努力が実り「年収600万円」の“課長”に昇進! しかし友人は「係長」でも“年収100万円”近く多いようです。「大企業勤務だから」とのことですが、中小企業って損でしょうか?

配信日: 2025.12.01
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努力が実り「年収600万円」の“課長”に昇進! しかし友人は「係長」でも“年収100万円”近く多いようです。「大企業勤務だから」とのことですが、中小企業って損でしょうか?
会社員の中には、昇進を仕事のやりがいと感じる人も少なくありません。そして、昇進してうれしいポイントといえば、やはり昇給でしょう。
 
努力が実って課長に昇進し、年収が600万円になると、「やっと努力が報われた」と感じる人も多いでしょう。しかし、大企業の友人が自分よりも役職としては下の係長なのに、年収が自分より多いと聞くと、もやもやしてしまうかもしれません。
 
本記事では、国税庁や厚生労働省のデータをもとに、企業規模別の年収差や大企業の給与水準が高い理由、そして中小企業に勤めることは損なのか解説します。
三浦大幸

2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など

企業規模によって平均年収は大きく異なる

国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は約478万円です。
 
そして、企業規模別の平均年収は次の通りです。
 

・1~4人:372万5000円
・5~9人:408万9000円
・10~29人:444万円
・30~99人:437万3000円
・100~499人:475万1000円
・500~999人:498万5000円
・1000~4999人:546万6000円
・5000人以上:538万9000円

 
このように、基本的には企業規模が大きくなるほど、平均年収が高くなる傾向にあります。
 

企業規模の差により、「課長」と「係長」の収入が逆転することも?

一般的に「課長」は「係長」よりも役職としては上です。そのため、同一企業であれば、課長のほうが給料は高くなる場合がほとんどでしょう。
 
しかし、企業が違えば、職責と給料が逆になることも起こり得ます。実際、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、
 

・10~99名規模企業の課長の平均年収:614万円
・1000人以上企業の係長の平均年収:703万円

 
となっており、大企業の係長のほうが中小企業の課長よりも平均年収が約90万円も高いのが実態です。
 

大企業の年収が高い3つの理由

それでは、なぜ大企業のほうが中小企業よりも年収が高くなりやすいのでしょうか。主な理由を3つ解説します。
 
1. 高い売上と利益率を背景に、人件費へ投じられる額が多い
大企業は市場規模の大きい事業を展開し、売上高だけでなく利益率も安定しています。利益の絶対額が大きいため、人件費や賞与原資に回せるお金が自然と増えるのが特徴です。
 
景気変動にも強く、景気が悪くても給与水準を急に下げずにいられる体力があることも、平均年収の高さにつながっています。
 
2. 人材確保と競争力維持のため、給与水準が引き上げられやすい
大企業は優秀な人材を全国から採用する必要があり、人材獲得競争では「高めの初任給」「安定した昇給カーブ」が求められます。
 
その結果、給与テーブルがもともと高く設定される傾向があります。また、技術革新が進む業界では、専門スキルを持つ人材の確保のために待遇改善が進みやすい点も特徴です。
 
3. 福利厚生・手当が手厚く、総合的な所得が高くなりやすい
住宅手当、家族手当、退職金、企業年金など、大企業は「給与以外の給付」も充実しているケースが多く、可処分所得が増えやすいといえます。
 

中小企業にもメリットはある

給与面だけ見ると、総合的には大企業に軍配が上がりますが、必ずしも中小企業が損だとは言い切れません。中小企業のメリットを見ていきましょう。
 
1. 昇進スピードが速い
中小企業は、組織がコンパクトなため、実力や行動力が評価されやすく、20代~30代で課長・部長に抜てきされることも珍しくありません。
 
早い段階から管理職としての経験を積めるため、将来の転職市場でも強みになります。
 
2. 業務の幅が広く、スキルが総合的に身につく
中小企業では、部署ごとの分業が細かくなく、企画・現場・マネジメントなど複数の領域を経験できる場合が多々あります。
 
結果として、幅広い視野や意思決定力などが身につき、大企業へのステップアップや独立の基盤づくりにつながることもあるでしょう。
 
3. 社長や経営陣との距離が近く、意見が反映される可能性が高い
中小企業では、トップとの距離が近く、自分の提案が会社の方針や制度に反映されやすいという特徴があります。
 
会社を動かしている実感を得やすく、裁量の大きさや働きやすさにつながることも多いポイントです。
 

まとめ

企業規模によって平均年収には大きな差があり、大企業ほど給与が高くなる傾向があります。
 
そのため、中小企業の課長に昇進した人よりも、大企業の係長である人のほうが年収は高い現象も起こり得ます。ただし、中小企業には昇進が早い、幅広いスキルが身につく、経営陣との距離が近く意見が通りやすいといった魅力もあります。
 
年収だけでなく、自分が成長しやすい環境かどうかも重要だといえるでしょう。
 

出典

国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
 
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など

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