息子が「公認会計士」か「税理士」のどちらになろうか迷っています。どちらも会計分野の職業ですが、“年収”はどれくらい違うのでしょうか?

配信日: 2025.11.30
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息子が「公認会計士」か「税理士」のどちらになろうか迷っています。どちらも会計分野の職業ですが、“年収”はどれくらい違うのでしょうか?
公認会計士も税理士も、お金に関係する業務に携わります。両者の詳しい業務内容について知らない場合、似たような職種に思えるかもしれません。しかし、両者にはさまざまな違いがあります。
 
年収についても、一定の差があるといわれています。今回のケースでは、息子さんが公認会計士と税理士どちらを目指すべきか、年収の観点から迷っているようです。
 
本記事では、両職種の概要や年収の差について解説していきます。
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公認会計士および税理士の年収

最初に、公認会計士と税理士の年収を見ていきましょう。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和6年)」によると、両者の間に明確な区分は設けられていません。同じカテゴリで収入情報がまとめられています。
 
収入状況は以下の通りです。
 
・きまって支給する現金給与額(年換算):669万2400円
・年間賞与その他特別給与額:187万200円
・合計856万2600円
 
企業規模(10人以上)における平均収入は、856万2600円でした。
 
ちなみに令和6年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均給与は「478万円」でした。比較すると、公認会計士や税理士が高年収の職種であることが分かります。
 

公認会計士と税理士ではどちらが年収が高い?

前述の統計では、公認会計士と税理士との間に年収差はありません。実際には「公認会計士の方が年収が高い」という声もあります。なかには、公認会計士の年収の方が、100万円以上高いとする意見もあるようです。
 
しかし、個人の状況によって年収は大きく左右されます。同じ統計では、企業規模によって表1のような年収差がありました。
 
表1

企業規模 年収
1000人以上 1043万5800円
100~999人 764万3200円
10~99人 660万7900円

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」を基に筆者作成
 
企業規模が大きいほど年収が多いことが分かります。小規模企業と大規模企業とで、400万円近い差がありました。
 
公認会計士または税理士の間でも、どこに就業しているかによって年収差が出ると考えられます。一概に、公認会計士の方が税理士より年収が高いとは断定できません。
 

公認会計士と税理士の仕事内容

ここからは、公認会計士と税理士の仕事内容について見ていきましょう。年収のみでなく、両者の業務の違いも把握することで、将来の職業選択のヒントを得られます。
 

公認会計士の業務

公認会計士は、企業や学校法人、地方公共団体などのお金の動きについて監査する役割を果たす、監査・会計のスペシャリストです。財務に関する情報が正しいか、投資家や債権者が保護されているかといった点に留意します。
 
公認会計士は、税理士登録をすることで「税務」の業務にも携わることが可能です。税金関連の相談に乗ったりアドバイスをしたりするなど、コンサルタントとしての働きもあります。
 
公認会計士になるには、公認会計士試験に合格すること、および3年以上の業務経験、実務補修を受けること、修了考査に合格すること、名簿登録などを経る必要があります。
 
就職先は、監査法人や企業の監査役などのほか、独立開業するケースも少なくありません。開業公認会計士の場合、数千万円の年収に達しているケースもあるようです。
 

税理士の業務

税理士は税金のエキスパートです。複雑な税制について理解し、税務相談や税額計算、申告書作成などの面で納税者をサポートします。ほかにも、税務に関する訴訟が起きたときに、納税者の権益を保護する目的で裁判に参加する場合もあるようです。
 
さらに、企業の経営課題や財産運用に関するコンサルティングや会計支援など、業務の幅は広がっています。
 
税理士になるには、税理士試験に合格すること、2年間の実務経験を得ること、日本税理士会連合会に登録すること、税理士会に入会することなどが必要です。公認会計士や弁護士の有資格者も税理士登録できます。
 
就業先としては、税理士法人や企業の経理部署などが挙げられるでしょう。
 

公認会計士の方が年収が高いとされているが実際は個々の状況による

公認会計士と税理士は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では区分分けされておらず、年収帯は同じようなものとされています。
 
公認会計士の方が税理士より、平均年収が高いという声も少なからずあるものの、企業規模によって左右される側面もあり、一概にどちらが高年収とは言い切れません。
 
公認会計士と税理士どちらに進むか迷う場合は、年収だけでなく、業務内容・働き方・資格取得までの過程を含めて総合的に比較することが大切です。
 

出典

厚生労働省 賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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