卒(事務・技術)」「大学院卒修士」の各採用でも70%を超えています。
初任給を引き上げる企業が増えている背景には、急激な物価上昇や、若年労働力人口の減少にともなう新卒採用競争の激化などがあると考えられます。
45歳の平均給与との比較
新卒者の初任給の平均を、45歳の平均給与と比較してみましょう。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、45~49歳の平均給与は521万円です。月額に換算すると約43万4000円となります。
平均給与を男女別に見た場合は、男性が653万円、女性が343万円なので、月収は以下のようになります。
男性:約54万4000円
女性:約28万6000円
女性の平均給与は月約28万6000円なので、今回の事例に出てくる「新卒の息子の初任給月28万円」とほぼ変わりません。
中堅社員の賃金は減少傾向にある?
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、大企業における35歳~54歳の賃金の対前年増減率は低下しています。
中堅社員の賃金が減少傾向にある理由の1つに、異業種から転職してきた未熟練社員の存在が挙げられます。異業種からの転職の場合、その企業で新卒から勤めて経験を積んだ同年代の社員よりも、低い賃金からスタートすることになるでしょう。
また、高い賃金をもらっていた熟練社員の流出も、中堅社員の賃金が減少する理由の1つです。結果的に、同じ年齢層でも賃金の低い社員の比率が高まり、平均賃金の低下を招くことになったと考えられます。
45~49歳女性の平均給与は「月約28万4000円」なので、新卒者の初任給と変わらない場合もある
2023年度の初任給の平均は、最も高い「大学院卒修士」で24万3953円なので、今回の事例にある「新卒の息子の初任給が月28万円」は高い水準にあるといえるでしょう。
45~49歳の女性の平均給与は月約28万4000円なので、「新卒の息子の初任給月28万円」とほとんど同じ水準です。
初任給を引き上げる企業の割合は増加傾向にあり、急激な物価上昇や若年労働人口の減少などが理由として考えられます。
一方、中堅社員の賃金が減少傾向にある理由には、異業種から経験の浅い社員が転職してくることや、高い賃金をもらっていた熟練社員が社外へ流出することなどが挙げられるでしょう。
出典
一般財団法人労務行政研究所 2023年新入社員の初任給調査(2~4ページ)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査 Ⅱ 1年を通じて勤務した給与所得者 〔年齢階層別の平均給与〕(第14図)年齢階層別の平均給与(21ページ)
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (4) 企業規模別にみた賃金 第4表 企業規模、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び企業規模間賃金格差
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
