「野原ひろし」と同じ35歳ですが、年収は“400万円”です。この年齢で「係長・年収600万円」ってどれだけ“すごい”のでしょうか? 日本の「平均年収・役職者年齢」と比較
そこで本記事では、野原ひろしの推定年収を分析した上で、平均的な30代半ばのサラリーマンの年収と比較してみます。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
野原ひろしの想定年収・役職
野原ひろしは、春日部市在住35歳のサラリーマンで、双葉商事の営業二課の係長として勤務しており、年収は約600万円と見積もられています。年収600万円という数字は、1994年放送のアニメエピソード「ひさんな給料日だゾ」で描かれた、手取り30万円という発言を基に推定されたものです。
手取り30万円から額面給与を逆算すると約38万円で、年2回の賞与(基本給の2ヶ月分と仮定)を加算した場合、年間の総収入は約600万円となります。なお、35歳で係長の役職に就いており、平均的な昇進スピードと比べてもやや早いと想定されるため、職場での評価や仕事ぶりが良好であることがうかがえます。
現実で30代半ばの係長・年収約600万円はすごい?
30代半ばで係長・年収約600万円は、平均以上の給与で十分に高い収入だといえます。国税庁が発表した「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、35歳~39歳男性給与所得者の平均年収は574万円となっています。
つまり、野原ひろしの推定年収600万円は、同年代の平均を約26万円上回っており、一般的な会社員の稼ぎよりも高い収入だと判断できます。
また、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」によると、係長の平均年齢は45.6歳となっています。35歳という若さで係長に就いているのは、比較的早い段階で昇進していると考えられるでしょう。したがって、現実的にみても30代半ばで係長・年収600万円はエリートであるといえます。
一馬力で戸建て・専業主婦と子ども2人と犬1匹を養うのはすごい?
野原家では、ひろしが一家の大黒柱として働き、みさえは専業主婦で家事と育児に専念し一戸建てで暮らしています。作中では当たり前のように描かれている生活スタイルですが、現代において、一人の収入で戸建て住宅を持ち家族を養うのは、難易度が高いといえます。
生活必需品の値上がりで家計は以前と比べて圧迫され、住宅価格は近年上昇傾向にある一方で、実質賃金は長期的にみると横ばいとなっているからです。
現在の経済環境下で、野原ひろしのライフスタイルを一馬力で実現するには、職業や地域にもよりますが、最低でも年収700万円が必要ではないでしょうか。しかし、国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、82.7%が年収700万円以下です。
つまり、野原ひろしは、一人の収入だけで戸建て住宅を持ち家族を養える、17.3%の高所得者層ということになります。一馬力で戸建て住宅を持ち専業主婦と子ども2人、犬1匹を養うのは、すごいことだといえるでしょう。
まとめ
野原ひろしの推定収入である年収600万円は、給与所得者の中で高い水準だといえますが、人生において給与額だけが重要なわけではありません。35歳で年収400万円でも、安定した職に就いて家族を大切にし、堅実な家計管理ができれば十分に幸せな家庭を築くことは可能でしょう。
経済的な豊かさばかりが注目されがちですが、真の豊かさとは仕事以外の時間を大切にし、自分らしく生きることにあるという見方もできるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者 : 山口航
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
