更新日: 2021.01.22 その他相続

受け継いだ不動産の登記が大正時代のまま…処分したいけど何から手を付ければいい?

執筆者 : 宿輪德幸

受け継いだ不動産の登記が大正時代のまま…処分したいけど何から手を付ければいい?
「代々受け継いできた不動産を処分したいのですが、登記は大正時代にされたままの状態です。固定資産税も私がずっと払っていますので、所有者であることは間違いありません。何から手を付ければいいのでしょうか」と75歳男性からのご相談です。

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宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
資料を画面共有しながら納得がいくまでの面談で、納得のGOALを目指します。
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固定資産税の支払いで所有権は主張できない

処分(売却)したい土地は、○○家の土地として受け継がれてきました。しかし、子どもたちは他所で独立し、この土地を受け継ぐ者はいなくなりました。不動産業者に相談したところ、場所がいいので買い手は付きそうです。
 
しかし、そのためには相談者を所有者とする登記が必要です。登記簿で所有者であることを証明できなければ、売り主となることはできません。
 

実は共有不動産

大正時代の登記のままということは、何代かに渡って相続登記がされないままになっているのです。
 
この場合、名義人の相続→相続人の相続→相続人の相続人の相続……といくつもの相続が発生し、現在生存している相続人全員の共同所有となっているのです。
 

相続発生時期の民法で相続人が決まる

相続人は、相続発生時の民法により決定します。昔の相続は、昔の民法により相続人が決まるのです。昔の民法を知らなければ、相続人を確定することはできません。
 

(1)明治31年7月16日~昭和22年5月2日→旧民法

(家督相続)
家の財産は戸主に属します。戸主が亡くなると、家督相続人が一人で包括的に承継します。
 
また、旧民法では生前の相続(隠居)が認められていました。60歳以上の戸主は自分の意思で隠居することが可能で、家督相続により新しい戸主に財産が承継されます。一人で相続するので、現在のような争族は少なかったといわれています。
 
(遺産相続)
戸主以外が死亡した場合は遺産相続となります。
 
・第一順位:直系卑属(非嫡出子の相続分は、嫡出子の1/2)
・第二順位:配偶者
・第三順位:直系尊属
・第四順位:戸主
 
戸主以外は不動産を持たないのが通常ですが、隠居後に不動産を取得している場合には、遺産分割になります。登記の時期が隠居の前後により、相続人が違いますので注意が必要になります。

 

(2)昭和22年5月3日~昭和22年12月31日→応急措置法

・第一順位:配偶者(1/3)と直系卑属(2/3)
・第二順位:配偶者(1/2)と直系尊属(1/2)
・第三順位:配偶者(2/3)と兄弟姉妹(1/3)
・代襲相続:兄弟姉妹には代襲相続はない

 

(3)昭和23年1月1日~昭和55年12月31日→新民法

・第一順位:配偶者(1/3)と直系卑属(2/3)
・第二順位:配偶者(1/2)と直系尊属(1/2)
・第三順位:配偶者(2/3)と兄弟姉妹(1/3)
・代襲相続:兄弟姉妹の直系卑属は代襲相続人となり、制限はない

 

(4)昭和56年1月1日~現在→改正民法

・第一順位:配偶者(1/2)と直系卑属(1/2)
・第二順位:配偶者(2/3)と直系尊属(1/3)
・第三順位:配偶者(3/4)と兄弟姉妹(1/4)
・代襲相続:兄弟姉妹の代襲相続は、その子まで      
※2019年7月1日、民法(相続法)改正がされましたが、相続人順位は変更ありません。

 
名義人の戸籍などから順次相続人を確認し、現在生存している相続人(不動産の共有者)を確定することになります。
 


※筆者作成
 
古い登記の場合は、相続の時期により相続人も違い、また、人数が多いことも多く共有者の確定は困難です。確定できたとしても、遺産分割協議書に相続人全員の署名と押印(実印)という高い壁があります。いわゆる「所有者不明土地」という不動産になる可能性が高くなります。
 
国としても、この問題を重視しており相続登記義務化なども検討されていますが、現行法ではこのような扱いになります。
 
実家の登記簿上の名義は親になっていますか?故人名義の不動産が周りにないか確認しましょう。相続が発生したときに、大変な目に遭うのはあなたかもしれません。
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

 

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