年収の壁がまた引き上げ⁉ 「178万円」になったら、年収400万円の会社員の手取りはどのくらい増えるの?
そこで、今回は年収400万円の会社員を例に手取りはいくら増えるのか、178万円の壁とはどのようなものなのか解説します。
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
年収400万円なら所得税は約2万8000円の減税に
所得税がかからない「年収の壁」が2024年まで103万円だったのが2026年は178万円へと大幅に引き上げられることになりました。「自分には関係ない話」と思っている方もいるかもしれませんが、実は現役世代の多くの人に影響がある改正です。
年収400万円の会社員であれば、2024年と比較して年間で約2万8000円の所得税が減税され、その分手取りが増える見込みです。なぜこのような結果になるのか、仕組みを確認しましょう。
178万円の減税の仕組み
そもそも、「178万円」という数字はどこから来たのでしょうか。これは、所得税がかからないボーダーラインとなる「基礎控除」と「給与所得控除」の合計額です。税金は給与から各種所得控除を差し引いたあとに税率をかけて計算します。したがって、控除額が大きくなればなるほど税金が少なくなるという仕組みになっています。
2024年までは「基礎控除48万円 + 給与所得控除55万円 = 103万円」が所得税の非課税ラインでした。これが、2026年には以下のように引き上げられます。
基礎控除(年収665万円以下の場合): 48万円 → 104万円(+56万円)
給与所得控除:(年収162万5000円以下の場合)55万円 → (年収220万円以下の場合)74万円(+19万円)
基礎控除104万円と給与所得控除74万円、合わせて178万円が年収から差し引かれる最低控除額のため、178万円までは所得税がかからないということです。
当然、この控除額の引き上げは、年収が178万円を超える人にも適用されます。給与等の収入から差し引ける控除が増えるため、課税される所得が減り、結果として税金が安くなります。
年収400万円の手取りシミュレーション
では、具体的に年収400万円の会社員の場合、いくら減税になるのでしょうか。2024年と比較した場合の金額を確認しましょう。
図表1
図表1のとおり、所得税については年間約2万8000円手取りが増える計算になります。一方で、住民税は変わりません。今回の改正において、給与所得控除の改正は住民税にも反映されますが、基礎控除の改正は住民税には反映されません。
そのため、給与所得控除の改正が住民税にも反映される年収220万円までの人は住民税が減税になりますが、それ以上の年収の人は、住民税は減税にはなりません。また、社会保険料も、今回の改正には無関係です。
手取りアップを家計に反映させるために
今回の税制改正により、年収400万円の方であれば年間約2万8000円の手取りアップが見込めることは間違いなく朗報です。しかし、「税金が安くなった!」と思うだけだと、今までと家計状況は変わらないかもしれません。
給与からは、税金のほかにも社会保険料も差し引かれます。そして、おおよそ年収1000万円までの人であれば、税金より社会保険の負担が多いのが現実です。年収400万円の場合、所得税が少なくなっても年間約60万円の社会保険料負担は変わりません。
だからこそ、今回増える約2.8万円の余裕資金をどう使うかが、将来の家計を左右します。NISAのつみたて投資枠に毎月プラスして、将来への備えを厚くするなど、制度の仕組みを正しく理解し、浮いたお金を「資産形成」に回すことが、本当の意味での「手取りアップ術」といえるでしょう。
執筆者 : 前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
