大卒1年目の友人に「ボーナス50万円」と聞きショック! 高卒5年目の私は「25万円」です…4年早く働いても“新入社員以下”なのでしょうか?「生涯年収の格差」も比較
もしかしたら年収も倍近く違うのか、一体生涯でどれほど差がついてしまうのかと不安に感じる人もいるかもしれません。本記事では、賞与の実態や高校卒と大学卒の生涯年収の格差について解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
賞与だけでは年収は判断できない! 統計で見ると高校卒のほうが賞与は高い?
まず、目の前の賞与額の差についてですが、これだけで現在の年収は判断できません。なぜなら、賞与の金額は学歴以上に「勤めている会社や業界」によって大きく異なるからです。
月々の給与を少なくするかわりに賞与を多くする会社もあれば、その反対もありますし、以前筆者が勤めていた会社のように年俸制を採用しているため賞与がないケースもあります。
また、厚生労働省の統計データ(令和6年賃金構造基本統計調査)を見てみると、20歳~24歳の平均年間賞与額は以下のようになっています。
・高校卒(20~24歳):年間 約52万2200円
・大学卒(20~24歳):年間 約37万2100円
20代前半のうちは、高校卒者のほうが大学卒の新入社員よりも平均賞与額は高いのです。
つまり、友人の50万円という金額は大学卒だからもらえたわけではなく、たまたま「賞与の支給水準が高い会社に入ったから」かもしれません。この点について、一喜一憂する必要はないでしょう。
それでも「生涯年収」には約5500万円の差がある現実
とはいえ、長期的な視点で見ると、やはり学歴による収入格差は存在します。図表1は厚生労働省の統計データをもとに年齢階級別の平均年収をまとめたものです。きまって支給する現金給与額12ヶ月分と年間賞与その他特別給与額の合計を年収としています。
図表1
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査をもとに筆者作成
これをもとに、それぞれ59歳まで働き続けた場合の生涯年収を試算すると次の通りです。
・高校卒(19歳~59歳):約1億8768万円
・大学卒(23歳~59歳):約2億4258万円
その差は約5490万円であり、長い社会人生活のトータルで見ると、家が一軒買えるほどの大きな差が開いてしまうのが現実です。
年収の差が大きくなるのは40代から
年代別の年収推移を見ると、30代後半から徐々に差が開き始め、50代でその差は最大になることが分かります。
年齢が上がるほどその差は開き続け、最終的には300万円以上の差がついてしまいます。日本の多くの企業では、大学卒のほうが幹部候補として昇進スピードが速かったり、給与上限が高い役職に就きやすかったりする人事構造があるため、年齢が上がるにつれて格差が拡大していくのでしょう。
学歴は年収を決める1つの要素でしかない
ただし、このデータはあくまで平均値です。年収を決める要素は学歴だけではありません。
現実には「企業規模」「業種」「雇用形態」「地域」による賃金格差も、非常に大きく影響します。「高校卒だから稼げない」と悲観するのではなく、自分が身を置く環境を見直す視点も大切です。
また、高校卒には大学卒にはない「4年早く社会に出て稼いでいる」という強みがあります。
大学卒者が大学で学費を払いながら生活している間、高校卒者はすでに収入を得ているのです。実際に24歳時点での累積収入(稼いだ総額)を比較すると、その差は歴然としています。
・高校卒(~24歳まで):約2012万円
・大学卒(~24歳まで):約728万円
この期間に稼いだお金を浪費せず、若いうちからNISAなどで資産運用に回せれば、将来的な5500万円の差をいくらか埋められるかもしれません。
また、若いうちから「自己投資」を行い、スキルや資格を身につけても良いでしょう。個人の市場価値を高めることで給与水準を上げ、学歴による平均年収のカーブを超えていく努力こそが、格差を埋める最も確実な方法と言えるのです。
まとめ
賞与の支給額は会社によって違いが大きいため、賞与の多少によって年収は決まりません。仮に賞与で大きな差がついていたとしても、それが必ずしも年収に比例するわけではないのです。
ただし、生涯年収で見ると高校卒と大学卒とでは約5500万円の差がある現実は、受け止める必要があります。一方、高校卒の「早く稼ぎ始めている」というのは大きなアドバンテージとなるでしょう。この先行者利益を生かし、長期的な視点でキャリアや資産形成を考えていきましょう。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

