「京浜東北線」が2027年春から「ワンマン運転」へ。将来のオペレーションコスト削減は390億円に!? 「鉄道車掌」の年収も紹介

配信日: 2025.11.23
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「京浜東北線」が2027年春から「ワンマン運転」へ。将来のオペレーションコスト削減は390億円に!? 「鉄道車掌」の年収も紹介
「ワンマン運転」とは、車掌が乗務せずに運転士1人だけが旅客列車を運行する方法です。運転士は、運転業務に加えて発車時の安全確認といった車掌の業務を兼務することになります。
 
ワンマン化によってどの程度の人件費削減が見込まれるのでしょうか? 鉄道車掌の平均年収を基に試算してみました。
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JR東日本は2027年春から「京浜東北線・根岸線」でワンマン運転を実施

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は人材不足への対応と業務効率化を目的に、首都圏の主要路線で2030年頃までに車掌が同乗しない「ワンマン運転」を導入する計画を進めているようです。
 
すでに、2025年3月から常磐線(各駅停車)および南武線でワンマン運転を実施しており、2027年春からは京浜東北線・根岸線や中央・総武線(各駅停車)でも導入予定としています。
 
京浜東北線は東京都・神奈川県・埼玉県を結ぶ主要路線の1つであり、多くの利用者がいる路線です。そのため、安全性を確保するためには高度な監視カメラやホームドアなどの設備整備が欠かせません。
 
同社は、ホームドアの設置拡大や車両へのカメラ増設を進めることで、安全を確保しながら効率的な運行体制の実現を目指しているようです。
 

ワンマン運転の拡大などにより2028年度までに“390億円”ものオペレーションコストを削減

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は2025年夏、JR東日本グループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表しました。そのなかで、二軸経営による成長戦略を打ち出したJR東日本は、モビリティの価値創造と生活ソリューションの価値創造の二軸経営によるシナジーを発揮することで、体験価値を創造するとしています。
 
モビリティの主要施策としては人手不足への対応や働き方改革の推進を挙げ、首都圏主要線区で2030年頃までにワンマン運転の拡大を実施する予定だそうです。今回発表された京浜東北線・根岸線のワンマン運転も、当施策の一環と考えられます。
 
なお、JR東日本のIR情報「2025年3月期決算および2026年3月期経営戦略 説明資料」によると、2028年3月までにワンマン運転の拡大や運行体制のスリム化で、およそ390億円ものオペレーションコスト削減を見込んでいるようです。
 

「鉄道車掌」の平均年収は“550万円以上”

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、「車掌」の平均年収は562万4200円のようです。平均年収は以下の計算式で表せます。


(決まって支給する現金給与額×12ヶ月)+(年間賞与その他特別支給額)

(37万2600円×12ヶ月)+115万3000円=562万4200円

なお、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」でも同様の年収が紹介されているほか、「地域によってはワンマン運転の拡大が進み、車掌の乗務がなくなった路線も増えている」と解説されています。
 

まとめ

「ワンマン運転」のデメリットは、ヒューマンエラーのリスク増大や、運転士が業務を1人で行うことの負担にあります。混雑時・交通量が比較的多い場所などは負担が大きくなるため、安全確保への配慮が求められるでしょう。
 
一方で、人件費の削減と、それに伴う経営の効率化を図れるメリットがあるようです。特に利用客が比較的少ないローカル線では、このコスト削減が路線の維持に不可欠な役割を果たすと考えられるのではないでしょうか。
 
安全性の確保には高度な監視システムやホームドアといった設備への初期投資が必要ですが、長期的に見れば鉄道事業の持続の可能性を高める重要な施策になるのかもしれません。
 

出典

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) JR東日本グループ経営ビジョン「勇翔2034」(15ページ)
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 2025年3月期決算および2026年3月期経営戦略 説明資料(8ページ、63ページ)
政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) 鉄道車掌
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 京浜東北線・根岸線に新型電車を導入(ページ1)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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