2018.06.22 相続

遺留分まで根こそぎ ?後妻に遺言を悪用されないために、知っておきたいこと

主に、遺産目当てで資産家の高齢男性と結婚する女性に対して使われる言葉です。黒川博行氏の小説、「後妻業」が語源となっています。
 
遺言は被相続人の最終意思を明確にするため、相続トラブルの予防として最高のツールです。しかし、被相続人の意思とは違う形で遺言が作成されることもあるようです…
 

【後妻業の方々の手法】

(1)夫が元気なうちは遺言を作らせない。

夫が元気で、親族間の交流が良好な間はじっと我慢しています。この時点で、夫が遺言を作成すると、これまでの人生を顧みてまっとうな意思表示をしてしまいます。
 
さらに、夫が亡くなるときに戸籍上の婚姻関係が無ければ、相続人ではなくなります。婚姻期間の短い後妻は、離婚の財産分与ではあまりうまみがありません。狙いは相続です。
 

(2)夫が弱り寝たきり状態になる頃合いで

夫が弱り、寝たきり状態になったあたりから、遺言の準備に入ります。
 
実子など、夫の世話をする可能性がある者を、なるべく夫から遠ざけます。すると、弱ってきた夫は、生活の面倒を妻一人に頼ることになります。
 
妻に頼りきりになった頃合いで、夫に遺言を作成させます。妻は、法的に有利となるように、公正証書遺言を弁護士に依頼して作成するのです。
 
いわば軟禁状態の夫は、面倒をみてくれる妻の言いなりになるしかなく、公証人が読み上げる内容に、うなずくことになるのです。
 
法的不備のない遺言があれば、遺産はそれにより分割されます。遺言は元の所有者の最後の意思ですから、尊重されるのです。特に、公正証書遺言であれば裁判所の検認手続きも必要なく、相続発生後すぐに執行できることになります。
 

【遺留分も渡さない】

実子には、主張すれば財産を取得できる「遺留分」というものがあります。例え遺言書に「全財産を妻に相続させる」と記載されていても、法定相続分の1/2は取り返すことができるのですが…
 
遺産の独占を狙う後妻は、身動きできない夫の預金から大金(遺留分を超える金額)を引き出し、それを「子に生前贈与した」と遺言書に記すのです。
 
生前贈与は特別受益として、相続財産に持ち戻し(相続財産から子が取得したものとして計算)されます。つまり、遺留分を超える金額をすでに取得していることになるため、子は遺留分の請求もできなくなるのです。
 
子が証拠をそろえ、生前贈与がなかったことを証明するのは容易ではありません。また、弁護士は遺言書作成の手続きに瑕疵(かし)がなければ、処罰されません。
 

【民事信託を使えば、財産は守られる】

熟年結婚による、相続のトラブルが心配なときは民事信託が効果的です。
 
信託がスタートすると、信託財産は相続財産から切り離されます。そして、契約が継続する限り、契約書作成時の委託者の意思が尊重されます。
 
信託開始後に遺言をしても、その時点で信託財産(受託者名義)は遺言者の所有財産ではないので、その部分は無効になります。
 


 
例えば、委託者兼当初受益者(夫)死亡後の二次受益者を後妻とした場合、その後妻が死亡したときの残余財産権利帰属者に委託者の直系血族を指定するのです。
 
受託者には、財産管理のできる実子などが就任し、財産を食いつぶすような浪費もさせません。
 
後妻が生存している間は受益権で生活を保障し、死亡したら委託者(夫)の血族に財産が戻るようにするのです。後妻の方も老後の生活保障があるので、財産狙いでなければ受け入れますし、財産狙いの後妻業の方なら離れていきます。
 
このように信託を使えば、親の熟年結婚を穏やかに見守ることができるのではないでしょうか。
 
Text:宿輪 德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者,行政書士,宅地建物取引士試験合格者,損害保険代理店特級資格,自動車整備士3級

宿輪 德幸

Text:宿輪 德幸(しゅくわ のりゆき)

AFP認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
資料を画面共有しながら納得がいくまでの面談で、納得のGOALを目指します。
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