共働きの平均年収っていくら? うちは年収700万円ですが… 世間と比べて多いほうなのでしょうか?
本記事で、国の統計から見てみましょう。
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
共働き世帯の平均年収はどのくらい?
総務省の「2024年 家計調査」によると、「勤労者世帯の収支」において、世帯主の収入は46万1446円、配偶者の収入は10万4762円と公表されています。これは2024年の平均額で、夫婦それぞれの収入を12倍して年収に換算すると、世帯主は約550万円、配偶者は約125万円です。
この数字だけで判断すると、「世帯年収700万円」という数字は平均的であるといえます。しかし、収入は年齢や職業、勤め先の規模、地域などによっても大きく違います。
例えば、30代前半の世帯では世帯主収入は約41万円、配偶者の収入は約11万7000円で、12倍すると世帯年収は約630万円です。一方、50代後半では世帯主収入は約56万円、配偶者収入は約11万円、12倍すると世帯年収は約800万円です。
また、地域によっても年収差はあります。地方に比べ都市部のほうが高い傾向ではあるものの、都市部では家賃等が高いため、同じ年収であれば家計の余裕は減るかもしれません。
「うちは平均より上? 下?」を考える理由は?
年収が平均と比べて多いのか少ないのかを知りたいのは、単純に興味があるという理由もあるでしょう。しかし、最終的には、「うちは貯蓄ができているかどうか?」という疑問に結びつくのではないでしょうか。
片働きより共働きのほうが世帯年収は増える傾向にはありますが、一方で、共働きだからこそ、増える支出もあります。忙しいため、総菜や弁当などをテイクアウトする中食や外食が増えるかもしれませんし、子どもを学童に行かせるため、教育費も増えるかもしれません。
このように、共働きは収入が多い一方で「時間をお金で買う」支出が増えやすいのが特徴です。
また、家計管理の時間を取りにくく、気づけば貯蓄が思うように増えていないという相談も多く聞かれます。とはいえ、共働きだからこそ増える支出があったとしても、それを上回る収入はあるはずです。一般的に、年収が増えるほど生活レベルは高くなりますから、支出が増える=「悪いこと」とはかぎりません。
「年収が多い=貯蓄が多い」とはかぎらない
「年収が多い家庭ほど貯蓄が多い」と思われがちですが、多くの家庭を見てきて、実際はそうともかぎりません。パワーカップルでも、貯蓄は数百万円というケースもあります。
お互いがしっかり稼いでいるため、値段を気にしない生活をしていたり、教育費をしっかりかけたりする傾向があるため、支出も平均よりはるかに多いこともあります。
反対に、年収がそれほど高くなくても、支出をコントロールしてしっかり貯蓄していると、貯蓄が数千万円という家庭もあります。つまり、貯蓄の差は「いくら稼ぐか」ではないのです。
したがって、年収が700万円だから平均より多い・少ない、ということは貯蓄には関係ありません。大切なのは、収入と支出のバランスです。
手取り収入の20%を貯蓄・投資にまわすルールをつくる、ボーナスは使わずに貯蓄にまわすなど、将来への備えをしていれば、年収は関係なく、安心・安全な家計をつくることができるでしょう。
出典
総務省 家計調査報告 -2024年(令和6年)12月分及び2024年平均- II 2024年平均
執筆者 : 前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

















