部長だけど「年収1000万円以下」という父。かなり“高年収”なイメージでしたが、実際そこまで稼げないのでしょうか? 日本で「年収1000万円」達成の割合も確認
そこで今回は、部長職の平均年収や日本全体の年収水準を確認した上で、日本で1000万円以上の年収を達成している人の割合について解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
部長職の年収を確認
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」のデータを基に計算した部長職の平均的な年収は、図表1のとおりです。
図表1
| 平均月収(A) | 年間賞与その他特別給与額(B) | 平均年収(A×12+B) |
|---|---|---|
| 62万7200円 | 214万6400円 | 967万2800円 |
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査を基に筆者作成
部長職の平均年収は約967万円で、部長に昇進しても年収1000万円に満たない場合が多々あります。ただし、企業規模が大きくなると、部長の平均年収が1000万円以上になる場合も少なくありません。
「令和6年賃金構造基本統計調査」から、企業規模別の部長職の年収を算出すると以下のようになります。
・10~99人の企業:約725万円
・100~999人の企業:約965万円
・1000人以上の大企業:約1306万円
このように、企業規模1000人以上の大企業の部長になると、年収1000万円を超える水準となっていますが、従業員数が999人以下の企業では部長職でも年収1000万円に届かないのが現実で、年収700万円台にとどまるケースも珍しくありません。
したがって、部長に昇進したとしても年収1000万円を稼げるのは一部であり、大半の人には手の届かない水準だといえます。
日本の平均年収は?
部長クラスの役職についても年収1000万円を超えるケースは多くはないですが、日本全体の平均年収と比べた場合、どの程度差があるのか確認してみましょう。
国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は478万円です。従業員99人以下の企業における部長の年収約725万円は、給与所得者の平均を約247万円上回っています。
次に、民間給与実態統計調査の年齢別のデータを見ると、部長職に就くことが多い40代後半~50代前半の年収平均は540万円~559万円程度です。今回の事例がこの年齢層に当てはまるとすれば、同年代の平均と比べるとかなり高い水準となります。よって、部長の報酬は一般的な給与水準と比較すると十分高額であるといえるでしょう。
日本で年収1000万円以上の人の割合は6.2%
国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者約5137万人のうち、年収1000万円を超える人は約320万人です。つまり、日本で年収1000万円以上を達成している給与所得者の割合は、わずか6.2%程度しかいません。
職業別に見ると、年収1000万円以上の職業は、医師や弁護士のような専門職、大手商社や外資系金融機関の管理職などが多いです。つまり、年収1000万円に到達するには、長期間の努力と継続的なスキルアップが不可欠であり、誰もが簡単に達成できる水準ではないといえるかもしれません。
まとめ
部長職であっても、年収1000万円を超えるのは一部に限られる場合が多く、中小企業では700万円台~900万円台にとどまることがほとんどです。年収1000万円を目標とする人は多いかもしれませんが、現実的には限られた人しか達成できない水準といえます。
そのため、年収1000万円という数字にとらわれすぎず、自分なりの充実したキャリアを築くことに焦点を当てるほうが建設的だといえるでしょう。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者 : 山口航
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
