友人に「ボーナス50万円だった」と聞き落ち込み…私の会社は「ボーナスなし」なのですが、実際“支給ありの会社”が多いですよね? 転職すべきでしょうか?
そこで本記事では、2024年冬のボーナスの平均額や年末賞与を支給している企業の割合を解説し、転職すべきかどうかを判断するための手がかりをお伝えします。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
冬のボーナスの平均額は?
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」によると、2024年冬のボーナスの平均支給額は41万3277円です。しかし、この金額は全ての会社員の平均であり、業界によって大きな差があります。産業別の令和6年年末賞与の平均額は、図表1のとおりです。
図表1
| 産業 | 平均年末賞与額 |
|---|---|
| 鉱業、採石業等 | 61万2066円 |
| 建設業 | 54万595円 |
| 製造業 | 55万8186円 |
| 電気・ガス業 | 94万3474円 |
| 情報通信業 | 70万7303円 |
| 運輸業、郵便業 | 39万8540円 |
| 卸売業、小売業 | 37万3565円 |
| 金融業、保険業 | 64万1032円 |
| 不動産・物品賃貸業 | 55万1281円 |
| 学術研究等 | 58万8937円 |
| 飲食サービス業等 | 8万3199円 |
| 生活関連サービス等 | 18万4277円 |
| 教育、学習支援業 | 58万9333円 |
| 医療、福祉 | 30万8846円 |
| 複合サービス事業 | 45万5496円 |
| その他のサービス業 | 23万6048円 |
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等を基に筆者作成
図表1のように産業間の格差は著しく、最高額の電気・ガス業(94万3474円)と最低額の飲食サービス業等(8万3199円)では約86万円の差が生じています。電気・ガス業、情報通信業などのインフラ系が高額である一方、飲食サービス業や生活関連サービス業などのサービス業は賞与額が大幅に低くなっている傾向が見られました。
なお、2024年冬のボーナスの平均支給額は、前年の平均支給額39万5647円と比べると、約1万7000円増えており2.5%の増加となっています。
ボーナスを支給している企業の割合は?
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」によると、冬のボーナスを支給している事業所の割合は全体の約77.8%です。
つまり、10社の内7社以上は冬のボーナスの支給を行っていることが分かります。また、事業所規模が30人以上の事業所では、92.6%がボーナスを支給しており、規模が大きな企業ほど支給率は高くなる傾向があるようです。
業種別で支給率を見ると、鉱業・採石業等(100%)、電気・ガス業(95.9%)、金融業・保険業(91.2%)など、インフラ系や専門性の高い業種は支給割合が高い傾向があります。一方、飲食サービス業等(54.8%)、生活関連サービス等(61.3%)などの対人サービス業では低い傾向が見られます。
ボーナスなしの会社は転職すべき?
ボーナスが支給されないことが、転職すべき決定的な理由になるわけではありません。賞与がない代わりに基本給が高く設定されている会社も多いため、年収ベースで見ると大きな差がない場合があるからです。
転職を検討すべきケースとしては、同業他社と比較して年収が明らかに低かったり、会社の経営状況が著しく悪化していたりする場合などが挙げられます。
一方、仕事にやりがいを感じていて職場環境が良好であれば、必ずしも転職する必要はありません。
年収に不満があるなら、転職を決断する前に、昇進や昇格の可能性を探ったり、副業でスキルを生かして収入を増やしたりするといった選択肢も検討してみましょう。また、転職活動を行う場合は、ボーナス制度だけでなく、福利厚生やワークライフバランスなども総合的に判断することが大切です。
まとめ
2024年冬ボーナスの平均は41万3277円で前年より約1万7000円増加し、約77.8%の企業で支給されています。
ですが、ボーナスがない会社でも基本給が高く設定されている場合があるため、ボーナスの有無だけでなく年収全体で判断することが重要です。転職を検討する際は、給与面だけでなく職場環境や成長機会、ワークライフバランスなども含めて総合的に判断しましょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等
執筆者 : 山口航
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
