日本は「平均年収478万円」と聞きましたが、私は30代で「360万円」です…正社員なのに“少なすぎ”ますか? 平均が高すぎるのでしょうか? 中央値もあわせて確認
本記事では平均年収と中央値を分析し、年収360万円が本当に低すぎるのかを明らかにした上で、転職を考えるべきなのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
日本の平均年収は? 正社員・非正規社員の年収は?
国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は478万円です。雇用形態別に見ると、正社員の平均給与は545万円、非正規社員の年収は206万円となっています。
年収360万円を正社員の平均給与と比べると、平均より185万円低いることが分かります。しかし、男女別で平均年収を分析すると男性の平均は587万円、女性は333万円となっているため、性別によって年収の評価が変わってくるとも言えるでしょう。
年収中央値は?
約60万人を対象としたdodaの調査データによると、正社員の年収中央値は384万円で、平均年収の478万円よりもかなり低い数字です。中央値とは、全ての年収データを大きさ順に並べた時に真ん中に位置する数値のことで、平均年収だけでなく中央値も知ると、より現実的な年収水準を把握できます。
平均値は飛び抜けて高い年収の人がいると大きく上昇してしまうため、中央値のほうがより一般的な水準を表していると言えるでしょう。なお、30代の年収中央値は410万円、これを男女別に見ると男性は480万円、女性は360万円となっています。
年収360万円は低い? 平均が高すぎるの?
年収360万円という数字だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、実際のところ低すぎる金額ではありません。先ほど説明した通り、日本全体の年収中央値は384万円であるため、一般的な水準と比べて年収360万円は少し少ない程度だと言えます。
平均年収である478万円という数字が高く感じられるのは、一部の高所得者や専門職の人々が数字を押し上げているからです。そのため、年収だけでなく、職場環境や将来性、福利厚生なども含めて総合的に自分の状況を判断することが重要です。
平均より年収が低いなら転職すべき?
単に年収が平均より少ないという理由だけで、必ずしも転職が必要なわけではなく、個々の状況に応じて判断することが大切です。
まず、転職を検討したほうが良いケースは、同業他社と比較して明らかに給与水準が低い場合です。スキルや経験を持つ人材に対して適正な対価が支払われていないおそれがあり、転職によって市場価値に見合った収入を得られる可能性があります。
また、現在の会社で昇進の機会に恵まれない場合や、スキルに見合った評価を受けられていないなら、転職を検討してみてもいいかもしれません。
一方、現在の職場で着実にキャリアを積んでいて、将来的な昇進や昇格が期待できる場合は、転職によるリスクを冒す必要はないでしょう。
ほかにも、福利厚生が充実している、ワークライフバランスが取れているなど、年収以外の条件に満足できている場合も、転職を急ぐ必要はありません。年収に不満を感じているなら、会社を移る以外にも、専門性を磨いたり副収入を得たりする方法を考えてみるのも一案です。
まとめ
日本の正社員の年収中央値は384万円であり、年収360万円は標準に近い水準にあります。平均年収478万円という数字は一部の高所得者によって押し上げられたものであり、多くの人が478万円以下で生活しているのが現実です。
年収アップは、転職だけでなく、スキルアップや副業などの方法でも実現可能であるため、転職を検討する際は年収だけでなく総合的な労働条件を考慮することが大切です。
出典
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
パーソルキャリア株式会社 doda 正社員の年収中央値は?男女別・年齢別・都道府県別にも解説
執筆者 : 山口航
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
