自分や周囲を見ても「世帯年収1000万円近くあるのは普通」という感覚です。実際の共働き世帯の平均年収はどれくらいなのでしょうか?
年収の話は、平均だけを見ると実態を見誤りがちです。本記事で公的統計を手がかりに、共働き世帯の年収感覚を現実の数字に引き戻しつつ、家計の考え方まで整理してみましょう。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
「共働き=世帯年収1000万円が普通」と感じる理由
「1000万円が普通」に感じるのは、あなたの感覚がズレているというより、見えている世界が偏りやすいからと考えられます。
例えば、都市部の大企業勤務が多い職場、同じ学歴層の友人関係、保育園・習い事・住宅ローンなど、似たような生活圏でつながるコミュニティーでは年収水準が自然と高めに集まります。
さらに、年収は話題になりにくい一方で、家や車、旅行など見える支出は目に入りやすいので、周囲が高所得に見えやすい面もあります。
もう一つ大事なのは、共働きといっても働き方が幅広いことです。夫婦ともにフルタイムの家庭もあれば、片方は短時間勤務やパート中心の家庭もあります。つまり、「共働き=2人とも平均年収」ではありません。この前提を置くだけでも、体感と実態のズレはかなり納得しやすくなります。
世帯の平均年収・中央値・1000万円以上の割合
本章では、世帯全体の所得を、厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査」で確認します。2023年の1世帯当たり平均所得金額は、536万円です。
ここで重要なのは、平均だけで判断しないことです。同調査では、所得の中央値は410万円と示されています。平均が中央値より高いのは、一部の高所得世帯が平均を押し上げるからです。つまり、「平均536万円=真ん中の家庭」ではありません。
では、「1000万円以上」はどれくらい“普通”でしょうか。同調査の所得分布によると、1000万円以上の世帯は12.3%という数字が出ています。
端的に言うと、世帯年収1000万円は上位1割強に入る水準です。もちろん、これは世帯全体なので高齢世帯なども含みますが、「1000万円が当たり前」と言い切るには少数派であることは見えてきます。
補助線として、個人の給与水準も見ておきましょう。国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、平均給与は478万円です。
平均同士を単純に足すと「478万円×2人=約956万円」ですが、これは“夫婦がどちらも平均的なフルタイム給与”の場合にかぎった見方になります。現実には短時間勤務や収入差があるため、平均の足し算通りにはなりません。
共働き世帯の年収はどれくらいになりやすい?
公的統計だけで、共働きだけの平均年収をそのまま出すのは意外と難しいのですが、ここまでの数字をもとにおおよその目安はつかめます。ポイントは、次の2つです。
1つ目は、世帯全体の平均が536万円、中央値が410万円という事実です。共働き世帯は単身や高齢世帯より所得が高くなりやすいので、全世帯平均より上になりやすいのは自然なことといえます。
2つ目は、「共働き=2人ともフルタイム」ではないことです。もし夫がフルタイムで平均に近い年収(仮に500万円前後)、妻がパート・短時間で150~250万円くらいだとすると、世帯年収は650~750万円程度になります。
妻もフルタイムで300~400万円帯に乗れば、800~900万円が見えてきます。ここまで来ると、国民生活基礎調査で示される「児童のいる世帯の平均所得820万5000円」あたりとも感覚がつながります。
そして、夫婦ともに高めの給与帯で働く、あるいは賞与・残業・役職が上乗せされると、1000万円を超えるのも現実的です。ただし、分布で見ると、誰にでも当てはまる水準ではなく、上位層に入っていくイメージです。
平均に流されず、全体の割合を見て、わが家の基準を決めよう
「共働きで世帯年収1000万円が普通」という感覚は、コミュニティーによっては起こり得ます。
家計を考えるときは、「周りでは普通」といわれる水準よりも、自分たちの手取り(税金や社会保険料を引いた後)と、これからの働き方を前提にするほうが安全です。平均に振り回されず、全体の割合を確認したうえで“わが家の普通”を決めておけば、背伸びしすぎない家計になるでしょう。
出典
厚生労働省 2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー