最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.09.24
相続

本来の相続人が相続放棄をしていた場合、その者の子は本来の相続人に代わり、代襲相続することは認められる?

執筆者 : 柘植輝

民法では財産を相続する権利を放棄すること(相続放棄)が認められています。
 
その一方、本来の相続人に代わり、その者の子が相続することのできる権利(代襲相続)も認められています。
 
では、本来の相続人が相続放棄をしていた場合、その者の子は本来の相続人に代わり、代襲相続することは認められるのでしょうか。
 
相続放棄の規定と代襲相続の規定について確認しながら、両者の矛盾について読み解いていきましょう。
 
 
柘植輝

執筆者:

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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柘植輝

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相続放棄とは

相続放棄について一言でいうなら「初めから相続人でなかったとみなされる」ということです。(民法939条)
 
つまり、Aさんが父の死亡により開始した相続について放棄したとすると、Aさんは父の相続については最初から相続人でなかったということになるのです。
 
ちなみに相続の放棄は基本的に「自分に相続があったことを知った日から3ヶ月以内」にしなければならないとされています。(民法915条1項)
 
もし、3ヶ月以内に相続放棄や限定承認(プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続すること)のどちらかを選択しなかった場合、単純承認(プラスもマイマスも含めすべての財産を相続すること)したものとみなされます。
 

代襲相続とは

本来相続人であるべき人(被相続人の子や兄弟姉妹)が何らかの理由により、すでに亡くなってしまっていたり、一定の事由によって相続権を失ったりしていることがあります。
 
そのようなとき、本来の相続人である者に代わり、その者の子が相続することができるという規定があります。
 
これを代襲相続といいます。(民法887条2項・3項、889条2項)
 
また、本来の相続人となる者の子もすでに亡くなっていたり、相続権を失ったりしていた場合は、さらに、その者の子が代襲して相続することができます。
 
これを再代襲といいます。
 
ただし、本来相続人となるべきであった人が被相続人の兄弟姉妹であった場合には代襲相続までとなり、再代襲の規定は適用されません。
 

相続放棄と代襲相続の規定が競合したらどうなるの?

では本題です。
 
本来相続人となるべき相続人が相続放棄をしていた場合、代襲相続によってその者の子は遺産を相続することができるのでしょうか。
 
答えはNOです。
 
なぜなら「相続放棄をした人は初めから相続人ではなかった」とみなされるからです。
 
初めから相続人でなかったのなら、本来の相続人に代わって代襲相続が発生する余地はないといえるでしょう。
 
また、条文においても代襲相続が発生するのは、本来の相続人が相続の開始時にすでに死亡していた場合や、一定の事由によって相続人としての資格を失っていた場合に限られるとされています。(民法887条)
 
以上のような理由により、本来相続人となるべき人が相続放棄をしていた場合、その者の子は代襲相続することはできない。という結論となるのです。
 

相続放棄をしてしまうと代襲相続が発生しません

相続放棄をしてしまうと、初めから相続人ではなかったとみなされ、代襲相続や再代襲相続は発生しないことがわかりました。
 
もしも、自分に代わって子や孫に相続権を譲ってあげたいと考えて相続放棄をしたら、子や孫も相続することができなくなってしまうのです。
 
自分が相続する財産を、子や孫に譲りたいと考えたときは、相続放棄ではなく、贈与など別の方法を選ばなくてはいけません。
 
このような問題を自分ひとりで抱え込んで、時間を費やしてしまうと、相続の承認または放棄をすべき期間の3ヶ月を過ぎてしまう可能性もあります。
 
相続放棄や代襲相続について悩んでいるのであれば、できるだけ早い段階で専門家まで相談することをおすすめします。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士



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