30歳で「注文住宅を建てた」という“公務員夫婦”の姉。一方、会社員のわが家は「アパート」住まいです…やはり公務員は“高年収”なのでしょうか?

配信日: 2025.11.28
この記事は約 3 分で読めます。
30歳で「注文住宅を建てた」という“公務員夫婦”の姉。一方、会社員のわが家は「アパート」住まいです…やはり公務員は“高年収”なのでしょうか?
「公務員=安定した職業」というイメージを持つ人は多いかもしれません。確かに、公務員には業績悪化による大幅な給与ダウンや解雇リスクはなく、基本的に在籍年数に伴い給与が上がる仕組みになっています。
 
それでは、年収の高低で見た場合、公務員は民間企業と比較して高収入なのでしょうか? 職種別や年代別に、民間企業の平均年収と比較しながら解説します。
掛川夏

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種

公務員は高収入!?

ひと口に「公務員」と言っても、一律の給与テーブルがあるわけではありません。
 
国家公務員と地方公務員で異なりますし、民間企業と同様、事務職か技術職かといった職務内容や役職などによって加算(手当)が異なり、年収にも幅があります。
 
例えば、国家公務員全体の平均給与月額は約42万円(給料と諸手当の合計)です。ボーナス分を加えて年収額にすると、約690万円です。
 
給与12ヶ月に年2回のボーナス、各種手当を合計した金額です。職務別にみると、専門職系の公務員は高収入のことが多いようです。代表的な専門職と年収のイメージをまとめると次のようになります。


・医師、歯科医師(国立病院勤務など):約1400万円
・裁判官、検察官:平均1000万円以上
・研究職、専門スタッフ:約900~1000万円
・大学教員(国立大学):約800万円
・国税専門官:約730万円

 

地方公務員は地域によって給与水準に差

地方公務員の平均給与月額は、約41万円(給料と諸手当の合計)です。ボーナス分を加えて年収額にすると、約660万円になります。
 
とはいえ、これは全地方公務員の平均です。職位が上がると給与も上がり、自治体の管理職で700万~800万円以上になるほか、消防士や教員といった危険性や専門性を伴う職種は特別手当が加算され、高額になります。
 
職位や専門性だけでなく、地域差も年収に影響します。ボーナス分は地方自治体ごとに定められることや、都市部は地域手当が高額なことなどが背景にあります。全体的に、東京都や政令指定都市などは給与水準が高く、地方の小規模自治体では低めの傾向がみられます。
 

年代が上がるほど民間企業よりも高収入の傾向強まる

民間企業はどうでしょうか。2024年の給与所得者数の平均給与(諸手当・ボーナス含む)は478万円で、内訳をみると正社員・正職員は545万円、正社員・正職員以外は206万円と開きがみられます。
 
また、業種や企業規模によっても差が生じますし、公務員と異なり、同じ職種でも企業や個人の業績による差が大きいようです。年代別に、民間企業と公務員の平均年収を比較すると次のとおりです。


・20代前半:民間約280万円、公務員約300~350万
・30代前半:民間約450万円、公務員約500~550万円
・40代前半:民間約520万円、公務員約600万円超
・50代前半:民間約560万円、公務員700万円超

若いうちは公務員と民間企業で年収の差がそこまで大きくないのですが、年代があがるほど、また、勤続年数が長くなるほど安定的に収入が伸びるのが公務員といえます。
 
また、公務員は年功序列的に昇給する仕組みが強く、民間企業のような倒産リスクもないため、住宅購入計画やライフプラン設計の見通しが立てやすく、各種ローンも組みやすいのです。
 

まとめ

公務員は「平均的に民間より高めで安定した収入」を得やすい職業ですが、職種や地域によって差があります。
 
したがって、「公務員>民間企業」「公務員=高年収」と単純に結論づけないほうがよいでしょう。また、年収だけでなく福利厚生や退職金といった見えにくい金銭価値もあるため、それらを総合して考えるのがよさそうです。
 

出典

人事院 令和7年人事院勧告・報告 各種調査等の結果詳細
国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
総務省 令和6年地方公務員給与の実態
 
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問