年収1000万円あるのに貯蓄がない!? その理由とは?
配信日: 2019.12.23 更新日: 2024.09.26
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
年収1000万円以上の人の貯蓄
国税庁の民間給与実態統計調査(※1)によると、年間給与1000万円以上の人は、日本の給与所得者のうち、全体で5%となっています。年収が1000万円以上の割合は、女性よりも男性の方が多い傾向が見られます。一方、年収別に、金融資産の有無(貯蓄の有無)をチェックしてみると、以下の通りとなっています(※2)。
<貯蓄がない人の割合>
収入ゼロ :54.5%
年収300万円未満 :40.5%
年収300〜500万円未満 :29.8%
年収500〜750万円未満 :23.7%
年収750〜1000万円未満 :15.7%
年収1000〜1200万円未満:20.3%
年収1200万円以上 :8.7%
みなさんが予想される通り、年収が少ない方の方が、貯蓄がない方が多い傾向が見られます。しかし、驚くべきポイントは、年収が1000¬〜1200万円未満の方のうち、約2割の方は、金融資産がゼロと回答している点です。
年収1000万円以上というと、毎日生活していく上では、十分な収入があると考えられますが、なかなか上手に貯蓄ができていない人も多いという現状がうかがえます。
貯蓄がゼロなのはなぜ?
では、なぜ年収が高い方でも、貯蓄が全くないという状態になってしまうのでしょうか。それには、人間の思考や行動パターンが大きく影響を与えています。
人は、お金があると、ちょっとぜいたくな物を購入したり、広い家に住んだりと、さまざまな欲求を満たしたくなります。そして、自分の子どもには、教育投資として、習い事をさせたり、私立の大学に行かせたりと、お金をかけるようになります。
収入が多い人は、生活に余裕があるように感じますが、きちんとお金の計画を立てていないと、赤字家計になってしまうリスクがあります。マネープランを立てることや、先に貯金分を別口座に移してしまう「先取り貯蓄」は、収入の金額に関わらず必要なことなのです。
散財を減らす方法とは?
収入が少ない方の場合、日々の生活をなんとかやりくりしているため、自分の家計をしっかり把握している方も多いのではないでしょうか。一方、ある程度収入があると、毎日なんとなくお金を使ってしまい、毎月の支出額を正確に把握していない人もいるかもしれません。
年収が1000万円以上ある方が散財を減らすためには、自分のお金の使い方を見直す必要があります。スマートフォンのアプリなどを利用して、まずは1ヶ月間だけでも家計簿をつけるように努力してみましょう。
カフェのコーヒー代やタクシー代など、意外なところで出費が膨らんでいる可能性があります。自分の支出を意識するだけで、お金の使い方が大きく変わるでしょう。
いくら年収が高い人でも、上手にお金を管理できていなければ、貯金をすることができません。年収の金額に関わらず、家計の収支を見直して、意識的に貯蓄していくようにしましょう。
参考
(※1)平成30年分 国税庁 民間給与実態統計調査
(※2)金融広報中央委員会 暮らしと金融なんでもデータ 金融資産の有無と金融資産保有額(2016年/平成28年)
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者