最終更新日:2019.01.07 公開日:2018.10.05
相続

相続財産 対処に困った際の解決方法は?

相続が発生すると相続人に現金や不動産が手に入り、少しは裕福になると考えるのが一般的です。
 
ところが相続財産を分割できない、税金を払うだけでメリットがない、借金が多く肩代わりをする事態になりそう、など良い話ばかりではありません。このようなときに、どのように対応したらよいのでしょうか。
 
黒木達也

執筆者:

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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黒木達也

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Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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分割しにくい不動産をどうするか

親の残した財産が、都市近郊に住んでいた家と土地が中心で、金融資産はごく僅か、相続人が配偶者を含め複数人いるケースです。これは現実にかなり見られます。とくに残された配偶者と子どもたちの間で意見がまとまらず、やむなく家を売却したという対応もありました。
 
しかし、今回の税制改正で「配偶者居住権」が認められ、配偶者は現在に家に継続的に居住できるようになります。土地の所有権は別として、住んでいた家屋については配偶者居住権により、継続して居住できるようになりました。
 
子どもたちだけで親の土地を相続する場合、配偶者居住権は認められません。誰か1人がこの家と土地を相続し住み続けることを希望すると、他の兄弟に対して、その相続額分を対価として現金等で支払う必要があります。それができないときは、家屋と土地を売却して現金化し、子どもたちがそれぞれの相続額に分配することが現実的になります。
 
かつて商売をしていた手狭な店舗・土地など、分割しにくい資産がある場合、相続人全員の共有名義にすることも考えられます。当面の措置として有効ですが、数年後に誰か1人が現金化したいとして意見が対立することもあり、トラブルになりかねません。
 

利用価値が極めて乏しい土地

親が地方に居住し農業をしていたが、子どもたちは都会で暮らしており、その親がなくなったケースがこれに当たります。家屋だけでなく、農地とそれに加えて山林も所有していたとすると、これらは分割できますが、相続してもあまり利用価値がありません。都市近郊にあり、将来は売却あるいは賃貸できれば、相続しても問題はなさそうです。
 
一方で、親は「先祖代々から持っていたから」といって所有していた山林や耕作放棄地は、相続しても、相続税や固定資産税を取られるだけで、非常に生産性の少ない不動産です。実際に相続はしても、登記をせずに売却の機会を探りながら、しばらく放置しておくという選択もあります。現在では登記が義務化されておらず、多少放置していても問題はありません(今後登記の義務化が検討される)。
 
また、空き家規制など自治体の規制も強化されつつあるため、対応が難しくなります。将来利用しないのであれば、できれば売却したいものです。さらに相続税の物納も選択肢なのですが、これも国や自治体がなかなか認めてくれないケースが多いようです。
 

孫名義の銀行預金が見つかった

亡くなった親の通帳を整理していると、未成年の孫名義の預金が1千万円ほど見つかったケースです。本来、収入のないはずの子どもですから、そのまま孫の預金というわけにはいきません。実際に贈与契約書なども存在しておらず、対応に困ると思います。
 
このままにして、孫が成人した後に渡したいと考えがちですが、これがいわゆる「名義預金」で、税務当局が最も眼を光らせている対象です。発覚すると重加算税を課せられることがあります。他の相続財産との関連もありますが、孫が相続したとして、相続税の申告をしたほうがよいと思います。
 
この「名義預金」に対しては、海外資産の把握と並んで最も税務当局が注視しており、慎重な対応が求められます。ですから、預金口座の通帳と印鑑は名義となっている本人が保管する、年間の贈与額は110万円以下に抑える、それ以上の額を贈与するときは贈与税の申告・納税をする、できれば贈与契約書作成しておく、といった作業をしておけば、税務当局からのチェックを受けても問題はありません。未成年の場合は難しい点もありますが、受贈者が成人の場合は、条件をクリアしておきましょう。
 

株式や投資信託など投資性商品が多い

亡くなった親は、証券会社数社と株取引をネットで毎日行うほどの投資マニア。家屋や土地、銀行預金は少なく、株式や投資信託が最も多く、これを相続人で配分するケースです。遺産分割の協議中にすべて現金化し、それを相続人で決められた割合で、配分するわけにはいきません。
 
厄介なのは投資商品の価格が日々変動し、遺産分割協議中と実際の相続時点では、価格が変動します。
 
相続したい銘柄が集中することも多く、時価でほぼ等分に分け相続したとしても、その後に価格が変動し「損をした」と不満を口にする人が出てくる可能性があります。しかし相続人同士で、なるべく早く相続銘柄等を確定し、現金化したい人は現金化し、株式等で保有したい人は継続保有をするのがいいと思います。
 

骨董品・絵画などが多数ある

親が趣味で、絵画・彫刻・美術品を多数集めており、それを何人かの相続人で相続するケースです。1人は骨董品に興味があり、相続してこのまま持ち続けたいと考えるが、他の人は、すぐにでも売却して現金化したいと考えたとします。
 
他に相続資産があれば、骨董品に興味のない人が優先的に、土地や金融資産を相続し、骨董品に興味のある人が、まず骨董品から相続するのがいいでしょう。その場合でも専門業者に依頼して査定は受けておいたほうが、後のトラブルにはなりません。興味のない人からみれば我楽多同然でも、意外に高い評価だとわかると不満が出るためです。
 

相続財産は負債が多い

親が事業に失敗し多額の負債を残して亡くなったケースが、これに相当します。所有していた家屋・土地、多少の銀行預金はありますが、明らかに借入金が多いことが判明しました。この場合は、家庭裁判所に「相続放棄」の手続きをすることになります。
 
負債については相続しなくて済みますが、プラスの財産についても放棄しなければなりません。プラスの分だけは相続しマイナスとなる負債は放棄することは出来ません。
 
資産と負債、どちらが多いか正確にはわからない場合は、相続の承認を一定期間伸ばすこともできます。また、プラスの範囲内でマイナスとなる負債も相続する「限定承認」という方法もあります。
相続により財産が増えるわけではない、ということも認識しておきましょう。
 

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